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ストリートで見るサッカー・エジプト・パラグアイ戦

 ダハブから早朝帰った日は、たまっていた日記を一気に書いて、夕方に所用でザマーレクに。日本人駐在員の方が大勢住んでいるお大臣な地区ですが、初めて足を踏み入れました。あまりのゴージャスさに目が回りそうです。
 映画に出てくるカイロを見て「これは本当にわたしの住んでいる町なのか」といつも不思議に感じていたのですが、きっとこういう場所でロケしているのでしょうね。東京だって広いですから、どこの町でもキレイな所と汚い所はあります。
 めちゃくちゃ道に迷って、十回以上道を尋ねたのですが、例によって聞く人ごとに答えが違って、一時間くらいさ迷いました。

 翌日、授業があると思っていたら、予定の時間に先生が来ません。
 電話してみると、「ヨーム・ル=イツナイン(月曜日)」と言ったつもりが「ヨーム・イツナイン(二日)」と勘違いされていました。こんな簡単なことを伝え損なっていた自分に絶望します。

 授業再開が翌日ということになってしまったので、翌々日から海外に行ってしまう友人に挨拶しようと、ウストゥルバラドへ。
 まだ時間が早かったので、アメ大の図書館に寄るも、欲しい本はなし。ブラブラしてから適当なカフェテリアに入り、お茶を飲みながら新聞を読んだり勉強したりして過ごします。
 頃合を見て友人にメールしたところ、仕事で9時にならないと空かない、とのお返事。勉強続行し、時間になってから待ち合わせのカフェに移動しました。

 少し遅れて友人着。
 通りに出したテレビで、皆がサッカーのエジプト・パラグアイ(エジプト式だと「バラグワーイ」)戦を観戦しています。
ストリートで見るサッカー
ストリートで見るサッカー posted by (C)ほじょこ
 サッカーに全然興味がないのですが、エジプト人は感情表現が一々オーバーなので、選手の表情やオーディエンスの凄まじい盛り上がり方を見ているだけで楽しいです。中継は部分的にしか聞き取れないのですが、ベタベタのアーンミーヤかというとそうではなく、基本は超高速のフスハーで、中継独特の表現、口語表現が混ざっているのがわかります。日本でもスポーツ中継には独特の言い回しがあり、そのスポーツに馴染んでいる人以外には難しいことがあるので、無理もないかな、と自分を慰めておきます。
 試合は一対一のまま後半戦のロスタイムに入ったところで、パラグアイがゴール。その瞬間に、エジプト人が一斉に席を立ったのが面白かったです。映画のエンドロールを見ないで帰る客みたいです。「もうあかんあかん、無駄や無駄や! 帰ろ!」という感じ。

 しばらく友人とそのまた友人とダベる。言語はアラビア語と英語半々くらい。彼らがやたら英語で話そうとするので、意地になってアラビア語で返してウザがられます(笑)。
 映画のエキストラバイトの話を聞く。このエキストラバイトについては、あちこちで悪い噂を聞いていたので、話半分に適当に流します。
 ピンハネされるとかは構わないのですが、やたら拘束されたり、変な格好をさせられるのはイヤです。それさえないなら、一日二日くらい遊びで参加しても面白そうなのですが、彼らの約束はまったくアテにならないので、とりあえず様子見にしておきます。

 友人がナイトクラブに連れて行ってくれる。豚インフルのせいか、入場前に熱を測られました。
 といっても、正直嬉しくないです。彼が旅立つ直前のお別れ会なので、頑張って笑顔でお相手しましたが、キリスト教徒(のはず)と外人だけが、お酒を飲んで踊っているような場は、ただひたすらに苦痛です。音楽やダンスそのものは大好きですが、こういう空気の悪い閉鎖空間は大嫌いです。日本のカラオケだって御免です。歌やダンスは神様に見せるものだから、お空の下でやらなきゃダメです。
 しばらく我慢していたのですが、耐え難くなって「外に出よう」と言い、その後はカフェでお喋り。

 日本の善良なアルコール愛好者の方には申し訳ないですが、やっぱりお酒は好きになれないし、お酒を飲んでいる人と話すことも何もありません。
 彼はカイロに住んでいるだけあって、そういうアルコールに対する嫌悪感は理解するのですが、何か根本的なところで別人種のように感じます。
 ダーリンも両親もお酒をたしなむし、わたし自身かつてはお酒を飲んでいたので、他人が飲んでいる分には干渉する気はないのですが、こういう「お酒はハラーム」という価値観が基本にあるような国でまでアルコールを摂取するのは、やはりどうかと思います。せめてエジプトにいる間だけでもやめられないのでしょうか。先日ダハブで会ったロシア人が「モスクワではウォッカを飲むが、エジプトではお酒は飲まない」と言っていたのがとても素敵でした。

 メトロを逃してしまったので、久しぶりにカイロでタクシーに乗って帰宅。
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テーマ:エジプト - ジャンル:海外情報

  1. ストリートで見るサッカー・エジプト・パラグアイ戦|2009/09/30(水) 19:25:14|
  2. エジプト留学日記

アラブにおける結婚と婚前交渉、「付き合う」という水準、内面化された第三者

 ダハブの9/26の日記で、ロクデナシのツアー屋の男が「結婚しないでセックスするのは日本の文化なのだろう?」と言ってきたことを書きました。この時、反論しつつ、何か空回りしているような、すれ違っている感覚があったのですが、それについて考えていて気づいたことがあります。

 エジプト人というより広義のアラブ人の一部、特にベドウィン出身で定住化後あまり世代を経ていないようなタイプの人々には、「婚前交渉が許される=乱交」という発想があるのではないでしょうか。つまり、いわゆる「付き合う」という状態がうまく認識できていないのです。
 これだけなら「『付き合う』という習慣に慣れていないのだから当たり前だろう」で終わってしまうのですが、もう少し続きがあります。

 現在の日本でも欧米でも、婚前交渉はかつてのように強く非難される対象ではありません。もちろん結婚が「推奨」されますし、地域や社会階層による差もありますが、一定の責任さえ負えるなら、それ自体としては著しい「悪」ではない、というとらえ方がかなり一般化していると言えるでしょう。
 だからといって、「誰でもどこでもいつでも」セックスするかというと、普通はそんなことはありません。一定の「手続き」や継続的な人間関係があった上で性行為に至るのであり、つまり「付き合う」状態があった上で、性的な関係が持たれます。
 これは言わば準結婚的状態ですが、結婚と異なるのは、信仰や公的権力といった「第三者」の審級が不可視化されている点です。「第三者」の審級が存在しないのではありません。深く内面化されているため、具体的な形象を持たなくても、二者関係の中で「準結婚的」関係が保てているのです。
 しかし、一部のアラブ人は、この「第三者」の審級の不可視化、という状態がうまくイメージできていないように見えます。「結婚」といった、明示的な「第三者」の審級がないと、いわゆる先進国の人々とは比較にならないくらい、無秩序へと一転してしまう傾向が強い、ということです。「結婚」でないなら、即「乱交」という具合です。

 これは非常に重要なポイントで、古典的な議論でも「アラブ人は面子を重視し、人前で恥をかくことを極端に嫌う一方、人目がなくなると平気で非道を行う」といったことがよく指摘されてきました。大昔の話ではなく、実際にこれに近いことはわたし自身が無数に経験しています。
 「世間様の目」がなくなることで羽目を外す、というのはアラブ人に限りませんが、アラブ人には特にその傾向が強いように見えます。つまり、「第三者」の審級は明示的でなければならず、明示的な第三者がいない、とは、即無秩序に結びつく、ということです。

 これは「付き合う」という状態がイメージできないことと、まったくパラレルです。「付き合う」状態には、明示的な第三者が介入していませんが、内面化された第三者が機能しているため、無秩序ではありません。婚前交渉を容認するからといって、乱交状態に陥るわけではありません。

 またこれは、彼らの社会で信仰アイデンティティが非常に強く機能していることとも、並行的です。「こんなに信仰熱心なのだから、さぞ倫理的なのだろう」と思っていると、そういう人はもちろんいるものの、平気で嘘をついた上「アッラーだけが真理を知っている」などとのたまうムスリムが沢山います。「そんな口をきいて神様が怖くないのだろうか」と不思議に思うのですが、彼らの中では、大衆の面前で恥とならなければ、それはアッラーにも届かないのです。

 もちろん、これは極めて大雑把な傾向分析で、アラブ人にも色々いるし、エジプトだけでも「世界の縮図」と言って良いほどの多様性が見られます。インターナショナル・マインドを持ったエジプト人と、ローカルな人々では、まるで別人種です。いわゆる先進国の人々と変わらない思考様式をする人々も大勢いますし、また伝統的な社会にどっぷりつかっていても、わたしたちの倫理基準に合致し、それどころかはるかに倫理的で敬虔な人々もちゃんと存在します。
 ですから、単なる無知・無教養による蒙昧については横に分けて考えてあげる必要がありますが、わたしたちの基準で言うところの「すごく良い人」で、かつ無知無教養ではない人が、人目がなくなった途端に豹変する、という我が目を疑うような状況があるのも事実です。ド田舎や貧民街のローカルが、わたしたちの理解を越える行動を取っていても驚くことはありませんが、他の面では非常に洗練されて見える人が、「突然人が変わる」と、本当に度肝を抜かれます。
 個人差・階級差・地域差がより重要なのは言うまでもありませんが、同時に、長い長い歴史の中で涵養されてきた人類学的遺産というものが、どんな民族にもあります。非常に大雑把ですが、アラブ人には、「第三者」の審級というものが明示的に要求される場合が多い、くらいは言えるのではないでしょうか。

 念のためですが、これが事実だとしても、先進国的な価値観をもって「アラブ人は始末に負えない、信仰なんて形だけだ」というのは早計です。そう判断させているわたしたちの倫理観自体もまた、別の特殊な環境で涵養されてきたものにすぎないからです。
 特に日本は、非常に特殊な均質性と箱庭的閉鎖性を、長い歴史にわたって維持してきた国です。こういう環境では、仮に人目がなくてもちょっとした噂が命取りになりますし、逃げても逃げる先が限られています。昔のアラブのような、広大な砂漠で出たとこ勝負をしなければならない環境とは、まったく違います。
 もちろん、「アラブ=砂漠」というのは、まったく間違った見方です。イスラームが生まれ育ったのも都市文化の中でですし(ハディースでもベドウィンがよくバカにされている)、都市の中では日本以上に密で固定的な人間関係があります。
 しかし、その都市から一歩外に出ると砂漠が広がっているのも事実で、日本のような「どこにでも人が住める」環境とは違います。都市と都市の隔絶度合いははるかに過酷で、この砂漠の過酷さを目にしてしまうと、日本は田舎も含めて日本全体が一つの都市なのではないか、と思えてくるくらいです。
 そしてアラブの都市とは、商業を中心とした交易ポイント、つまり他者との出会いの場であり、都市内部の文化においても、「外交」の占めるポジションが非常に重い世界です。価値観を共有しないはるか彼方からやって来た商人同士が、コミュニケーションを図らなければならなかったのです。
 こうした「外交」においては、共通の基盤を作る、という作業から始めなければなりませんし、細部まで規則を共有しようなどと考えていたら、いつまで経っても話ができません。そういう世界で、「アッラーという大枠だけがあり、細かいところは出たとこ勝負で決着をつける」「その場で勝てなければ、騙される方が間抜け」「過ぎたことは許し、リセットしてやり直す」という倫理観が広まっていったのは、当たり前のことに見えます。
 実際、現在のエジプトでも、相手を前にしたその場で決着をつけられなければ、「ボクラ=明日」は永遠にやってきません。すべてを「今ここの現場」で勝負しなければなりません。
 彼らの思考単位は基本的に「一日」で、次の日になると、偉大な寛大さをもって非礼を許している一方、教えたことも忘れていて一からやり直しになる、ということがよくあります。別に彼らがダメなわけではなく(日本人からはどうしたって「ダメ」に見えますが)、それが彼らなりの秩序維持の方法なのです。

 もし明示的な第三者が必要なら、第三者を立てれば良いだけの話です。明示的な信仰が重んじられ、結婚の形式が重視され、婚前の男女が「二人きり」になることが厳しく咎められる、そうした社会が維持されているうちは、文字通りの第三者が常に介入しているわけで、別に問題はありません。
 そうした環境に慣れてきた人たちが、いきなり「内面化された第三者」を当然視するシステムに移行しようとしても、スムーズにいかないのは当たり前です。また、別に無理に移行する必要もありません。結果としてうまく行っていれば、それはそれで問題ないのですし、この移行を「進歩」ととらえるなら、それもまたバイアスにすぎません。
 実際、「人前であること」を重視する倫理意識がプラスに働いている場面にも非常に良く出会います。アラブ人が「これでもか」というくらい客をもてなし、時に客の取り合いで喧嘩になるくらいなのは、その表れの一部でしょう。「名誉のためなら死をもいとわない」面子へのこだわりがあります。

 現代の世界には、かつてのアラブの砂漠よりはるかに遠くの人々と、「外交」しなければならない状況があります。つまり、世界の果てから内面化された「第三者」を前提とする人々がやってきて、交渉しなければならない、という場面もあるわけです。
 「外交」的要素の大きい文化が、「外交」的要素の小さい文化と、「外交」的に出会っているのですから、前者の基準に合わせる方が理にかなっている面もあります。一方、現代の世界は、かつてのようにバラバラに隔絶されているわけではなく、密に連携しあって成立しています。つまり、「外交」的要素の小さい、都市内部、あるいは箱庭内部の一つの共同体のような面が拡大しています。
 要するに、「大きくバラバラな世界」な要素と、「小さく均質な世界」の要素が同時に拡大していっているわけで、一概にどっちの基準を使う、とは単純化できません。
 「グローバルで均質な世界」を前提にビジネスをしているエジプト人には、せめて欧米流のやり方に合わせて欲しい、と個人的には思うこともありますが(笑)、そんなグローバリズムの恩恵には少しも預れず、搾取される一方の人々にまでこちらの価値観を押し付けるのは、無理というものです。

 とりあえず、エジプトで普通に日々を送ろうとするなら、「第三者」の審級を極力明示的にするよう心がけておいた方が、平和に過ごせます。日本人の多くが共有している不可視化された「第三者」などを信じても、ただ疲れるだけです。

馬とラクダ禁止の看板(ダハブ)
馬とラクダ禁止の看板(ダハブ) posted by (C)ほじょこ
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テーマ:エジプト - ジャンル:海外情報

  1. アラブにおける結婚と婚前交渉、「付き合う」という水準、内面化された第三者|2009/09/30(水) 08:07:48|
  2. エジプト留学雑記

مي عز الدينマイ・アッズ=ッディーンとحماد هلالハマーダ・ヒラール、外国人同士でフスハー談義、ダハブからカイロへ

9/26

 起床し、まずは長距離バスターミナルまでカイロ行きのチケットの購入に。最終バスは22:00発ですが、人気があるので満席にならないうちにゲットしなければなりません。
 乗り合いトラック乗り場付近で足を探す。往復するだけなのでトラックの荷台で良かったのですが、タクシーが声をかけてきて、10ポンドというところを5ポンドまで値切れたので(これが相場価格)、タクシーで行くことにしました。
 運ちゃんはジィーズ。アブドゥルアジーズというよくある名前が本名ですが、長いのでジィーズと呼ばれている、とのこと。
 若くて乱暴そうな見た目ですが、例によって死ぬほど甘いお茶を差し出し「飲め」と薦めてくれるし、最後の一個の飴を「割って半分にして二人で食べよう」と分けてくれるし、イイヤツでした。
 わたしがカメラを出していると「写真が好きなのか? 俺も写真を撮るのが大好きなんだ」と言い、携帯を差し出します。携帯にはダハブのあちこちの写真と一緒に子供の写真が収められています。「ジィーズの子供?」と聞くと「そうだ」との答えで、ダハブやシャルムで働く大勢のエジプト人と同様、出稼ぎに来ているそうです。
 チケットを購入した後、ジィーズが「写真が好きなら良いところに連れて行ってやる」と、ラグーナ方面の海がキレイなところまで連れて行ってくれました。

砂漠のタクシー
砂漠のタクシー posted by (C)ほじょこ

 最初に5ポンドまで値切ったのですが、往復してくれたし、ジィーズがすごくイイヤツだったので、結局10ポンド渡して来ました。
 バスのチケットは確か80ポンドでしたが、後で確認すると、チケット自体には60ポンドと書いてあります。80ポンドなら事前にチェックしておいた相場価格なので構わないのですが、シャルム-ダハブ間も毎回値段が違うし、印刷された値段と払う価格も毎回違うし、何だかさっぱりわかりません。

 マシュラバに戻り、街をブラブラ。
 サミールという服屋の兄ちゃんが話しかけてきて、一緒に店でダベることに。というか、エジプトに来て以来「誰かに声をかけられる>お金は使わずダベる」というパターンでほとんどの日が過ぎている気がします(笑)。向こうも暇なので話し相手が欲しいのでしょう。
 ゆっくりわかりやすいアーンミーヤで喋ってくれ、わたしが質問すると丁寧に言葉を教えてくれて、親切な人でした。
 ちなみに、彼の店で売っていたバッグに変な日本語のプリントされていました。アメリカ製。

つやつやロンヘアを手に入れよう!
つやつやロンヘアを手に入れよう! posted by (C)ほじょこ

 またバッサームの店で一緒にテレビを見る。
 مي عز الدينマイ・アッズ=ッディーンという女優主演の映画。父親の元に娘だと名乗る同じガミーラという女性が訪れ、それが全然違うキャラ、というお話。今ひとつ筋がつかみ切れませんでしたが、三人のうちの一人のデブキャラ女優がすごく面白かったです。バッサームが彼女を指してمي عز الدينと言うので、このデブキャラ女優がその人かと思ったのですが、そうではなく主演がマイで、同じ役を三人が演じている、という意図だったようです。
 このデブキャラ女優が、日本のデブキャラ芸人の比ではないものすごい巨漢で、しかもすごく面白く、ただひたすら彼女の巨大ぶりを楽しんでいました。

 続いてحماد هلالハマーダ・ヒラールという俳優主演の映画。クソマジメで女の子に縁のない男が、ふとした偶然で超アクティヴな女性新聞記者に一目惚れして、友達の助けを借りつつアプローチする、というラブコメディ。
 حماد هلالは劇中では冴えない純情男ですが、画像を探すと二枚目です。
 ハマーダが父親にデート費用をねだり、父親が渋るのを「ケチ」と言ったら、父親が激怒してバルコニーに出て、周辺住民の前で「みんな、これが見えるか! 100ポンド紙幣だ! 今からこれを破って捨てる! わしがケチではないところを見てみろ!」と本当に破って捨てる場面がエジプト人らしくてウケました。
 エジプト人、本当にこんな感じの行動を取りますね。彼らの口喧嘩は相手を打ち負かすものではなく、野次馬=オーディエンスをいかに説得し自分の味方につけるか、という、スピーチコンテストみたいです。
 またبخيلバヒール(ケチ)を最も蔑むのも、典型的です。前にも書きましたが、彼らはボッタクリ商法を平気でやる一方、使う時も気前がよく、チビチビ溜め込む態度を本当にバカにします。景気対策としては大変よろしいです(笑)。「バヒール」は冗談でも口にしてはいけない言葉のようです。ケチと罵られれば、本当にこの父親のような行動に出るんじゃないかと思います。

 店を出て少し一人で散歩。
 アクセサリ屋の男が声をかけてきて、「運を呼び込む」という石を釣り糸みたいなものでくくってネックレスにしてくれました。本当にタダでくれて、しばらくお喋りして普通にバイバイできましたが、このネックレス、ただの紐なので外せません・・・。

 ツアー企画みたいな男が声をかけてきて、またちょっとお喋り。横でベドウィンが礼拝しています。
 この男が露骨にロクデナシで、「結婚しないでセックスするのは日本の文化なのだろう?」とか言ってきます。「確かにそういう人はいるが、文化ではないし、わたしはそれは悪であり、ハラームだと考えている」と言い返しますが、何かすれ違っている気がします。
 これについて考えたいて面白いことに気づいたのですが、長くなるので別エントリに分けます。とりあえずこいつとは即効バイバイ。

 さらに散歩して、ラグーナの辺りでH氏に出会う。
 彼はホテルの経営者らしく、地元の「顔」で多くの外国人と付き合いがあるようです。
 H氏と共に少しマシュラバに戻った辺りのカフェに入り、エジプト人・外国人の混ざった輪に加わります。エジプト人とその妻のオランダ人、長くエジプトに暮らすイギリス人女性、といった雑多な集まりです。ダハブの中の上クラスくらいで遊んでいる欧米系の空気です。
 エジプト人と結婚したオランダ人女性は、まだアラビア語がほとんどわからず、夫婦の会話は英語かオランダ語とのこと。こういうカップルはエジプトに非常に多いです。「言葉が不自由で夫婦生活が成り立つのか」と訝しがられるかもしれませんが、これは本当に大丈夫です。こちらで生活していると、言語を完全には理解できていなくても、相当のところまでコミュニケーションが取れる、ということを実感します。逆に母語を共有していても、結婚なんて失敗する時は失敗するでしょう。
 非常に面白かったのが、アラブ世界で長く生活しているイギリス人Cさんのお話。彼女はバーレーンで二年あまり学んだ後、ギザの非常に大衆的エリアに七年住んだ、とのこと。残念ながら地区の名前を失念してしまったのですが、その名前を聞いた途端に周りのエジプト人すべてが「正気か!?」という反応をしていて、一人が「エジプト中の銃とドラッグがそこから来る」と言っていました。
 実際、そこでの日々は、異様に人々が密着してひたすら怒鳴りあうもので、それまでシャイだった彼女は、ホウキを武器にマスジドで大暴れしたり、獣のようにまとわりついてくる子供達を張り倒すくらい、タフな女性に生まれ変わったそうです(見た目はスレンダーな美人さんで、エジプトによくいる象のように図々しい女性では決してありません)。
 それはそうでしょう。わたしが知っている範囲の「貧しい地区」でも、ただ歩くだけで大変な騒ぎです。特に子供の厄介さは、経験した者にしかわからないです。言葉を喋る狼が後から後からゾンビのように追いかけてくる、と思ったら少し近いです。しかも喋る言葉といったら「金くれ」だけです(笑)。幸い今まで子供を暴力で倒したことはないですが、多分一人や二人殴り倒しても、後から後から沸いてきて対抗できないと思います。『ブラックホーク・ダウン』でアメリカ人を包囲するソマリア人みたいです。
 彼女はわたしに「アラビア語を上手になりたいなら、そういう地区に何年か住むのをお勧めするわ」と言っていましたが、丁重にお断りさせて頂きたいです(笑)。

 こんな話の流れで、「カイロは外国人が住むには最もハードな街の一つだ、一方アレキサンドリアは本当に違う」と一同盛り上がっていたのですが、それはちょっと言いすぎにしても、確かにアレキサンドリアの方が外人には住みやすそうです。H氏がアレキサンドリア出身なので皆で持ち上げていただけかもしれませんが、アレキサンドリア人はエジプト人と言っても祖先にヨーロッパ人の血が混じっている率がかなり高く、カイロ以上に「国際的」な街です。
 カイロは何と言っても首都だし、仕事をするならベストに決まっていますが、わたしの訪れた日本以外のいくつかの都市の中では、確かに一番過酷な世界に思えます。「外人にとっての住みやすさ」という意味では、東京もかなり酷いと思いますが、カイロには東京のような外人差別や物価高がない一方、エジプト人の超絶人懐こさ故のストレスと、凄まじい喧騒が待っています(もちろんマアーディやザマーレクに住むなら全然別)。
 まぁ、Cさんはいくら何でも住む場所間違えすぎだと思いますが・・・。

 わたしがフスハーの方が得意(というかアーンミーヤがヘボすぎる)ということがわかると、座が「フスハー合戦」になりました。
 何人かのエジプト人は上手にフスハーを操り、流暢に詩のように語るのですが、何人かのエジプト人は「えー、フスハー!?」という感じで、上手下手以前に照れてしまって喋ろうとしません。
 Cさんのアーンミーヤは見事なものなのですが、一方でフスハーは冴えません。大衆エリアで鍛えたのなら、当然でしょう。新聞を読むのも「難しいしイヤ」と言っています。
 それでも「フスハーはとても美しい、詩を沢山聞いて、完全には理解できないけれど、とても荘重な言葉だと感じる」と語ります。応じてH氏が二ザール・カッバーニの詩を読んだので、ここぞとばかりにイリーヤ・アブー=マーディの詩を暗誦したのですが、発音が悪すぎるせいか今ひとつウケませんでした。

 少し不思議だったのが、サイーディには評判の悪いベドウィンが、アレキサンドリア人と白人、というメンバーの中では割とポジティヴに評価されていたことです。
 一方で、サイーディのことはバカにしています。「沢山のサイーディがここで働いているが、彼らは外国人をひっかけに来ているだけだ。彼らの多くは、一年か二年するといなくなる。外人女をつかまえて地元に帰るか、悪いことをして警察に捕まるのだ」と言います。「わたしはここに十年以上も暮らしている。それだけいられるというのは、わたしが間違ったことをしていないからだ」と言うのは、確かに一理あるかもしれません。何でも「そこに長くいる人」には、長くいられた理由があるものです。
 ただ、わたしの経験の範囲では、サイーディのイメージは全般に良いです。一方でベドウィンは悪印象で、もし強引に単純化して上エジプトと下エジプトの対立軸で考えるなら、個人的な感触では、上エジプトの人々との方が楽しい時を過ごせる確率が高いです(あくまで確率)。

 このカフェで働く白人女性(国籍は尋ねませんでした)が、最近シャルムに赴いてボッタくられた話をしていました。ネスカフェ(トルココーヒーではない普通のコーヒーのこと)で80ポンド(約1600円)請求されたそうです。「最初冗談を言っているのかと思った」とのことで、一同大憤慨です。公定料金では、ファイブスターのホテルでも25ポンドが上限とされているそうです。8ポンドでもかなり高いのに、シャルムは本当に狂っています。カイロの普通のマクハーなら3ポンドです。

 ちょっとトラブルがあり、ダハブ滞在の最後で非常に不愉快な思いをしたのですが、そんなこんなでバス発車のギリギリの時間に長距離バスターミナルに滑り込む。バッサームに挨拶できなかったのが本当に心苦しいです(翌日電話して、カイロで再会することを約束)。

ダハブ 夕暮れの猫
ダハブ 夕暮れの猫 posted by (C)ほじょこ

 バスの隣が若いエジプト人で「こりゃ寝られないな」と思ったら、彼は母親と一緒で、ママの前のせいか流石にお行儀良く、彼ともその母親とも楽しくお喋りできました。
 母親がダハブに住む姉妹を訪れた帰りだそうで、親孝行な好青年です。彼はバスの仕事も手伝っている様子で、従業員なのか純粋な乗客なのかよくわかりません。バス会社で働く青年がツテで安く母親を乗せたのか、単なる乗客がエジプト人らしくバスのことを色々気遣っているのか、どちらなのでしょう。
 カイロへの帰路の途中、またトイレ故障のトラブル発生。行きと同じトラブルで、同じ車両だったのかもしれません。長距離バスで二回も臭い思いをしました(笑)。
 隣の青年が責任もないのに「せっかくの旅行で気持ち悪い思いをさせて申し訳ない」と言っていて、すごくジェントルマンでした。ママの前でかっこつけていたのかもしれません(笑)。

 バスの中でعمر وسلمى(ウマルとサルマー)という恋愛映画を見る。
 行きのバスでは字幕付きアメリカ映画でしたが、帰りはエジプト映画でした。寝ている乗客が多く、しかもほとんどはアラビア語のわからない外国人たちに対してエジプト映画を大音量で流すのはどうなんだ、と思いましたが、個人的には非常に楽しかったです。
 途中で寝てしまったので筋がよくわかりませんが、تامر حسنيターミル・ホスニーという主演俳優が、二枚目キャラなのだけれど眉毛が思い切りつながっていて、ちょっとウケました。彼が髪型を気にしている場面があるのですが、「髪型より眉毛をなんとかした方がいいよ」とツッコみたいです。彼はエジプトでは普通に二枚目俳優なので、エジプト的には問題ないのですけれど(この美意識も理解できる)。
 台詞は部分的にしか聞き取れないのですが、一方で外国映画の字幕も完全には読みきれません。字幕はフスハーですが、現在のわたしの読解スピードでは、理解できる前に字幕が消えてしまいます。せめて字幕についていけるくらいは、読み取り力を上げたいです。吹き替えやエジプト映画がアーンミーヤの練習になる一方、字幕付きのアメリカ映画は、フスハーの訓練に結構使えます。

 アッバセーヤ着。
 この時までよく知らなかったのですが、シナイ半島方面からカイロに帰ってくるバスは、アッバセーヤのمحطة سيناء للاوتوبيساتマハッタトゥ・スィーナーッ・リル=オートビサートに到着することが多いようです。ここはカイロ中心部からかなり離れているのですが、最初「トルゴマーンの近くだろう」と思いタクシーの客引きを断りまくってしまい、ちょっと失敗しました。
 「メトロが近くにあるはず」と勘でかなり歩いた後、ようやく周辺地理を理解して、引き返す羽目になりました。イッ=ディメルダシュあたりが直近のメトロ駅ですが、大荷物をかかえて歩く距離ではありません。タクシーは乗りたくないので、ラムスィース行きのマイクロバスをつかまえました。3/4ポンド。

 一週間留守にしただけですが、出発したのがラマダーン明けのイード中だったせいか、自宅近辺の様子が少し変わっていました。ラマダーン中に引っ越してきたので、ラマダーン中休業の店が営業再開したり、店の品揃えが大幅に変わっていました。

ダハブ 犬と男の夕暮れ
ダハブ 犬と男の夕暮れ posted by (C)ほじょこ

 一週間の小旅行でしたが、この旅は非常に非常に楽しかったです! 特にサイードとバッサームとの出会いが、最高でした。
 ダハブは本当に素晴らしい場所で、是非住んでみたいです。ダハブでアラビア語語学学校をやったら結構儲かるのではないかと思うのですが(現在でも家庭教師みたいなものはあるが、多分質は低い)、先生に提案してみます。需要があるのはアーンミーヤだけでしょうけれど、ちゃんとした学校を作れば、長期滞在して敢えてフスハーと併習する、という学生も現れる気がします。わたしならそうしたいです。地元人に聞いたら、「どこそこのドクター何ちゃらはフスハーが達者」という話を聞けたし、どこの町でも何人かはそういう「物知りおっちゃん」がいるので、自分で探して交渉して家庭教師にするのも一手です(ただし、そういうおっちゃんは大抵非常に信心深いので、イスラームを学ぶ覚悟が必要)。
 今までの人生で、一番楽しい旅行で、元々観光にも遺跡にも海にも興味がなかったわたしが、エジプト中旅をしてみたい!という気持ちになってきました。特にアスワーンは一ヵ月後には絶対訪れます、インシャアッラー。
 ダハブももう一回行ってみたいので、日本から友達が遊びに来てくれたら、一番に連れて行きたいです。その時は国境近くまで行くか、国境越えてヨルダン突入したいです(イスラエルは入りたくないので船で)。寒くならないうちにおいで!
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  1. مي عز الدينマイ・アッズ=ッディーンとحماد هلالハマーダ・ヒラール、外国人同士でフスハー談義、ダハブからカイロへ|2009/09/29(火) 12:51:25|
  2. シナイ半島の旅

エジプトのITエンジニア、ムハンマド・へニーディ『アメリカ大学のサイーディ』、サッカーの嫌いなエジプト人

9/25

 起床し、ペンギン・ビレッジに併設されたマタアムでネスカフェを飲む。5ポンド。観光地価格です。
 同じくペンギン・ビレッジ系列のネットカフェに入る。日本語環境があり、ブラウザはFireFox、1時間8ポンド。エジプトでネットカフェに初めて入ったので相場がわからないのですが、かなり高めだと思います。日記を二日分だけ書いて自分宛に送信し、ダーリンとお母さんにメール。
 このネットカフェとホテルの従業員を兼ねている男の子の一人が、ペンギン・ビレッジ到着以来、しきりに誘っていました。お肌のツヤからして二十歳そこそこの若い子で、「こんな年増じゃなくて若い子沢山おるやん」と呆れてしまったのですが、わたしの指輪を見つけてからは「婚約してるのか、なんだよ、つまんねえな!」と引き際よく仲良くしてくれて、可愛らしくて好印象でした。
 ダハブにはネットカフェが沢山ありますが、ほとんどは通り沿いで当然眺めなんてありません。無線LAN使い放題のカフェはもっと大量にありますし、海辺で自分のマシンで作業する方がずっと良いです。当初二日程度でカイロに帰ろうと思っていたので、マシンを持ってこなかったのを後悔しました。カメラのバッテリの充電器も置いてきてしまい、失敗しました。

 バッサームの店に行くも、不在。またマタアムMEYA MEYAに戻り、ベジサンドイッチを食べる。なぜかこの日はあんまり美味しくなかったです。18ポンド。ペンギン・レストランでは、ベジサンドイッチが28ポンドと表示されていました(入ってないので内容は不明)。いずれにせよ、ビーチ沿いのマタアムはかなりお高い観光地価格です。

 この日の日中は、ほとんどぼんやり読書をしたり、バッサームと一緒にテレビを見て過ごしました。ダハブくんだりまで来てテレビで映画を見ているのもバカみたいですが、勉強になるし、一緒にテレビを見るのって何だか和みます。
 夕方になり、バッサームとわたしと居合わせたエジプト人二人で、ドミノを始める。ルール自体はシンプルなのですが、偶然の支配する要素が大きく、勝つ秘訣があるのかよくわかりません。

 バッサームにベドウィンの言語について尋ねる。やはりベドウィンには独自の方言があるらしいですが、それ以上に、知り合ったアスワーン人が悉くベドウィンを毛嫌いしているのが興味深いです。

 夕飯は大衆食堂のベジタリアン定食。10ポンド。

ダハブの大衆食堂
ダハブの大衆食堂 posted by (C)ほじょこ

ダハブの大衆食堂のベジタリアン定食
ダハブの大衆食堂のベジタリアン定食 posted by (C)ほじょこ

 大衆食堂でもカイロよりは高いですが、そんなに無茶な価格ではありません。

 この大衆食堂で、ムハンマドというエジプト人と相席になりました。ダハブで働いている人ではなく、観光客で、しかも一人で来ています。
 ダハブへ一人旅をするエジプト人というのは、相当珍しい人種です。ビーチリゾートに遊びに来られる時点でお金持ちなのは間違いありませんが、純粋な遊びで一人で旅をしているエジプト人には初めて会いました。
 ムハンマドはカイロで働くSE兼マネジャ。昨日に引き続いて同業者との邂逅でしたが、彼はエジプト人。気になるエジプトのITビジネスについて探りを入れる絶好の機会です。元々はjavaがメインの開発者だったらしいですが、実装から離れて久しいので「忘れてしまったよ」とのこと。これは世界共通です。
 大衆食堂を出て、ビーチ沿いを散歩してから海辺のお洒落な店に入ります。完全にナンパモードで、今思うと、彼が一人でダハブまで来たのは外国人をひっかけるためではないかと思うのですが、下心はどうでもいいです。話して情報を得るキッカケができるし言語の訓練にもなるので、ナンパも時に便利です。下心はお互い様。
 ビーチを散歩している時に、日本人らしい女性が地元イベントのチラシを配っているのに遭遇。英語で話していたので、日本人か韓国人か確信が持ていませんが、住民もしくは長期滞在者なのは確かです。脚の長い美人さんでした。
 ムハンマドはユーロディズニーに遊びに行って二人の日本人と知り合いになった、とか話しているので、本当にリッチです。フランス語を趣味で勉強しているそうです。
 わたしがフスハーの方が上手だと知ると、フスハーで話そうとするのですが、理系らしくあまり得意ではない様子。教科書を見せると「僕もこれが必要だな」と笑っています。
 昨日のロシア人といい、理系男子はトーク上手ではなくて、それがかえって安心します。日本の理系男子はシャイすぎますが、エジプト人だと丁度良い感じになります(笑)。
 以前にクウェイトで働いていたことがあるそうで「暑い?」と尋ねると「حارじゃない、نارだ」と冗談を言います(ハーッルは暑い、ナールは炎で、駄洒落になっている)。クウェイトにはクウェイトの方言があるそうですが、「本当のところ、みんな英語で話しているんでしょう?」と言うと「その通り」と笑います。湾岸は本当に英語使用率が高いようです。
 話が性的な方向に流れそうになったので、こじれる前に断ってバイバイ。一般のナンパエジプト人のような強引さがなくて、かなり照れながら誘っていて、可愛らしい人でした。

 バッサームの店に戻って、またテレビを見ながらのんびり。
 サッカーをやっていたので「サッカー好き?」と馬鹿げた質問をすると、驚いたことに「嫌い」との返事。「エジプト人は全員サッカーが好きなのかと思った」と言うと「俺はピンポンとビリヤードが好きだ」と、エジプト人なのに根暗なお返事。「ボールが一つで22人でプレイするなんてクレイジーだ。ボールは一人一個あればいい」とか言っているので「それじゃكرة القدمじゃなくてكرات القدمだよ」と冗談を言ったらウケてくれました(「ボール」を意味する単語を複数形にしただけのシャレ)。

 前にفول الصين العظيم(フール・ッシーン・ル=アジーム 偉大なる中国の豆)を話題にしたحمد هنيدي(ムハンマド・へニーディー)主演の映画を見る。見ている途中で、「これは『アメリカ大学のサイーディ』だ!」と気づき、色々な要素がバチバチッとつながりました。
 『アメリカ大学のサイーディ』は、ムハンマド・へニーディ主演の大ヒット映画で、サイーディ(上エジプト出身者のことで、エジプトでは「頑固な田舎者」というイメージ)が、生まれとは正反対のカイロのアメリカン大学に入り、ドタバタ喜劇を演じながら、アイデンティティの危機と再発見が描かれる、という名作です。八木久美子先生が『アラブ・イスラム世界における他者像の変遷』で取り上げられているのを目にしてから、ずっと気になっていました。
 実際に目にするのは初めてで、その主演が、同じく非常に面白かった「フール・ッシーン・ル=アジーム」のムハンマド・へニーディだとやっと気づき、自分の興味が連鎖して一気につながった感じです。
 ムハンマド・へニーディは本当に面白いコメディ俳優で、彼の主演作品はもっと日本で紹介されてしかるべきです。エジプトのコメディ映画は非常に面白くてわかりやすく、台詞がロクに聞き取れないまま見ても十分に楽しめます。
 「エジプトはアラブ世界のエンタテイメントの発信基地だったが、今はアメリカ文化に押されてちょっと落ち目」というのはよく聞く話ですが、わたしの眺める限りでは、今でもエジプト人はエジプト映画やエジプトのポップ音楽が非常に好きで、特にコメディ映画は、外国人のわたしから見ても質が高いです。ハリウッドのコメディなんかよりずっとわかりやすくて笑えるのに、何でもっと紹介されないのか不思議です。言語を磨いて、一円にならなくてもそういう仕事のお手伝いがしてみたいです。

 バッサームが店を閉めてから、一緒に海辺をお散歩。
 「ダンスを教えてやる」と言って歩いていくのでどこに行くのかと思ったら、マシュラバビーチを南の方にずっと下ったBlack Princeというクラブの辺りに来ます。大音量でダンスミュージックをかけているロシア人の多い店で、「そんな高いところに入るのか」とびっくりしたら、そのまま通り過ぎて、浜辺の暗がりに行きます。Black Princeから流れてくる音楽のおこぼれで楽しもう、ということらしいです。確かにそれならタダで、彼の嫌いなお酒も目にしないで済みます(笑)。
 そこから更に南に歩くと、周囲が真っ暗になり、星がキレイに見えます。まだ秋口なのにオリオン座が見えます。そこはシェラトンが新しいホテルと作っているところで、もう少ししたらまた一つ美しい暗闇が消えてしまうことになります。
 アカバ湾の向こうに、サウジアラビアの街の光が見えます。バッサームは「タブークだ」と言っていましたが、タブークは内陸のはずで、マグナーという街です(文字で見ると「マコナー」くらいの発音になりそうですが、ダハブ在住の他のエジプト人がマグナーと発音していました。エジプト方言の読み方ではないのですが、当地の発音に従ったものなのか、どこかの訛りなのか、わたしの耳がおかしいのか、気になります)。
 その南には、ラグーナという高級ホテルがあります。値段相応にすごくデラックスで楽園のようなオーラを放っています。

 それにしても、土地ごとに観光客の出身国が違って、また国ごとに利用先タイプが分かれているのが興味深いです。シャルムはイタリア人、ダハブはロシア人が多く、日本人はシャルムにはほとんどいなくて、ダハブはバックパッカー系の楽しみ方をする人だけが集まります。日本で「デラックス・エジプト」を楽しみたい人は、カイロやルクソル、アスワーン、アブ・シンベルなどのみに集中し、ビーチリゾート系には流れないのでしょう。高級ビーチリゾートを求めるなら、日本人ならタイ辺りの方が手軽ですからね。
 元々「観光」にあまり興味がなかったワタクシですが、この旅が非常に楽しくて、今頃になって旅行がすごく好きになってきました。砂漠キャンプとか、いかにもひたすら過酷そうなものも、体験しておこうかと考えはじめました。こういう楽しみを紹介できるなら、観光産業というお仕事も素敵ですね。今までスルーしていてごめんなさい。

ダハブの犬
ダハブの犬 posted by (C)ほじょこ
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テーマ:エジプト - ジャンル:海外情報

  1. エジプトのITエンジニア、ムハンマド・へニーディ『アメリカ大学のサイーディ』、サッカーの嫌いなエジプト人|2009/09/29(火) 12:34:41|
  2. シナイ半島の旅

再びダハブへ、ロシアのプログラマー、礼拝の練習

9/24

 朝、サイードとの約束で、一緒にシャルム・ル=ミーヤのイル=ハドバへ。オールドマーケットのあるシャルムの南側のエリアから、丘を越えて東に出たところです。日本のガイドブックではあまり紹介されていない場所ですが、銀行や郵便局がある他、アルフ・ライラ・ワ・ライラ(千一夜)という巨大なリゾート施設があり、その先の岬に灯台があります。
 岬の突端に、2004年にフランスの飛行機が墜落したことを記念する慰霊碑があります。この慰霊碑の下は、特にビーチとして整備されているわけでもなく、普通に海に下りていくことができます。また、慰霊碑が丁度良い日陰を作ってくれていて、どこのお店にも入らずぼんやり涼を取ることができます。さすがジモピー、良い場所を知っています。こういう「階段に座って缶コーヒーとタバコ」的世界が大好きです。

シャルム・ッシェーフの慰霊碑
シャルム・ッシェーフの慰霊碑 posted by (C)ほじょこ

 車を降りる時にサイードがキーロックしてしまったのですが、まったく動じる様子がありません。ニコニコしながら「後で直す、インシャアッラー」というだけです。
 とりあえず慰霊碑の影でぼんやりお喋りします。同じ日陰には例によって警官のおっちゃんがいます。
 海を眺めると、作り物のような緑色のきれいな魚が泳いでいます。「釣りできる?」と聞くと「釣れるけど、禁止されている」とのこと。確かに、シャルムではあちこちに釣り禁止や不法投棄を禁じる看板があります。自然が売り物のリゾートなので、さすがに自然保護には神経質になっているようです。ちなみに「食べられる?」と尋ねたら「食べられる」そうです。
 日本のことを色々尋ねられたりして、お喋りします。彼に電話がかかってきて、30分ほど離れることになったので、一緒にキーロックした車まで戻ります。
 彼はその辺に落ちていた自転車の廃チューブのようなものを拾い、折り曲げて少しだけ隙間をあけてあった車の窓から差し込み、30秒くらいでキーロックを解除してしまいました。
 日本だったら即プロに電話する状況ですが、エジプト人はこういう不測の事態に異様に強いです。何でも修理して使うし、車に乗る人なら誰でも車を直せそうな勢いです。こういうタフネスは本当に見習いたいです。カッコイイ!

 サイードが用事で離れている間、新聞を読んだり警官のおっちゃんと話してぼんやりする。
 警官はよくいる普通のおっちゃんと一緒で、イイヤツではあるけど教養はなく、失礼な質問も平気でする人です。失礼な質問や、二人きりになると油断も隙もなくエロオヤジに変貌するパターンに対する対応には、かなり習熟しました。キレてもいいのですが、キリがないので「かわす技術」がとても重要です。
 ちなみに、ガイドブックなどでは「とにかくついて行きさえしなければ安全」という記述があり、確かに全くその通りなのですが、それだと面白いことも起こらず退屈です。責任持ちたくないので推奨はしませんが、ギリギリまで近づいてかわすのが、一番楽しくて言語やトーク外交術の訓練にもなり、情報も得られます。武道と一緒で、一定の技術があれば、思い切って踏み込んだ超接近戦領域というのは、意外と安全です(笑)。

 サイードがテイクアウェイのコクテール(フルーツブロック)を買って戻ってくる。自分は食べないのに、わたしには猛烈に薦めて、こんな調子ではすぐデブってしまいそうで恐ろしいです。「断る技術」も超重要(笑)。
 とにかく彼は、わたしがエジプトで会った中でも一級のイイヤツで、近くカイロに来るということだったので、絶対また会いたいです。

 サイードが長距離バスターミナルまで送ってくれる。
 またベドウィンどもがたむろしていて「バスはない」とかほざくので、「嘘つきめ! アッラーは見ているぞ!」と怒鳴り返す。
 バスを待つ間に、サマーラというバス運転手のおっちゃんとお喋りしました。
 ザアズィーッという、カイロの少し北あたりの街の出身で、ソハーグ(上エジプトの街)まで行くそうです。「タンタに行ったことはあるか、ルクソルはあるか」と、いろんな地域について尋ねられ「ザアズィーッに来たら絶対電話しろ」と言われます。ザアズィーッなんて、彼と話すまで認識もしていなかったのですが、デルタ地域のそういう小さな町というのは、ちょっと興味があります。農村を見てみたいです。

 バスは11ポンド。シャルム-ダハブ間は、20ポンド、15ポンド、11ポンドと、乗る度に料金が異なりましたが、最後の11ポンドの時は、確かにバスがオンボロで、電灯もつけずエアコンなしで窓を開け放して走っていて、乗客もエジプト人が中心でした。元々の車両自体は日本の夜行バスのような立派なものなのですが、20ポンドの時に乗った車両と違ってかなりガタがきていて、「大型バスの成れの果て」という、日本ではちょっと乗れない種類の自動車でした。
 シャルム-ダハブ間の短い距離で、二回も検問にあいました。安いローカル向けのバスなので、特別チェックされたのかもしれません。

 再びダハブ着。
 マシュラバまでのタクシーは、10ポンドから値切って5ポンド。軽トラですが、助手席に座れたし相場価格です。
 高い宿に泊まる気はないし、かといって最底辺も不安なので、ペンギン・ビレッジという部屋のバリエーションが豊富な大きめのホテルを選択。シャワーとトイレ、扇風機付きの部屋で70ポンド。トイレ共同でも良いなら、もっと安い部屋もあります。
 後日撮影したペンギン・ビレッジの写真です。

ダハブのペンギン・ビレッジ中庭
ダハブのペンギン・ビレッジ中庭 posted by (C)ほじょこ

 マタアムMEYA MEYAに戻る。「3.5ポンドを返しにダハブへ舞い戻ってきた」感動的な再会を期待していたのですが、「あー、また来たの」という感じのそっけない反応。考えてみれば、ダハブは長期滞在する人が多いし、同じ日本人が顔を出したくらいで感動はしてもらえません。
 ベジサンドイッチ(18ポンド)を食べて、猫と遊びながらぼんやりする。こんなゴージャスな食生活を送るのは久しぶりですが、本当に居心地が良いので惜しくありません。

 夜の土産もの屋通りをお散歩。
 当然客引きはありますが、シャルムやカイロのような凶悪さが感じられません。後になって性質の悪いヤツらにも会いましたが、全体的には引き際の潔い普通の商人、という印象です。
 オイル屋の前で、客引きにつかまる。買う気はないですが、お喋りしないと退屈なので、店に入ります。
 これがこの旅の第二の素敵体験、バッサームبسامとの出会いでした。

 最初に声をかけてきたのはバッサームではなく従兄弟の方だったのですが、彼らでこのオイル屋と、遊歩道沿いの警察署のすぐ脇にある土産物屋の二件を経営しているようです。
 オイル屋でのお喋りでは、もう一つ楽しい体験がありました。二度目のご来店らしいロシア人カップルとの出会いです。
 彼女がオイルマッサージを受けている間、わたしと彼氏でお喋り。彼はアラビア語はまったくできないので、言語は英語です。
 最高だったのが、彼の職業がプログラマーだったこと(マネジャークラスらしい)。ロシアの同業者と初めて出会いました。主な言語はPHPとのこと。
 彼は英語もあまり上手ではなく、その言語の拙さをしきりに恐縮しています。姿勢も猫背だし、ロシア人だから当然ですが生っ白いし、喋り下手でシャイな感じが理系少年というか、日本人に似ていて、とても好印象でした。エジプト人とはエライ違いです。
 なぜかわたしの好きな人にはロシア語を学んでいる人が多いのですが、わたし自身はロシアについてまったく知識がありません。唯一知っているロシア人と言えば、大分以前にフランスで出会い、わたしの友人から二万円借りてそのままモスクワに逃げたカス野郎だけで(貸す方が悪いですが)、エジプトでのロシアのイメージは一般的には悪いので、彼と出会うまではあまり良い印象を持っていませんでした。この朴訥なプログラマーと出会えたお陰で、わたしの中でのロシアのイメージが抜群に良くなりました。
 周りのエジプト人が「モスクワは寒い、こっちの方が良いだろう」としきりに言う一方、「寒さは別に問題じゃない、それより喧騒と空気が悪いのが耐えられない。ダハブは本当に心が落ち着く。ダハブに家を持つか、ホテルを経営できないか、本気で考えているんだ」と語ります。
 ダハブにはロシア人が多く、ウォッカを出す店がたくさんありますが、彼はダハブではお酒を飲まないそうです。「なぜかはわからないが、多分気候のせいだろう。モスクワではお酒を飲むけれど、こちらで飲むと気持ちが悪くなるので、やめているんだ」。お酒を飲まない一方、タバコについては非常にヘビーなエジプト人について「君達の体は、何世代にも渡ってタバコに適応しているんだろう。わたしの体がウォッカに向いているように。わたしは到底君達みたいなタバコは吸えないよ」と語ります。
 彼の勤務先は、イタリアと日本の共同出資によるボンジョルノという会社だそうです。企業名を書くのは流石にマズイかと思ったのですが、彼から感じられるロシアの印象、勤め先のイメージが、悉くポジティブなものだったので、応援の気持ちを込めて書いてしまいます。御社の開発者は、本当にグッドバイブです!
 ちなみに、彼の直近の上司は日本人K氏といい、「物静かで大変高潔な人物」とのこと。「日本人は、お酒を飲んで豚肉を食べること以外、ムスリム以上にムスリムらしい」とはエジプトでよく聞くお褒めの言葉ですが、ロシアでも好印象を残している大先輩K氏に敬意を払いたいです。

 どういう流れだったのか、オイル屋を後にして、バッサームが主に取り仕切っている土産物屋の方に移動します。
 わたしがアラビア語を話し、イスラームに関心を持っていると知ると、段々態度が変わってきます。「どのスーラを覚えている?」と聞くので、知っているスーラを片っ端から暗誦すると、「アッラー、アッラー」と感心してくれます。こういう時は、アラビア語、特にフスハーを勉強していて本当に良かったと思います。
 「お前は他の日本人と違うな。本当の話、ここに来る外国人は酒を飲みセックスをして、ハラームなことばかりしている。俺は日本に行ったとしても、日本人とは結婚したくないよ」と本音を漏らしだします。
 バッサームはサイードと同じくアスワーンの出身。この辺りのビーチリゾートは、アスワーン出身者が非常に多く働いています。彼もまたベドウィンがあまり好きではなく、アスワーン人とベドウィンは何故か相性が悪いようです。カイロやアレキサンドリアに親戚がいて、遊びに行く予定がある、とのこと。
 バッサームという名前は、「微笑み」を意味するبسمという語根から派生していて、名前の通り丸っこくて人懐こい顔に笑顔を絶やしません。外国人についてはセックス&マネーしか期待しないエジプト人が少なくない中、彼はサイードと並んでエジプトで出会ったなかで最も親しみの持てる男でした。

 彼と話していて感じましたが、観光客からボッタくるエジプト人というのは、本当のところハラームな振る舞いばかりをする外国人が好きではないのではないでしょうか。「商売だし、あんなヤツらから巻き上げるのは当然」と思っているのかもしれません。逆に、一旦友達になると絶対にボッタくるような真似はしないし、それどころか頼みもしないのにあらゆるものを無償で提供しようとします。
 ボッタクリについても、「固定価格」という観念の薄い社会では、日本で考えられているような詐欺商法とは言い切れません。値段が場所で変わるのは当然ですし、「持てるものからお金を取り、バンバン使う」という互酬再分配システムとして機能している、とも受け取れます。
 実際、お金を持っている人には使う「義務」があるかのような倫理観があります。結果として、お金持ちがバンバン使って貨幣を流動化しているのですから、お金の正しい回し方をしています。観光客には稼ぐ方の契機がないので、結果的に「ボッタクリ」になってしまっていますが、欧米や日本・韓国の人々がグローバルな搾取によって稼いでいると考えれば、観光客がお金を使うのも当たり前です。
 問題としては、バーンと稼いで気前良く再分配する立場の者が、封建的権益を得る、ということがありますが、封建システム自体を悪と考えるのも、特殊西欧近代的なバイアスではないでしょうか。わたし個人は極右なので、民主主義とか嘘くさい話はやめて、封建主義で回す方が神様も喜ぶと信じています。

 話がズレましたが、バッサームとの会話で「礼拝の仕方が未だにおぼつかない」と言うと、店の奥で礼拝の練習が始まりました。こういうのは、前々から望んでいたことだったので、一所懸命順番を覚えます。スーラは一人でも暗記できますが、所作の風格みたいなものは、ボーンムスリムが家庭で学ぶように親しんでいきたいです。

 そんなことをしていると、エジプト人女性二人が店に入ってきました。
 「何してるの」「この日本人がイスラームを勉強していて、礼拝を教えているんだ」と言うと、アマーニーというこの女性が大変感激して、ヒジャーブの着用法などを手取り足取り教えてくれます。
 彼女はアレキサンドリア在住で、ダハブへ遊びに来られることからして、かなり社会的階層の高い人です。全身から品の良さと教養が漂っていて、早口で目を輝かせながら語るものの、決して下品になりません。旦那様はイマームだそうで「いつでもアレキサンドリアに来て。日本語の本もあるし、何でも手伝える」と言ってくれます。
 彼女はバッサームよりずっと宗教的教養のある人で、バッサームがわたしの手帳に書いてくれたタヒーヤ(礼拝の3ルクア目以降でファーティハの後に暗誦する文句)に間違ったところがある、と訂正してくれます。上品な叔母様の前では、バッサームもタジタジです。
 挙句に彼女とそのお友達の二人が、一人一枚ずつヒジャーブ用のスカーフをプレゼントしてくれました。恐縮しているところにアマーニーの旦那様が入ってきて、イスラームの勉強の仕方について、滔々と語りだします。正式に入信したいなら証人になるので、いつでもアレキサンドリアに来い、とのこと。
 この「怒涛のような親切」は何度も経験しましたが、嬉しい一方、あまりの展開の早さに目が回りそうになります。バッサームも後で「いや、俺も途中で『いきなり全部は無理だ、一歩ずつやる方がいい』って言ったんだけど・・」と笑っていました(笑)。

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  1. 再びダハブへ、ロシアのプログラマー、礼拝の練習|2009/09/28(月) 21:07:06|
  2. シナイ半島の旅

シャルム・ッシェーフからダハブへ

9/23

 朝、とりあえずハリーグ・ッナアマ(ナアマベイ)まで行くものの、既にやることがありません。昨日あったハーリドおじさんに挨拶して、「どうしたものか」と考えていたら、突然「ダハブに行く」というアイデアが閃きました。
 ダハブはシャルムからアカバ湾沿いにバスで一時間半ほど北上したところにあり、同じくビーチリゾートですが、物価がずっと安く、バックパッカーの聖地として知られたところです。
 まったくの思いつきですが、行き当たりばったりの方が面白いし、どうせ暇なのでダハブを覗いてみることにしました。

 マイクロバスで長距離バスターミナルへ。
 長距離バスターミナルは、ハリーグ・ッナアマとイル・ミーヤを結ぶ道のちょうど中間にあるのですが、この通りからすぐの旧ターミナルと、通りから離れた新バスターミナルがあります。マイクロバスを降りて旧バスターミナルに行ったのですが、廃墟のようで警官(見た目は兵隊)がたむろしているだけです。シャルムに着いた時は夜中でよくわかっていなかったのですが、旧バスターミナルは降車専用になっているらしいです。
 警官が「通りの最後にある」というのでそちらに向かってみたのですが、その通りというのが砂漠の真ん中をひたすら突っ切っている道で、「最後」なんて地平線の彼方です。本当にそんな場所なのか信じられず、新聞売りに聞いたところ、また「通りの端っこだ」と言います。仕方ないのでついでに新聞を買って歩き始めました。
 ちなみに、新聞は普通1ポンドですが、シャルムでは1.5ポンドが相場で、この新聞売りは通りで車に売っているせいか、4ポンドくらいボッタくりました。

 この通りの最後に、バスターミナルがあります。ちょっと凹みます。

シャルム・ッシェーフの長距離バスターミナルへの道
シャルム・ッシェーフの長距離バスターミナルへの道 posted by (C)ほじょこ

 タクシーが時々声をかけてきますが、「いらん」の一点張り。とはいえ、こんな道を真昼間に歩いていたら、バスターミナルに着く前に日射病で二回くらい死ねそうです。後でこの通りもマイクロバスが通っていると知ったのですが、この時は「気合で歩くかタクシーにボッタくられるか」の厳しい二者択一を迫られていると信じていました。
 突然、軽トラ状の小型保冷車が止まり、声をかけてきます。「どうせロクでもないヤツだろう」と思いつつ、一応「バスターミナルまで行く」と言ってみると、「乗せてやる」と言います。「いくらだ」と聞くと「金はいらん、これはタクシーじゃない」とのお答え。多少不用心ですが、あまりの日光のキツさに参っていたので、お言葉に甘えてみることにしました。
 これがこの旅で最高の思い出の一つになった、サイードとの出会いでした。

 サイードはエジフードという食品会社のトラックドライバー。アスワーン出身で、アレキサンドリアに家族がいて、シャルムに出稼ぎに来ているそうです。本当にバスターミナルまで送ってくれて、一緒にバスを待つことになりました。
 最初の頃は「また面倒なのに気に入られてしまった」と警戒心バリバリだったのですが、物静かで全身からイイ人オーラを放っています。声をかけてくるエジプト人の九割方はセックス&マネーが目的だと思ってよいですが、一割くらいは本当にイイ人がいます。彼はその一割の方でした。
 何度もバスの時間を気にしていると「聞いてきてやる」と自分で聞けるのに窓口まで行ってくれます。おまけに、なんということか、ダハブまでのバスチケットを奢ってくれました。
 さすがに恐縮して何度も断ったのですが、チケットやらお茶やらお菓子やら、次から次へと買ってくれます。エジプト人は、とにかく困っている人は絶対に放っておかず、時に助けすぎるくらい助けてくれて、それがかえって困るくらいなのですが(笑)、サイードのイイヤツぶりは飛びぬけています。お喋りすぎないのも男らしくてカッコイイです。
 バスが到着して「乗る」と言っているのに「まだ大丈夫だ」とお喋りを続けようとし、電話番号を交換した後、バスが発進してから慌てて追いかけてつかまる、という別れ方をしました。

 バスはカイロからのバスと同じく非常に清潔で快適。
 なぜかコリアン女性の四人組が「チケット20ポンドは高い」とゴネていて、わたしに「いくらだ」と聞いてきます。サイードが買ってくれたのでよくわかっていませんでしたが、チケットを見ると20ポンドと書いてあります。確かに聞いていた相場より高いのですが、印刷してあるのでボッタクリとも思えません。
 シャルム-ダハブ間は最終的に三回行き来することになったのですが、バスの値段がその度に違い、この時が一番高かったです。切符に印刷されているので、顔を見てふっかけているわけではなく、何らかの基準で便により何通りかの料金があるようです。

 海沿いではなく、岩砂漠の中をひたすら走ります。シナイ半島の砂漠は日本でイメージする「砂漠」ではなく、赤茶色の岩がゴロゴロして、たまに申し訳程度の草が見える礫砂漠です。起伏が激しく山が続きますが、この山も山というより巨大な岩という感じで、こんなところをラクダで旅した昔の人は尋常ではありません。火星の大地のようです。
 行程の途中で小さな集落を見かけたのですが、当然電気もガスも水道もなく、農業などまったく不可能な地で、一体どうやって暮らしているのか不思議です。子供がラクダに乗って走っていました。

シャルム・ッシェーフからダハブへ
シャルム・ッシェーフからダハブへ posted by (C)ほじょこ

 ダハブ着。
 長距離バスターミナルでは、例によってタクシーの客引きが寄ってきます。シャルム以上にダハブの地理事情に無知だったのですが、マシュラバという所がバックパッカーの沈没エリアらしい、という程度の知識はあったので、「マシュラバまでいくらだ」と聞くと「25ポンド」と言ってきます。
 「アホか」と思い「いらん、歩く」と言うと、どんどん値下げしてきて、最終的に5ポンドになりました。後でわかりましたが、マシュラバ-ダハブ長距離バスターミナル間の現在のタクシー相場は5ポンドです。
 でも、着いていってみると乗り物は軽トラ。トラックの荷台に乗る乗り合いタクシーです。これなら5ポンドでも高いです。ヨーロッパ人の先客に「いくら払った」と聞くと「10ポンド」と言います。軽トラの荷台で10ポンドはボッタクリでしょう。
 ちなみにこの「ハムシー、シュクラン(歩くしいらん)」作戦はかなり有効で、ほぼ確実にタクシーは値下げしてくれますが、諦めて行ってしまうこともありますので、本当に歩く覚悟をもって言った方が良いです。わたしはデフォルト歩くつもりで、すべてを諦めて行動するようにしています。

 マシュラバ着。
 西部劇の舞台みたいな場所で、メキシコかタイのショボいリゾートのようです。とにかく、エジプトの雰囲気ではありません。
 ゆる~いイイ感じの空気が流れていて、一発で気に入りました。ビーチ沿いに出て、ブラブラお散歩します。シャルムのような喧騒もないし、嘘くさい高級リゾートでもないし、みやげ物屋やビーチ沿いのマタアムの客引きはあるものの、カイロやシャルムのようにしつこくありません(値段はちゃんと高い)。

ダハブの路地
ダハブの路地 posted by (C)ほじょこ

 シャルムと同じく、犬が多くて、かつカイロのように荒んだ野良犬ではないのも、エジプトの他の地域とは違います。犬も人間もフレンドリー。穏やかな地に暮らしていると、生き物すべてがグッド・バイブレーションになるのでしょうか。
 ビーチ沿いの遊歩道の橋に寄りかかり、ぼんやり夕暮れを眺めます。静かに打ち寄せる波の向こうには、アラビア半島の山々が見えます。海の向こうはサウジアラビアです。

ダハブの海
ダハブの海 posted by (C)ほじょこ

 ひとしきりビーチ沿いを探検した後、MEYA MEYA(ミーヤミーヤ=絶好調)というマタアムに入ります。ベドウィンスタイルなる地べたに寝転がってくつろげるマタアムです。ドレッドのお兄ちゃんが印象的だったのでここにしました。
 ベジタブルライス(17ポンド)とシャーイ(4ポンド)を頼み、新聞を読んだり海を眺めてひたすらぼんやりすごします。

MEYA MEYAのベジタブルライス
MEYA MEYAのベジタブルライス posted by (C)ほじょこ

 こんな穏やかで心地よい時を過ごせたのは、エジプトに来て初めてです。この世の天国だと思いました。
 さらにアシール・ガワーファ(グワヴァジュース、14ポンド)を頼んで、日が暮れても読書ですごします。シャルムのホテルを引き払ってこなかったのを後悔しました。
 もっと長くいたかったのですが、荷物を置いてきてしまっているので、シャルムに戻らざるを得ません。泣く泣く最終便のバスに乗るべく店を出ようとすると、小銭が足りません。
 結局31.5ポンドだけ払い、「残りの3.5ポンドは明日でいいよ」と言われました。「シャルムに戻ってしまう」と伝えると「じゃあ次に来た時ね」とのお答え。「ありがとう、インターネットに書いておくよ!」とお礼を言って店を去りました。
 この内容で35ポンドはかなり高いですが、ビーチ沿いの観光客向けマタアムの中では安い方です。もちろんシャルムよりは大分安いです。食べ物も美味しかったし、とても居心地が良かったので、観光地価格でも不満はありません。
 ちなみに、安く済まそうと思えばダハブには大衆食堂もあります。ビーチ沿いは観光客向けの店が並んでいる、というだけです。

ダハブのMEYA MEYAからの夕暮れ
ダハブのMEYA MEYAからの夕暮れ posted by (C)ほじょこ

 マシュラバの乗り合いトラック乗り場から長距離バスターミナルへ。タクシーを拾うと、最初15ポンドでしたが、値切って10ポンドに。これでも高いですが、この時点では相場が把握し切れていなくて折れました。

 シャルム行きのバス、15ポンド。来た時は20ポンドだったのに、なぜか安くなっています。

 シャルム着。
 長距離バスターミナルにはベドウィンがたむろしていて、ボッタクリタクシーに引っ張り込もうとします。トラックの荷台で25ポンドとかふざけたことを言っているので、完全拒否です。
 ベドウィンは湾岸系のようで少し違うファッションをしているので、一目でわかります。ダハブもシャルムもベドウィン出身者がかなり多いです。前にDさんが「生まれた時からフスハーだけ喋っている」と言っていた人たちです。
 実際には、街で働いているベドウィンはエジプト方言を話せるし、ベドウィン独特の方言もあるそうなので、「フスハーネイティヴ」というのは正しくないでしょう。ただ、エジプト方言(カイロ方言)よりはフスハーに近い言葉のようですし、エジプト方言は元々彼らの言葉ではないですから、フスハーでコミュニケーションを取る機会が比較的多く、結果的に長じているのかもしれません。
 とりあえず、外国人が接触する街で働く定住ベドウィンは、「ベドウィン」という言葉の純朴な響きと正反対に、野獣のように面倒なヤツらが多いですから、気をつけて下さい。カイロの貧困エリアにおける「子供」という言葉と一緒です。人間だと思ったら負けです。

 「バスターミナルに着いたら電話して」とサイードが言っていたのですが、また送迎させるのも申し訳ないので、大通り沿いまで歩きます。夜なら余裕で歩ける距離です。
 大通りでマイクロバスに乗り込み、イッ=スーゥ・ル=アディーム(オールドマーケット)に戻ります。そこからサイードに電話すると、オールドマーケット内の店にいるとのことで、一緒にお茶することにしました。

 店と言っても、マタアムでもマクハーでもなく、納品先らしいスーパーの前でみんなでお茶を飲みながらダベっているだけです。例によってお茶やらお菓子やら「これでもか」という程奢ってくれます。
 彼はこの辺では知られた顔らしく、友人達とのやり取りから察するに、結構ボス的ポジションにいるようです。確かに兄貴分の風格のある男です。こんな兄貴なら、わたしも子分になってジャムパン買いに走りたいです。
 シャルムでは数年前に爆弾テロがあったのですが(ダハブも同様)、現場はオールドマーケットを出てすぐのところだったそうです。てっきりナアマベイだと思っていたのですが、なぜ敢えてイル=ミーヤを狙ったのでしょう。
 彼は「テロはイスラエルの仕業で、ベドウィンがその手助けをしている」と言います。過激なイスラーム主義者が外国人を狙っている、というのが通説だと思うのですが、エジプトではこの手の「イスラエル陰謀説」が非常に多いです。
 ただ、シャルムもダハブも、イスラエルによる占領から奪還した土地ですから、イスラエルが何らかのパイプによって扇動を図っていたとしても、そんなに驚きません。「陰謀説」もあながち単なるトンデモとは退けられないし、日本人も欧米からの偏向報道に踊らされすぎています。
 また、ベドウィンが何らかの形でテロに関わっている、という可能性も否定は仕切れません。シナイ半島のビーチリゾートは、元々ベドウィンの土地で、一般にエジプト人とベドウィンは仲が良くないです。「ベドウィンはお金を持っているイスラエル人と仲良くしたがる」という話も聞きますし、元々は国境などという観念と無縁な人たちですから、何か関係くらいはあるのかもしれません。
 何故かよくわかりませんが、サイーディー(上エジプト出身者)は特にベドウィンを毛嫌いしている傾向があります。

 サイードが突然「カリーマを知っているか」と聞いてきます。「カリーマって、カリーマ・イル=サムニー?」と尋ねると「そうだ」との答え。前のNHKテレビアラビア語講座の講師で、NHKのアラビア語放送のアナウンサーでもある、あのカリーマ先生です。
 確かに彼女は半分エジプト人ですが、エジプト人からカリーマ先生の話題を振られるとは、想像もしていませんでした。アスワーンでは有名人らしいです。なぜアスワーンなのでしょうか。
 ちなみに、わたしはサインも持っているくらいカリーマ先生大好きっ子です。お美しくて話もおもしろくて、本当に素敵な方です。写真で見ると普通の日本人っぽいのですが、お会いしてみると結構エジプト人ぽかったです。イメージより小柄で可愛らしい感じだったのが印象的です。

 彼の友人の一人が「ゴルブ」という言葉を使い、わたしが「?」という顔をしていると、「قلب heartのアスワーン方言だ」と教えてくれました。カイロ方言ともフスハーとも違う発音です。قがg音に変化するのでしょうか。興味深いです。

 お金もないし迷ったのですが、ダハブのあまりの素晴らしさに、翌日からダハブに移動することを決意。
 高級ビーチリゾートで遊びたいならシャルムですが、そういう志向の日本人は多分エジプトには行かないと思うし、ぼんやりしたいならダハブです。ダハブ、最高! かなり真剣に住みたいです。
 ただ、ダハブもここ数年すごい勢いで開発が進んでいると言いますし、実際あちこちに建設中のホテルがあります。物価についても、シャルムより安いとは言え、カイロなどよりは高いです。おそらく、数年前だったらもっと安くてのどかな場所だったのでしょうが、現在ではかなり普通のリゾートに近くなりつつあります。
 バックパッカーは、ヌエバアとかもっと僻地を目指すようになっているのではないでしょうか。
 ちなみに、シャルムはイタリア人が非常に多く、英語に次いでイタリア語が準公用語なのに対し、ダハブの比較的高級なエリアはロシア人が多いです。ロシアの次はドイツ人ではないかと思います。
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  1. シャルム・ッシェーフからダハブへ|2009/09/28(月) 21:00:35|
  2. シナイ半島の旅

ハリーグ・ッナアマ(ナアマベイ)、グラスボート、オールドマーケット

9/22

 Dさんからの電話で目を覚ます。「朝食を食べよう」とのことでしたが、さっき食べたばかりで眠いし、気が乗りません。一度は「いらない」と言ったのですが、寝ていても仕方ないので、仮眠のみのままノソノソ朝食へ。
 外へ出ると、日差しが痛いです。空気は澄んでいますが、太陽光線のパワーもカイロより一段強力です。
 朝食はフールとエーシとチーズやサラダといった、よくあるホテルの朝食メニュー。あんまりおいしくなかったですが、どのみち食べる気がなかったので、ちょっとつまむだけで終了。
 大通りまで一緒に出て、マイクロバスを拾います。「ハリーグ・ッナアマに行けばなんでもある」と言い残して、彼は仕事で途中で降りてしまいました。
 超マニアックですが、シャルム・ル=ミーヤの大通り近くに、漫画太郎の作品のババァに似ている岩があります。わたしの中で「ババァロック」と名づけました。

シャルム・ッシェーフの画太郎っぽい岩
シャルム・ッシェーフの画太郎っぽい岩 posted by (C)ほじょこ

 ハリーグ・ッナアマ(ナアマベイ)到着。もう、絵に描いて額に入れたような高級ビーチリゾートです。

シャルム・ッシェーフのハードロックカフェ
シャルム・ッシェーフのハードロックカフェ posted by (C)ほじょこ

シャルム・ッシェーフのビーチ
シャルム・ッシェーフのビーチ posted by (C)ほじょこ

 タイのプーケットのような場所を想像していたのですが、まったく比較にならないほどゴージャスです。まわりはヨーロッパ人ばかり。特にイタリア人が多く、英語に次いでイタリア語が公用語のようです。あられもない格好の欧米人に混ざり、時たま湾岸のアラブが完全武装で歩いている、という、面白い風景になっています。
 マリンスポーツに興味がないし、通りを歩いていても殺人的に暑いだけなので(夜は天国)、「どうしたものかなぁ」と、とりあえず海のそばまで行きます。
 海は素晴らしく澄んでいて、テレビでしか見たことのない極彩色の魚が普通に泳いでいます。それを見たら、大して興味のなかったビーチが段々素敵に思えてきました。

シャルム・ッシェーフの海
シャルム・ッシェーフの海 posted by (C)ほじょこ

 グラスボート(底が透明になっていて海の中が見られる船)があると聞いていたので、うろうろしていると、マグディーと名乗るおっちゃんが声をかけてきます。グラスボートもやっているようなので、値段を尋ねると40ポンド。事前に仕入れていた相場価格より安いので、乗ってみることにします。
 ボートの乗客は、エジプト人が多いです。ムスリマは水着になれないし、結果的にグラスボートに流れてきているのでしょう。わたしの他は、サウジの男性が一人と、後は全部エジプト人の家族連れでした。

シャルム・ッシェーフのグラスボート内部
シャルム・ッシェーフのグラスボート内部 posted by (C)ほじょこ



 動画で見ると、海の魚より船のエジプト人のはしゃぎっぷりの方が面白いです。
 ちなみに、このサウジのアラブは、普通にエジプト方言で話していて、会話に不自由ないようでした。エジプト人が聞いたら「なんちゃってエジプト方言」なのかもしれませんが、わたしにはまったく識別つきませんでした。エジプト方言は、映画やテレビの影響でエジプト以外でも通じることが多い、とされていますが、この人が元々エジプト方言を話せるのか、エジプトで仕事でもしていて話せるのかはよくわかりません。

 グラスボートの後、まったくやることもないし、高いので飲食店にも入りたくないので、あてどもなく日陰を求めてさまよいます。
 くつろいでいるおっちゃん二人が声をかけてきたので、お邪魔すると水をおごってくれました。
 ハーリドと名乗るおっちゃんは、わたしがLMアブヤドを勧めても「俺はマルボロしか吸わない」とか言うし、モハンディスーンに家があるとか言ってるし、相当お金持ちな感じです。まぁ、ここで働いていれば、エジプトのどこで稼ぐよりリッチになるのは簡単でしょう。出身はアスワーンのようです。
 一緒に新聞を読んで遊びます。ナイル上流で取水口が建設されているのにイスラエルがかんでいるとか、そんな話をおっちゃん二人とダラダラしました。

 ハーリドさんとバイバイしてから、またウロついていると、例によって男が声をかけてきます。客引きは非常に多いのですが、「お茶しよう」とか言っているし喉も渇いていてしんどいので、ナンパを利用してタダメシでもゲットするかと着いていったら、よくあるオイル屋のキャッチでした。
 でもエアコンきいてて涼しいし、お茶もタダなのでテキトーにダベります。ドバイに両親がいるとのことです。適当に調子を合わせていると、ナンパはダメだとわかったのか、オイルの売り込みが来ます。試すだけならタダなので腕に塗ってもらったら気持ちよかったので、ものは良いのかもしれませんが、1グラム1ポンドとかすごいことを言ってくるし、買う気ゼロです。
 「いらん」と言うと「効果がなかったら、もう一度来たときに一番大きい瓶をあげる」とか言いますが、そんなことでシャルムに戻ってくるバカはいません。断ると「マッサージしてあげる」とか、これまたよくあるパターンに。
 こういう「金かセックスか」が渦巻く風景にはうんざりしますが、考えてみれば世界中どこでも一皮剥けば世の中そんなもんだし、エジプト人は露骨でわかりやすいだけ、むしろマシかもしれません。一方で、金でもセックスでもないモチベーションで助けてくれる人も大勢いるし、すべてが極端なだけで、本質は世界共通な気もします。
 マッサージは丁重にお断りし、無料でお茶とオイルお試しを頂戴し、トンズラしました。

 通りでまたナンパ。これは通例なのですが、この男がイスラエル人でした。
 シャルムにはイスラエルからの観光客が大勢いますが、イスラエル人と接触したのは生まれて初めてでした。
 ただ彼は、英語もアラビア語も片言以下しか喋れず、「何がしたいねん!」とこっちがツッコむくらいコミュニケーションが取れません。彼も歯がゆいようで、手首にはめたホテルのキーを「ここ、ここ」と見せてきます。そんな犬を手なずけるような方法についていく女が、世界中のどこにいるというのでしょうか。
 さすがシオニスト、やることが半端ないです。

 夕方にオールドマーケットに戻ります。昼間はグッタリしているしかないオールドマーケットですが、夜は一変してワンダーランドへと変貌します。

シャルム・ッシェーフのオールドマーケットの夜
シャルム・ッシェーフのオールドマーケットの夜 posted by (C)ほじょこ



 素人らしく「地球の歩き方」情報からナグマト・シーナーゥというシーフードレストランに。
 オールドマーケットの南のゲートを入ってすぐ右に曲がり、ちょっと行った左側です。イル=マスリイーンの並びです。
 店の雰囲気は小奇麗すぎてファミレスみたいで、少し悪い予感。
 昨日食べ損なった(というかこの日の朝ですが)ボリ・マシュウィーを食べます。サラダ、エーシ、タヒーナ、ロズはデフォルトでついていて、40ポンド。

シャルム・ッシェーフのヌグマト・スィーナーッのボリ・マシュウィー
シャルム・ッシェーフのヌグマト・スィーナーッのボリ・マシュウィー posted by (C)ほじょこ

 ぼったくりとまでは言わないですが、内容の割りには高いです。メニューもないのでボラれたかもしれませんが、シャルムという前提なら相場的にあり得る価格なので、文句は言いませんでした。
 魚がないことさえ受け入れるなら、イル=マスリイーンの方が値段も味もずっと良いです。

 暇でぶらぶらして、ホテル近くのショッピングモールに入っているカフェでアシール・ライムーンを飲む。10ポンド! しかも異様に甘くて最悪。
 この店にはアイスクリームもあったのですが、25ポンドという凄まじいお値段でした。

 シャルムの海はキレイだし、お金さえあればゴージャスに遊べますが、小奇麗さを求めていない貧乏旅行者にはあまり楽しい場所ではありません。帝国主義者どもの退廃ぶりにも、客引きのしつこさにもグッタリします。
 この日一日の経験の中では、ハーリドおじさんとのおしゃべりが一番楽しかったです。
 部屋に戻って寝転がりながらホテルで勉強しました。勉強は心が落ち着きます。
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