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タンターウィ発言の問題は、ニカーブの是非でもイスラーム主義の是非でもない

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 シャイフ・ル=アズハールのタンターウィ教授(الدكتور محمد سيد طنطاوي)が、ニカーブ否定発言をして、大騒ぎになっています。日本ではほとんど報道がないようですが、英語圏のメディアではかなり取り上げられているので、ご存知の方もいらっしゃると思います。
日本メディアの記事英語圏メディアの記事中東TODAYさんの関連記事
 海外メディアを眺めると、なんだか「イスラーム主義者の伸長を恐れる政府」みたいな点ばかりが強調されて、例によって実情を歪曲してイスラーム憎悪を煽っているだけなんじゃないか、と訝しくなります。
(写真は第一報ではなく、BBCの報道を伝えるもの)

タンターウィ発言に対するBBC報道を伝える記事
タンターウィ発言に対するBBC報道を伝える記事 posted by (C)ほじょこ

 ざっくり言えば、タンターウィというアズハール学院の偉いセンセーが、中学三年の女生徒に着用していたニカーブを脱ぐように言い、ニカーブ着用者の学院への立ち入り禁止を検討している、と語ったことに対し、多くのムスリムが猛反対している、ということです。
 ニカーブというのは、目を除いて全身をすっぽり黒い布で覆ったもので、髪だけ覆うヒジャーブとは異なります。
 ヒジャーブについては「ムスリマの義務である」という認識が多数派ですが、ニカーブについては「イスラーム的である」「いや、ただの慣習だ」と意見が分かれていて、エジプト政府としては、ニカーブ着用者が国内で増えていることを、イスラーム主義の伸長と関連付けて、恐れています。
 ニカーブが流行っていると言っても、ざっと見る限りでは全ムスリマ(イスラーム教徒女性)の5%未満で、多数派とは到底言えません。それでも、少し前までは非常にレアな存在だったのが、少しずつ数を増しているのが、ある種の人々の脅威となっているようです。わたしも、事前に想像していたよりは数が多くて驚きました(ヒジャーブはほぼ全ムスリマが着用している)。
 一般的なエジプト人に色々意見を聞いてみると、「ヒジャーブは必須だが、ニカーブはしたい人がすればいい、別に義務ではない。イスラーム本来のものなのかは、色んな意見があってよくわからん」くらいの立場が大勢です。
 タンターウィ発言に多くのムスリムが反発しているのは、「脱げ」と命令したからであって、ほとんどの人は「着用しなければならない」とは考えていません。「ニカーブするもしないも、そんなもん本人の自由だろう」と怒っているわけです。
 加えて、彼の後ろで政府が糸を引いているのは、エジプト人ならみんな知っています。「権力をかさに着て偉そうなこと言いやがって、何様のつもりだ」というのが大衆の心情なのでしょう。

 しかし、そんな思想信条的な問題以前に、海外メディアがちっとも注目していない重要なポイントがあります。
 タンターウィ発言を伝える「シャイフ・ル=アズハール、女子学生にニカーブを脱ぐことを強要 ニカーブ着用者の学院への立ち入りを禁止を決める意志を語る」という最初の報道で、新聞にこんな彼の台詞が引用されていました。

لما إنت كده أمال لو كنت جميلة شوية كنت عملتي إيه؟

 アーンミーヤをそのまま記述したものです。「美人だったらどうするんだ?」みたいなことを言っているのですが、最初に読んだ時は、語学力および背景知識の不足から、今ひとつ意図が理解できていませんでした。
 今日、F先生とこの話題になり、背景を詳しく説明して貰って、やっと発言の意図と、多くのエジプト人の怒りが理解できました。
 ニカーブというのは、一応建前としては「美しい女性が歩いていると、男達がジロジロ見てよろしくないから」着用する(あるいは夫や家族が着用を求める)もの、とされています。
 ところが、ぶっちゃけ、この女生徒は美人じゃなかったわけです。
 これに対してタンターウィ先生は「(君は美人じゃないのにニカーブを着ている)、じゃあ美人だったらどうするんだ?」と言っているのです。
 要するに「ブサイクのクセにニカーブなんか着やがって」と言っているわけで、とんでもなく無礼な発言です。
 「そんなん、ほっとけちゅうねん! これニカーブの問題ちゃうやん。礼節の問題やないか! なんちゅうオッサンや!」とF先生と二人でプリプリ怒ってしまいました。
 権力の座についている人が、時に品性劣る人物であるのは、洋の東西を問いませんが、一応宗教界の権威にあるのに、イスラームだのニカーブだの以前の問題です。偉そうに白いあごひげを蓄えていますが、要するに品性下劣なただのエロオヤジです。
 エジプト人の怒りが示しているのは、過激なイスラーム主義の伸長ではなく、「エジプト人には結構常識がある」ということだけです。

 ちなみに、件の女生徒がいたのは女しかいない女子クラスで、普通そうした場では、女性も髪を隠すことにこだわりません。ましてニカーブなら、普通は顔を覆う部分は上げています。F先生の意見も「多分、教室の中では顔を出していたのだけれど、タンターウィが来たから慌てて顔を隠したのだろう」とのことでした。わたしが彼女たちの行動パターンを見ている限りでも、この推測が妥当だと感じます。

 猛烈な反発を前に、政府要人がタンターウィをやんわり擁護する発言をし、タンターウィ本人も前言を翻すようなことを語っています。
 ムスリム同胞団が「ニカーブはイスラーム本来のものだ」という趣旨の声明を出して政府を批判していますが、これはタンターウィ叩きに便乗して声を上げているだけで、ほとんどのエジプト人は文字通りには受け止めていないと思います。
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テーマ:エジプト - ジャンル:海外情報

  1. タンターウィ発言の問題は、ニカーブの是非でもイスラーム主義の是非でもない|2009/10/15(木) 06:42:06|
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