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アクサー・モスクの攻防

アクサー・モスクの攻防
占領がアクサー・モスクに至る イスラエルの報告書、聖墳墓教会をユダヤ遺跡に含むことを明かす

 ヘブロンの聖域からエルサレム、アクサー・モスクから聖墳墓教会まで、西岸すべての地区で、昨日、緊張が最大限にまで高まった。メディアのリポートがこれらをユダヤ遺跡に含もうとしていることを明かしたからで、イスラームの聖地もキリスト教の聖地も等しく対象とする宗教戦争と発表はみなしている。
 ユダヤ教過激派にプーリームを祝い侵入するとの脅しを受け、パレスチナ人の若者がアクサー・モスクに泊まり込んだ夜の後、占領当局が聖なる庭に侵入した。抗議するパレスチナ人が「非ムスリムの来訪者」にモスクの中庭で石を投げつけている、との口実が使われたが、パレスチナ筋によると、来訪客には入植者やユダヤ過激派がおり、両者の間で揉み合いとなり、パレスチナ人十二人が負傷した。
 エルサレムでは、宗教的および国家的指導者の「参拝」呼びかけによって、緊張が日々高まっており、モスク中庭での活動は「明日も明後日もその後も、ユダヤ過激派に対抗しアクサー・モスクへの侵入を防ぐ」。
 目撃者によると、大勢の軍と警察がヘルメットに警棒を携え、旧市街のすべての入口と家々の屋根に展開しており、軍は聖地の門を金属の鎖で閉じ、パレスチナ人の立ち入りが益々制限され、軍の若者に対する攻撃は旧市街の細い路地にまで至り、占領軍によるゴム弾や催涙ガスの被害を受ける者もいる。
 攻撃を背景に、モスクのイマームの声とムアッジン(訳注:アザーンを行う人)の声は高まり、スピーカーを通しエルサレムの救済を呼びかけている。アラブ大学の抗議声明による呼びかけでは、イスラエル軍のアクサー・モスク侵入が激しく非難され、アラブ政治と国際法を無視している、とされた。
 パレスチナおよびアラブの知識人の間では、エルサレムへの「参拝」が、占領当局に従うことと見なされるのか、占領包囲の破壊を試みることとみなされるのかを巡って、議論が続いている。一方、エジプトのコプト教会は、エルサレム参拝はパレスチナのビザによる以外拒否する、と確言した。
الاحتلال يقتحم «الأقصى».. وتقارير إسرائيلية تكشف نوايا لضم «كنيسة القيامة» للتراث اليهودى

 شد الرحالは、聖地巡礼を指すようなのですが、「巡礼」という日本語はイスラームではحجまたはعمرةに充てられているので、とりあえず「参拝」にしておきました。
 マッカへのハッジ以外、イスラームには「巡礼」はないはずで、エルサレムと言えど、本来は別段「聖地」ではありません。いささかワッハービーな考え方ではありますが、聖者廟詣でやエルサレムにある「宗教的遺跡」を有り難がって訪れることも、厳密には反イスラーム的です。
 とはいえ、多くの民衆にとってエルサレムが特別な場所であるのは事実で、イスラーム的というより政治的な意味で、イスラエルの行いは愚かとしか良いようがないでしょう。

参考:
كنيسة القيامة 聖墳墓教会 - Wikipedia
عيد المساخر プーリーム - Wikipedia
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  1. アクサー・モスクの攻防|2010/03/02(火) 03:14:08|
  2. エジプト留学日記

帰国

 超重いスーツケースに苦しみながら、久々にタクシーを拾い、空港へ。
 今、カイロのタクシーは、従来の黒と白の「交渉タクシー」と、白黒チェックの「メータータクシー」が混在しています。数年後にはすべてメーター式タクシーに置き換わるそうで、逆に言うと、現時点で白黒チェックになっているタクシーというのは、比較的経済的に余裕があり、優良なタクシーということです。
 白黒チェックが来るのを待ち、メーターを使うことを確認して出発(メーターが付いていても使わないドライバーがいるので、確認が必要)。結果的に、35ポンドと大変良心的な価格でした。
 ドライバーも割と礼節のある人で、図々しく話しかけられることもなく、会話が始まってからも節度があり、話の流れで宗教を尋ねられた時も「失礼ですが、あなた様حضرتكはムスリマ?」という聞き方をしてくれて、好印象でした。
 何でカイロにいたのか、とか、どの辺に住んでいた、これからどうする、といった定番の会話だけでしたが、車中でもほぼ完全に会話が聞き取れ、リズムよく会話ができたので、アーンミーヤの欠片も知らなかった半年前を思い、感慨深くなりました(わかり易い話題だったお陰ですが)。

 イスタンブールでトランジットのトルコ航空。
 イスタンブールには夕方着、日没後出発だったので、空の上からだけですが、昼と夜の街の風景を眺めることができました。綺麗な街並みです。なんだかヨーロッパのようで、空からの風景だけでも、カイロとはエライ違いです。思えば、半年前に着陸直前に空から見たカイロは、ギラギラといかにもドギツイ印象で、夜景からだけでも熱く濃厚な血の匂いがしたものです。
 イスタンブールは緑もあるし、全体に落ち着いているし、トルコ人も(エジプト人に比べて)静かで礼儀正しいし、ご近所のイスラーム圏といってもこれほど違うのか、と感心するやら凹むやら。
 大体、トルコ航空の飛行機に乗った瞬間から、一切アラビア語というものが存在しなくなります。イスタンブールー成田間や、エジプト航空のカイロー成田間では日本語のアナウンスがあるわけで、つまりは「乗客の中で多数派の言語」「国力に上回る言語」というのは、当該航空会社の国籍を問わず、飛行機内で力を持っているものです。ということは、トルコーエジプト関係においては、エジプトは全然相手にされていないということで、少しションボリします。試しにアラビア語でまくし立てても、客室乗務員はまったく理解してくれません。乗客もほとんど非エジプト人です。
 まぁ、相手はEU加盟も視野に入れようというオシャレ国家ですからね。エジプトが「EUに入れてくれ」と言ったら、タライでシバかれてツッコまれそうですもんね。「自分アフリカやろっ」という。
 そう思うと、あんなオシャレな国からの労働者を顎で使っているヨーロッパ様というのは、どんだけなんや!という気もします。あたしゃアフリカでいいよ、アフリカで。砂漠の方がいいよ。極東の黄色い猿だし、色の付いてるモン同士仲良くしましょうぜ・・。

 英語で喋らざるを得ないのですが、アラビア語漬けのうちにむしろ英語が下手になっている上(シャレにならん)、特にここ数カ月、英語を口にすることに生理的な抵抗を感じるようになっています。何というか、英語では自分の言いたいことが言えている気がしない。何か屈辱的な気持ちになる。アラビア語では、たとえ満足に表現できなくても、そういう卑屈な気持ちには全くなりません。思い切り気持ちを表せる。舌足らずでも、わたしがわたしなのだ、という自信が持てる。
 英語は嫌いや。何で我が祖国に原爆落としたりシオニストの用心棒やってる奴らの言語を使わなアカンのや。いや、別に彼らだけの言語ではないのですが、まったくの個人的偏見で、口にする度に自分が自分でないようなムカムカする気持ちになってしまいます。

 イスタンブールー成田では、日本人老夫婦の奥の席だったのですが、前を通る時に「すいません、失礼します」と言ったら、「日本語上手ですね」と言われてしまいました。アバーヤにマント、サングラスという、いつもの「変な外人スタイル」のままだったので、無理もないですが・・・。頭のおかしい日本人ですいません。
 しかし、我ながらこの風来坊スタイルがよく似合います。というか、普通の日本の女の子の格好がめちゃくちゃ似合いません。大体、日本の女の子は可愛すぎますよ。なんであんなに可憐なんや・・・うちには無理や・・・。所詮戦闘用なんや・・・うぅ・・・。

 エジプト航空の飛行機には、クルアーンのチャンネルが着いていたのですが、トルコ航空は各席にオシャレなディスプレイがあってゲームまでできるのに、宗教チャンネルが影も形もありません。すごくショックです。アタチュルク主義者め!
 でも、久々に普通の音楽などのチャンネルを弄っていたら、思いのほか楽しくて、すぐに機嫌を直してしまう。ひたすら音楽を聞いて寝ているうちに、あっという間に成田着。お金さえあれば近いね、日本。これがロバだったら一年はかかってるよ。

 成田に着いて最初の印象は、とにかく空気が綺麗で、そして静か! この国では静寂が無料なのだ! 嗚呼我が祖国、麗しきかな汝が静けさよ。
 すごく寒いのですが、事前にビビりまくっていたせいか、予想ほどのショックは受けず。それより、空港職員の方が大変礼儀正しく親切で感激しました。

 京成電車の中で、お年寄りに席を譲る。子供みたいなことですが、こういうところはエジプト人を見習いたいし、イスラーム的にも義務だと考えています。
 途中の駅で席が空いたところ、中国人のおばちゃんが大声で呼んで座れと言ってくれる(多分)。あぁ、この感じはエジにちょっと似ています。エジプト滞在中、わたしの中国人イメージがかなり良くなったのですが、このおばちゃんにも愛しさまで感じられます。
 アンタらとウチらは色々すごく違うけど(特に体重)、そんなん大したこととちゃうやんね。うち、豚肉食べんしお酒飲まんけど、鳥の鍋とか一緒につついたらめっちゃ楽しいやんね。
 それにしても、どんな大荷物を抱えていても、日本人は絶対助けてくれませんね。成田近辺でスルーされるのは当然ですが、地元駅近辺まで来ても見向きもされない。別に助けて貰わないでも問題ありませんが、エジプトではあり得ない状況です。

 というわけで、とりえあず日本に帰ってきましたが、ブログはぼちぼち続けます。
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  1. 帰国|2010/01/13(水) 04:18:49|
  2. エジプト留学日記

最終日

 いよいよ明日が帰国日。
 朝からM女史の授業とN女史の授業が続けてあり、淡々とフスハーの授業を続ける。
 「勉強を続けないとダメだ、やめたらダメだよ」と言われますが、死んでもやめる気はありません。半年という短い期間で納得がいくわけもなく、必ずここに戻って来たいです。

 某日本関係施設で、日本語教師のS氏とお話する。
 以前はサウジアラビアにいらっしゃったそうで、サウジとの違いなど、色々興味深いお話を聞けました。全身からイイ人オーラが滲み出いている方で、もっと早く知り合いになっていたかったです。

 カイロは空気も悪いし、交通は最悪だし、道をあるけばバカがからかってきたり、しつこいナンパが絡んできたり、変な商売人にまとわりつかれたり、信じられないような失礼な言葉をぶつけられたり、子供が石を投げてきたり、本当に辛いことや悲しいことが沢山あり、出会った人の中で本当に友達になれると思ったのはほんの一握りだけでしたが、それにも関わらず、ここに戻って来たい、という気持ちが非常に強いです。
 嬉しいことが悲しいことより多いから、と言えば聞こえが良いのでしょうが、本当に多いかどうかは、ぶっちゃけ怪しいです。重要なのは、嬉しいことや悲しいことの数ではなく、本当に嬉しいことというのは、たとえたった一つしかなくても、他のイヤなことを全部忘れさせて有り余ってしまう力があるものなのでしょう。
 嬉しいとか何とか言うより、ある人と知り合い関わってしまうこと自体、孤独から救ってくれるものが一つでもあれば、人間はその世界を本当に憎むことはできないし、良くも悪くも中毒にされてしまうのではないでしょうか。この調子で、色んな世界の色んなものの中毒になって、「こいつホンマアホでムカつくけど、シバくのは明日にしとくか」とか思いながらズルズル歳をとって、ある日ポックリ死にたいです。

 日本とエジプト、どっちが住み易いか、と考えたら、6:4くらいでエジプトがまだ勝っています。
 わたしにとっては、とにかくアラビア語で生活できる、アラビア語で書かれたものがそこら中にある、というだけで夢の世界ですが、周りがほとんどムスリム、というのも非常に重要です。
 そして、この二つの要素を除いたとしても、毎日人間ともみくちゃしながら生きているというのは、疲れることも多い反面、非常にベタで恥ずかしいですが、生きている実感というのはあります。
 もう、道歩くだけなのに何でこんなに喋らなあかんねん!というくらい、人間と関わらないと生存できません。
 エジプトは自殺が非常に少ないですが、別に彼らの人生が辛くないわけでは全然なく、どちらかというと自殺している暇がない、というのが正しい気がします。「今日は従兄弟が来てて忙しいから、死ぬのは明日にしとこうか」とか思っているうちに、マイクロバスにひかれて死んだりするんじゃないでしょうか(笑)。

 こういう風に書くと、「人と接するのが苦手」という人は「絶対エジプトなんか行きたくない」と思うでしょうが、それを言ったら、わたしも人の相手が得意な人間では全然ありません。というか、基本的に人間嫌いです(笑)。
 特にわたしは、少なくとも日本では変人で、友達も社会不適応な人ばかりで、カタギの世界に入ってからは、大変息苦しい思いをしていました。自慢ですが、会社の飲み会というものに、この歳で両手の指ほども参加したことがありません(そう、お酒が少ないのもエジプトは最高だ! ポルノがないのも最高だ!)。
 エジプトに来たところで、ほとんどの人とは話なんか合うわけがないのですが(誰でもそうでしょう)、この国では、合おうが合うまいが、すごい勢いで個々人の間の垣根が踏み倒されて、やむにやまれず喋らされることになります。
 何と言うか、ここまでやられるとこっちも開き直るというか、迷惑かけあうのが人生よね、という諦めが生まれて、変に距離を取り合ってけん制するところのある日本より、余程人付き合いが楽です。わたしが日本、というか企業社会で面倒臭いのは、思い切り意見を言って喧嘩することができないからですが、エジプト人はいつでも喧嘩を買ってくれるので、非常に心が安らぎました。疲れますが(笑)。
 イスラーム関係で、気持ちよく話せる相手など日本にはほぼいませんし、エジプトだってほとんどのムスリムとは極力信仰の話をしたくありませんが、アルハムドリッラー、何人かの良い友人に恵まれ、日頃ただ書き留めるだけで誰にも話せなかったことを、思い切りぶつけあって議論することができました。これだけでも、本当に神様に感謝したいです。

夕暮れのモガンマア
夕暮れのモガンマア posted by (C)ほじょこ
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  1. 最終日|2010/01/11(月) 07:17:15|
  2. エジプト留学日記

コプト教会での銃乱射事件

 コプト教会での銃乱射事件は日本でも報道されているので、ご存知の方が多いでしょう。レイプ事件の報復が動機等、憶測が聞かれますが、本当のところはまだわかりません。容疑者は一応逮捕されていますが、犯行を否認しているようです。

コプト教会銃乱射事件
コプト教会銃乱射事件 posted by (C)ほじょこ

警察当局、エジプト人七人の殺害者に「テロ」容疑を問う構え 警察は「陰の扇動者」を追う
第一容疑者は犯行を否認 新たな衝突で家屋6軒と店舗16軒が焼け、2名負傷

 本紙の入手したところでは、警察当局は、クリスマス(訳注:コプト教会のクリスマスは1月7日)の夜にナグア・ハマーディで起きたエジプト人七人の殺害の三人の容疑者に対し、「テロ」および故意殺害、宗派対立扇動、武器所持の疑いすべてを、関連するものとして問う構えである。彼は事件について何も知らないと言っており、警察の調書では犯行には身元の分からない「扇動者」がいるとされている。
 「ハマーム・イル=カムワーニー」の名で知られる第一容疑者ムハンマド・アフマド・ハサンは、警察に対し、警察官が彼を農場から連行し、血の惨劇について何もしていないのに、友人と共に容疑者として突き出した、と語った。警察は第二容疑者クルシー・アブー=ル=ハッガーグおよび第三容疑者ヒンダーウィー・サイードに聴取を行い、取調べのためにこの三人を十五日間拘留する。
 一昨日夕、ナグア・ハマーディのいくつかの地域およびその親戚筋の移住している村で、六時間に渡り新たな衝突が起こった。六軒の住宅と十六軒の店舗が焼かれ、二名が負傷した。その後、事態収拾のために治安部隊が催涙弾で介入した。衝突は、およそ二百名の若者が 犠牲者の名前を叫び、治安部隊に罵声を浴びせた後に起こった。攻撃のあった村の何十人もの若者が通りに出て、石や棒や卵を投げもみ合いになった。治安部隊が事態を収拾したのは、土曜日早朝二時だった。

 事件の背景に、ムスリムとキリスト教徒の対立があるのか、はっきりしたことはわかっていませんが、コプト教会のクリスマスに教会で銃撃したとあっては、そうした要素を疑われても仕方がないでしょう。
 仮に犯人がムスリムであり、宗教対立が背景にあったとしても、もちろん犯人たちはマトモなムスリムではないし、ただの犯罪者です。
 ただ、以下のようなよく聞くムスリムの意見には、少し疑問も抱きます。
 「テロリストはムスリムではない。ムスリムの一人が犯罪を犯したことで、なぜイスラーム全体を敵視するのか。マルワさんがロシア系ドイツ人に殺されたからといって、わたしたちはドイツ人やロシア人やキリスト教徒を敵だと思ったりはしない」。
 この言説は尤もであって、たまたま犯人がムスリムであったことでイスラーム全体を敵視するような姿勢は、いかなる関係にあっても厳に慎まれれるべきものです。
 しかし、犯人たちが、たとえ口先だけでも「イスラームを口実として」「イスラームの名の元に」罪を犯したとしたら、ただ単に「あんなヤツらはムスリムではない」というだけでは、済まされないものがあります。
 「あんなヤツらはムスリムではない」という気持ちは大変よく理解できるし、こうした言葉を口にする時、わたしたち(敢えて「彼ら」ではなく「わたしたち」と言おう)の多くは、責任回避やとばっちりが来るのを避けようとしているわけではありません。
 しかしそれでも、わたしにはどこか無責任に感じられるところがあります。
 彼らは「ムスリム」ではない。少なくとも、マトモなムスリムではない。
 にも関わらず、彼らの一部はイスラームを旗印としてしまったわけであって、そうしたムスリムを生み出してしまったことには、イスラーム社会全体として、責任の一端はあるのではないでしょうか。

 子供が犯罪を犯したからといって、親兄弟が裁かれて良いわけはありません。社会的な誹謗中傷が向けられるのも間違いです。
 しかし、親が何の関係もないかといったら、それも少し違います。誰も責めてはいけませんが、親自身にはやはり、自身を問い詰め、思考する義務がある。「あんな子はうちの子じゃありません」では済まないし、仮にそう言いたくても、口に出してはいけないでしょう。

 だからこれは、「親」の、イスラーム共同体そのものの、内面の問題です。
 非イスラーム圏、あるいは非ムスリムからイスラームへ向けられる誹謗中傷には、断固として反対します。
 しかし、イスラーム共同体内部に仕事が残っていないと思ったら、それは大間違いです。
 我々は思考しなければならない。なぜ、わたしたちの子供が、わたしたちの神の名の下に、その名を汚す大罪を犯してしまったのか。いかにして、これ以上の罪を防ぐのか。

 幸か不幸か、わたしたちにはまだたくさん「子供」がいます。
 わたしたちの子供を、審判の炎から守ることが、わたしたちの義務でないとしたら何でしょうか。
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  1. コプト教会での銃乱射事件|2010/01/11(月) 07:14:44|
  2. エジプト留学日記

ニカーブの治安上の問題、ファルドとスンナ、地味なエジプト人

 土曜日。
 M女史の授業で、ニカーブの治安上の問題が話題になる。
 ニカーブを着る着ないは自由ですし、いかなる宗教的権威、あるいは政府といえども、これを完全禁止するのは不可能でしょうが、学校や病院など、特定の場所では既に禁止されています。看護婦がニカーブをしていて、万が一顔を隠した悪意をもった者が入り込んだら、とんでもないことになるからです。
 以前に男性がニカーブを被って大学の女子寮に侵入した事件がありましたが、これについて詳しい顛末を聞くことができました。侵入した男性は十五名で、わたしはてっきりバカな男が良からぬ目的で潜り込んだと思っていたのですが(今でも公式にはそうなっているはず)、M女史の見解では、おそらく内部の女性の手引きがあったのだろう、とのこと。いかにニカーブを被っていても、ゾロゾロでかい女が女子寮に入っていたら、人目を引き過ぎます。本物の女子学生が、二カーブ同士で彼らを手引きした可能性が高いらしいです。
 要するにバカ女子学生が共謀して男を連れ込んでいたらしい、ということで、呆れてものも言えないです。

 「男性がニカーブを被って悪さを働く」というのは、現実にあるようで、彼女はトラムやメトロの中で、明らかに男性と思しきニカーブ着用者を何度も見たことがあるそうです。「手や目が明らかに男性だし、絶対変だと思った」。
 また、彼女が友人女性とトラムに乗っていた時、そういう「怪しい人」がそばにいて、降りた後に友人のバックがナイフで切り裂かれ、中のものが盗まれていた、ということがあったそうです。

 ニカーブについては、エジプト国内でも意見が分かれていることは何度も書きましたが、このような事例が度重なれば、反ニカーブの動きが強まるのも無理もありません。もちろん、悪いのはニカーブではなく、それを悪用する一部の男性(や一部の女性)なわけですが、そうは言ってもニカーブ着用者向けに検問を実施するわけにもいかず、現実問題としては、「ニカーブ禁止区域」を広げていく、という対応になるのではないでしょうか。

 ニカーブをفرض(ファルド、義務)だと言う人がいますが、エジプトで主流派の意見はسنة(スンナ、預言者様صの時代の慣習)であって、ファルドではない、というものです。わたし個人としてもそう感じますし、M女史によれば、クルアーンには

اضرب بخمورهن على جيوبهن

 「ヒマールを胸の上のかけよ」とあるだけで、ニカーブもしくはニカーブを意味する着衣がファルドである、という記述はどこにもありません。
 خمارヒマールというのは、赤頭巾ちゃんの頭巾のような形のもので、髪を覆うと共に胸の辺りまで一枚の布をすっぽり被せるものです。髪や首筋、胸のラインは隠されますが、顔は全部見えています。ヒジャーブ+アルファくらいの隠蔽グッズです。
 ちなみに、これを被るとラインが超なで肩になって、動物っぽくて超可愛いです(笑)。カタカナで書くと「ロバ」のヒマールと一緒になってしまいますが、実際は発音が違います。どっちも可愛い、という予期せぬ共通点がありますが。
 預言者様صの妻たちがニカーブをしていたと言われていますが、一般ムスリマには適用されず、かつこの時代はムスリムは敵に取り囲まれていて、顔を晒すことに危険があったのです。その為の特例措置として預言者様صの妻だけに行われていたことが、拡大解釈されている、というのが公平な見方ではないでしょうか。

 加えて、現代エジプトの実際のニカーブ女性には、単なる「流行」として着用している人が少なくなく、ニカーブはしているものの、ジャラジャラと宝飾品をつけド派手なアイメイクをしている女性もいます。これでは「スンナに従う」どころか、普通のヒジャーブの女性よりも非イスラーム的で、まともなムスリマには眉をひそめられています。
 更に、時々小学生くらいの女の子にニカーブを着せているケースがあり、これはイスラーム的にもマイナス評価されることです。クルアーンや礼拝の仕方を学び始めるのも小学生時分で、この時はまだヒジャーブもしません。断食だって、子供には義務がなく、最初は「お昼まで断食ね」と練習から始め、徐々に慣らしていくのです。ヒジャーブを始めるのは十二歳か十四歳くらいからで、言わば「大人への一歩」として髪を隠すのです。それ以下の子供は「男女以前」として扱われるのがイスラーム社会であって、そんな子供にニカーブまでさせる、というのは、イスラームの曲解としか言いようがありません。

 ファルドは文字通り義務ですが、スンナというのは、預言者様صもしくはその周囲の方々の慣習のことで、義務ではありませんが「お手本に従う」という意味で良しとされるものです。
 ですが、あくまで彼らの行いを真似しているだけであって、神様から課された義務ではありません。
 有名なところでは顎鬚を伸ばす、というのがありますが、これは預言者様صが顎鬚を伸ばしていたから真似しているだけであって、ヒゲそのものはイスラーム的に何の意味もありません。おそらく預言者様صだって、何かの必要があれば剃っていたでしょう。伸ばすのは勝手ですが、伸ばさなかったからといって、何ら落ち度のあるものではありません。
 ちなみに、現代エジプトにおける顎鬚は「イスラーム主義者」の象徴のようにとらえられているところがあって、下手に顎鬚を伸ばしていると、当局に睨まれるキッカケになることもあるようです。
 F女史の兄弟が顎鬚を伸ばしていて、かつ学生時代に学生団体(イスラーム主義団体ではない)に所属していたらしいのですが、それが理由か、ある日の早朝、突然公安が家に押しかけ、連行されそうになったことがあったそうです。
 母親が必死で泣いて頼んで、何とか難を逃れたらしいですが、エジプトで「ちょっと署まで」と連れて行かれると二度と帰って来ない、ということが珍しくないので、母親が泣くのも小芝居ではないでしょう。笑い事じゃありません。

 N女史の授業。
 動物好きにはたまらないアーヤ(クルアーンの一節)を教えてもらう。

ما من دابة على الأرض إلا وعلى الله رزقها

 「地上のどんな獣にも、アッラーの恵みがある」。
 この解説の時にN女史が描いた絵が超可愛かったです。

すべての獣に恵みがある
すべての獣に恵みがある posted by (C)ほじょこ

 「蛇がお腹すいていると小鳥とかねずみとかがいて食べられるよ」の意です。小鳥には小鳥の餌があるのよね。省略してるだけだよね。うん、きっとそうだ。

 授業後、二日連続Nちゃんの家に遊びに行く。
 昨日渡そうと思っていた日本の五円玉(御縁とかけてお守りにw)を渡し忘れたので、そんなしょうもない用件でお邪魔してしまいました。
 最初はしんどかった彼女の家への通りも、すっかり平穏に通れるようになりました。何度か通って場慣れしたこともありますが、わたしが彼女の友達だ、ということが早くも認知されている空気があります。
 流石に地域住民全員が知っているということはあり得ませんが、彼らの会話を耳ダンボで盗み聞きしていると、中国人でも韓国人でもなく日本人と言っていて、「どこそこの娘の友達」といった言葉が拾えます。
 彼女のアパートのエレベータで、住人の男性と一緒になったのですが、「何階?」と聞かれて「五階」と応えたところ、「あぁ、あの日本語勉強している娘の友達か」と合点されてしまいました。
 彼らはとにかくご近所ネットワークが尋常ではなく密なので、「怪しい輩」にはすぐ絡んできますが、一端ネットワークの一部に繋がると、意外なほど普通な扱いをして貰えるようになります。
 エジプト人と結婚している日本人女性には、わたしなどには想像もつかない苦労があることでしょうが、一方で「地域に組み込まれることで得られる安定」というメリットはあるはずで、もしかすると一人暮らしのわたしが以前受けていたような冷やかしは、逆にあまりないのかもしれません。

 前日にドライヤーやらマニキュア除光液やら、荷物になるので処分したいものを色々押し付けてきたら、ガラベーヤや礼拝用の絨毯をプレゼントしてもらってしまい、恐縮至極。もうスーツケースがパンパンです。
 彼女とは、ちょっと話しているとイスラームの話題になってしまうのですが、わたしが「明日しかもう時間がないし、勢いでアズハルでシャハーダしてこようか」とか悩んでいたら「別に今度来た時でもいい。日本よりはエジプトでシャハーダする方が簡単で良いと思う。そもそも、シャハーダして証明書を貰うのは、国との関係など手続き上のものだし、一番大事なことじゃない。それでもムスリムだ」と言います。
 「わたしは正式なシャハーダをしていないけれど、少なくともمؤمنة(ムウミナ、神様を信じている人)だ。でも、わたしが『宗教は何ですか』と尋ねられて『イスラームだ』と答えたら、それは嘘になるんじゃないか」
 と尋ねたところ、
 「全然嘘じゃない。問題ない」
 と言います。
 一介の女子大生の意見なので、別に何の権威もありませんが、何だかものすごい気持ちが楽になりました。本当に、肩の力がスーッと抜けました。
 冗談で「ノッス・ムスリマ(半分ムスリマ)だね」と言ったら「ノッスじゃない。カーミラ(完全)だ」と言います。
 カーミラには程遠いですし、遠からずシャハーダはするつもりですが、極めて私的な事情でちょっと問題もあるので、それまでは心がけだけでもムスリマをやっておきます。エジプトでならともかく、日本で宗教を尋ねられることはまずないでしょうが、尋ねられたらちょっとビビりながら「イスラームです」と答えることにします。
 ヒジャーブはね・・悩んでいるんですよね。まぁ、焦って被らないようにはしておきます。
 以前日本でお会いした日本人ムスリマも、会った時はヒジャーブをしていましたが、「さすがにこれで会社に行く度胸はない」と言っていて、普段はヒジャーブなしで生活しているそうです。まぁ、とりあえず最初はそんな感じで、ムスリマの末席のそのまた下の鞄持ちくらいで地味にやっていきたいです。

 わたしは品行方正な人間には程遠いし、自分勝手で荒っぽいことでは右に出る者もいないような鉄砲玉ですが、スーラ(クルアーンの章)を読む度に感じる素晴らしい平安は、他で得ることのできないものですし、常に神様を身近に感じます。やっぱりコレと、離れて暮らすことはできない。
 信仰がすべてではないけれど、すべてが信仰に関係している。

 彼女は日本語の読解力はかなりあるのに、会話が上達しないで悩んでいます。また、日本人と友達になりたいのに、なかなか友達ができないのも辛いらしいです。
 まだ学生なので本格的に働くのは難しいですが、「日本語を使う仕事をした方がいいよ。カイロなら観光関係とか、日本企業の秘書とか、色々あると思うよ」と言うと、観光関係は気が進まず、翻訳などをやりたいようです。
 「翻訳はお金にならないよ。第一、会話力が付かないやん」と言うと、
 「でも、日本語以前に、人と話すのが苦手だから・・」と、実も蓋もないことを言い出します。
 「いやいやいや、それじゃあいつまで経っても会話が上手くならないよ! Don't be shy!」と励ましましたが、これでは普通の日本人・エジプト人関係と逆です。普通は、底抜けにオープンマインドで誰とでも話すエジプト人が、「日本人は何でそんなにシャイなんだ!?」と突っかかるのです。
 先日紹介したK氏とも、会話の間が持たないのが気になって仕方ないらしく、本当に日本人みたいな性格です。「面と向かうと喋りにくいものだから、一緒に本を読むとか映画を見るとか、共通の対象を作ると会話しやすいよ」とか、恋愛アドバイスみたいな話になってしまいます。世話が妬けるなこの小娘はっ!
 まぁ確かに、エジプトの男性はすべてにおいてリードしてくれるので、彼のような礼儀正しい普通の日本人男性が相手だと、何をして良いやらわからなくなってしまう、というのも理解できないでもありません。「でも日本人は普通あんな感じだし、わたしみたいなのは『悪い日本人』だ。Nちゃんは日本好きなんだから、男の人が相手でも積極的に喋って大丈夫だし、喋った方がいい」。
 「人と話すのが苦手」というなら、わたしも決して社交的な人間ではないつもりなのですが、少なくともエジプトでの振舞いは、かなり「異常な日本人」です。もう数え切れないくらいの人に「お前は日本人のクセに、何でそんなに喋って、分かりやすいんだ?」と言われました。単にバカと言いたいのかもしれません。まぁバカですが。
 「Nちゃんは本当に日本人みたいだね。日本人が間違いを恐れて英語を喋れないみたいだ。細かいことは気にしないで、まずはガンガン喋るんだよ! 言いたいことが一杯あるでしょ? ない? あるはずだよ! ある! だから無理にでも何か喋んなきゃダメ!」と、エジプト人相手とは思えないようなアドバイスをまくし立てます。
 まぁ確かに、彼女が饒舌になるのは日本への愛とイスラームを語る時だけなので、トーク上手とは言えません。対日本人なら、これくらい控えめな方が好印象かもしれませんが、エジプト社会ではさぞ息苦しいことでしょう。実際、全然話題が合わないし、いつも「何で黙ってるの? 機嫌が悪いの?」と突っ込まれ、辛い思いをしているそうです。日本の芸能人とか、わたしより詳しいのに、エジプトの流行には全然付いていってないですから、わたしと逆です。
 「本当に話の通じる相手は、○○さん(わたしのこと)みたいな『変な日本人』か、ネット上の人だけだ。学校の友達とかは、世界が違う」と、「アンタは日本の引きこもりかっ」とツッコみたくなるような地味っぷりです。

 外人がエジプトの男性と会話するのはまったく難しくなく、むしろひたすら鬱陶しいくらいですが、女性と話す機会はあまりありません。まして男性なら、エジプト人女性と友達になるのは至難の業と言って良いでしょう。
 それだけ「日本人にとってのエジプト女性」というのは、レアで価値のあるものなのですから、「口を利いてやってるのよ」くらいの勢いで、自信をもって喋って欲しいです。
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  1. ニカーブの治安上の問題、ファルドとスンナ、地味なエジプト人|2010/01/10(日) 15:06:34|
  2. エジプト留学日記

辛さは顔に出せ

 金曜日。
 ブログのタイトルを変える。
 もうすぐ帰国しますが、翻訳を中心に細々ブログは続けます。うまくすれば戻ってくることができるでしょう、インシャアッラー。

 勉強したり部屋を片付けたりしていたら、Nちゃんから電話がかかってきて、また遊びに行くことになる。
 彼女の家への道もいい加減慣れて、かつ金曜日のお陰で割と往来も少なかったので、気楽に歩いていきました。
 例のクルアーン・エレベータ。



 今までは遊びに行っても割とちゃんとした格好で待ち構えていた彼女ですが、今日は部屋まで一人で行ったせいか、お部屋モードでリラックスしていました。この方がこっちも落ち着きます。

 大学のテスト勉強で、アラビア語の新聞を日本語に訳さなければならないのに、それがとても難しい、と言われ、手伝うことになりました。
 確かに難しい・・。
 彼女がアラビア語から日本語へ訳すのに困難を感じるのは当然ですが、日本人のわたしが、日本語への翻訳を試みても、なお厄介です。普通の新聞記事なのですが、医療関係のニュースなので、専門的な単語が登場します。日本人がざっと日本語訳するだけなら難しくないですが、彼女の勉強のためなのであんまり意訳するわけにもいかず、苦労しました。「内視鏡手術」とか「血栓溶解剤」とか、日本語学習者に思いつける単語じゃないでしょう。日本人だって知らない人がいますよ。

 イロコイっぽい話になり、「エジプト人と結婚できるか」と定番の質問をされたので、逆に「日本人と結婚できる?」と、気になるところを尋ねます。
 日本人以前に「外国人」一般ということでは、まず、ムスリムであることが最初の条件になります。でも、ムスリムの外国人というのは、他のアラブ諸国の人々だけでなく、インドネシア人やマレーシア人がカイロには沢山いますし、実際結婚の例もあるそうです。
 逆に欧米や東アジアとなると、定住者の数が限られる上、ムスリムの数が少ないので、そもそもチャンスがあまりないようです。男性なら、ただの観光客の女性をひっかけることもできますが、逆はかなり難しいですし、定住者だけが相手となると、確かに数の時点で困難になるのかもしれません。
 で、日本人ですが、彼女はもちろん日本人は歓迎。ただしムスリムでないといけません。
 もちろん、日本人なら誰でも良いわけではなく、以前知り合った日本人男性が「綺麗な人が好きで、ヒジャーブを被ったエジプト人は美しくないからイヤだ」と発言したと聞いて、眩暈がするほど怒りを覚えました。
 「それは観光客で、イスラームやアラブを知らないからでしょう?」「いや、アラビア語を学びに留学している人だったよ」。
 言葉の壁のせいで誤解が生じたと信じたいですが、仮にもアラビア語を学びエジプトで暮らしている日本人が、そんな失礼な口をきいたとは考えたくないです。綺麗な人が好きなのは、男性ならみんなそうでしょうが、女性に対しそれを敢えて口にするのは無礼ですし、ヒジャーブに結びつけるのもどうかしています。爆弾テロにでも巻き込まれて死んで頂きたい。
 「もし日本人と結婚する、と言ったら、家族はどう言うと思う?」と尋ねたら、「別に問題ない(もちろんムスリムである、という前提)。でも、日本に暮らすのは寂しがって反対されると思う」。
 彼女は中流以上の家庭の子ですし、雰囲気的にもリベラルな家なので、外国人との結婚そのものには反対されないようです。また、彼女の日本好きは家族もよく理解していて、お母さんからも「コンニチハ」とか日本語で挨拶されました(その後はエジプト式に例のチュッチュになるので、ちょっと面白い)。

 例によって少しイスラームの話題になり、またサウジの悪口を言い合う(笑)。「彼らにとって、イスラームの総本山であるのは商売だから、丁度会社員が着たくもない制服を着るみたいに、ニカーブをしたりしているんだ。あいつらは形だけだ」「エジプト人の方が余程ムタダイイニーン(敬虔)だよ」。
 「欧米や日本のムスリムは、困難な状況で敢えてイスラームを信じているのだから、特別敬虔だ。仮に義務をなかなか果たせていなかったとしても、彼らの方が偉い」という話で、彼女が「テストの点数が同じでも、難しいテストを受けた人と簡単なテストを受けた人では、点数の意味が違う。難しいテストで点数が低い人の方が、易しいテストで点の高い人より偉い」と上手いたとえを言います。
 このすぐ後で、彼女がスリムだ、という話になったのですが、わたしがもじって「エジプトで痩せている人は、日本で痩せている人より偉いね。難しいテストに受かったわけだから」と言って、大笑いしました。
 彼女曰く「エジプト人は、一度にまとめて食べて、後は一日食べないで活動している。わたしは何度も食べるけれど、ちょっとずつしか食べない。だから太らないんじゃないか」。実際、彼女とは何度も食事していますが、本当に小食です。というか、一緒に食べていると、喋る方に気が回って食べてる暇がないようですが・・・。

 「日本に関するものは何でも好き」という彼女ですが、一つだけ気に入らないのは「自分を表現しない、他人を助けない」ことだと言います。
 「表現しない」というのは、話下手というだけでなく、話す調子も単調で、表情も動きも少ない、ということです。日本人が概ねそういうタイプだということは彼女もわかっているのですが、エジプト的には、黙ってむっつりしているのは「怒っている」「悲しい」と取られて仕方ないのです。
 わたし個人は、異様に感情表現が派手で何でも顔に出るので、エジプト的には「大変分かりやすくて結構」らしく、日本完全不適応だったこの性質が、人生で初めて肯定評価されています。あのド派手で分かりやすいエジプト人に「あなたは何でも分かりやすいね!」と何度も言われているので、相当漏れまくっているのでしょう。
 自分がこんな性格なので言うわけではありませんが、確かにもうちょっと日本人は何か言った方がいいですよ。言葉の問題ではありません。いっそ日本語でもいいし、言語以前にぎゃーとかわーとか言うだけでも、顔と動きと声を発さないと、ションボリしているとか怒っていると思われるのは当然です。わたしだって一緒にいたらションボリします。
 これは「無理に笑え」と言っているのではありません。それでは日本の会社です。逆に、しんどい時はしんどそうな顔をしても大丈夫なのですよ。エジプト人も、露骨にしんどそうにしています。しんどくても明るく頑張っている他人は評価されますが、そのまんましんどそうにしても、日本ほどマイナス評価されることはありません。

 先日K氏を紹介した時の話になったのですが、彼女がしきりに「彼は何か気に食わなかった? 怒っていた?」と心配していました。少なくともわたしから見たら、彼は怒っても不機嫌でもなかったのですが(まぁ本当のところは本人に尋ねないとわかりませんが)、彼は日本人らしくそんなに顔に感情を出さず、淡々と喋る人なので、かなり日本人慣れしている彼女でも、不安になってしまうようです。
 「彼は礼儀正しい人物だから、エジプトの女性に慣れ慣れしくして、失礼をはたらいてしまわないよう気をつけていたんだよ。わたしは最初、彼にあなたの隣に座らせようとしたんだけど、『それはいけない』と断っていたよ。貴方を尊重したいから、慎重な振る舞いをしていたんじゃないかな」と言っておきました。これは事実だと思います。

 「他人を助けない」というのは、難しい問題です。
 少なくともエジプト基準で言ったら、日本人は概ね「非常に冷たい」です。エジプトだけでなく、かなり多くの国に比べて、日本人は他人を助けません。日本語学習者の雑誌で「日本に来て何に驚いた?」という質問があったのですが、「電車で老人に席を譲らない」という回答があり、本当に悲しくなりました。エジプトでは、小さな子供まで我先にお年寄りを助けます。
 ただ、日本人がひたすら冷血漢なのかというと、そういうわけではなく、「そっとしておいてあげる」「敢えて放っておく」という優しさもあるかと思います。老人に席を譲らないのは論外ですが、エジプト式に「我こそは」と呼んでもいないお手伝いが殺到するのは、日本人なら親切の押し売りと受け止めることもあるでしょう。その辺は少しだけ割り引いて見て頂けると、多少は名誉が保たれるかと思うのですが・・・。
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  1. 辛さは顔に出せ|2010/01/10(日) 07:45:08|
  2. エジプト留学日記

アラビア語の文章構造、中国を哂う者を中国と罵る

 日本人アラブ文学研究者K氏とお話した時のことで、一つメモし忘れていたのですが、彼が「エジプトの新聞の論説は難しい」と言ってくれて、ちょっとホッとしました(笑)。
 一般のニュース記事は簡単ですし、文化記事や特集記事のようなものも難しくありませn。ところが、社説や識者が一家言述べるコーナーになると、途端に難易度が増すのです。異様に格調高い文体で書かれていて、他で見たこともないような慣用表現が頻出します。ゴリゴリに文学作品を読みこなしている彼が「難しい」と言ってくれて、「わたしだけじゃないんだ」とセコい安心感を抱いてしまいました。
 また、アラビア語を学んでいる人は誰でも知っていますが、アラビア語の文章は一般に一文が非常に長く、下手をすると一ページ丸々一つの文だったりします。一段落一文くらいはザラです。様々な接続詞を駆使して滔々と繋げていくのがアラブ的には「美しい文章」で、実際にカッコイイのですが、日本語に訳そうとすると、非常に骨が折れます。
 日本語とアラビア語は、語順が悉く反対で、「英文解釈」的発想でつい後ろから訳してしまいたくなります。ところが、ワンセンテンスが長大なので、こういう大学生的方法では、いつまで経っても訳し始められません。アラビア語として読んでいる時は理解できているのに、翻訳してみようとすると筆が止まる、ということが非常に多いです。同時通訳的発想で、バンバン日本語に落として、後で辻褄を合わせることがよくあります(笑)。
 また、些細なことですが、個人的に気になっているのはカギカッコの使い方です。
 カギカッコというのはタグであって、「開始」されたら「終了」のタグが来るまでが台詞、というのが、普通の理解だと思います。
 ところが、エジプトの新聞を読んでいると、「開始」の後、ずっと台詞だと思って読んでいたら、また「開始」のタグが出現することがあります。「終了」が来ないまま文章が終わってしまうこともあります。パーサーだったら即効お手上げの状態です(笑)。
 最初は誤植かと思っていたのですが、あまりに多く見かけるので、これは一つのスタイルのようです。
 この場合、どこかで台詞が終わっているはずなのですが、終わりの場所は明示されていません。何気にいつの間にか地の文になっていて、大抵はピリオドのところで台詞が終わっている、と解釈できるのですが、前述の通り、アラビア語は一文が長いので、なかなかピリオドが来ません。時には、ピリオドが来る前に、一つの文の中で台詞が終了しているらしいことすらあります(何らマークがないので確信はありませんが)。
 アラブには演説や「声に出して美しく朗読する」伝統が色濃く、今でも詩人が社会的に高く評価されています(それに比べて小説家は不遇w)。推測ですが、書き言葉のテクストも、この「朗読」のノリで、サウンド第一で書かれているものが多いのかもしれません。
 大衆の読み物である新聞ですらこの有様。アラビア語、恐るべし。

 水曜日。
 帰宅途中にウストゥルバラドで、背後の若者三人がまた「ボーヤボーヤ」だの中国ネタでからかってくる(「ボーヤ」は「不要」のことらしく、映画の中の中国人の台詞を真似している)。
 何となく即効振り返って一人の胸倉をつかんで突き飛ばし、「誰がボーヤや。お前なんて言った?」と突っかかると、「俺じゃない」とかシラをきります。
 この「俺じゃない」は超定番なので、「何がお前ちゃうねん。お前がシーニーか? よぉ中国人、エジプトへようこそ。ニーハオニーハオジャッキーシェーン!」とか、意味不明にまくし立ててストーキング開始です。
 「いつも自分らそう言うてるやん? 今うちは貴方様方の国にいるんだから、あんたらのやり方と一緒にしなきゃいけないやんね、中国人。アラブのホスピタリティやんね! 最高やね! 何で黙ってんねん。何か言ってみろ。クソ中国に帰れ嘘つきが、無神論者が、お前は地獄に落ちる!」とか、まんま狂人な台詞をまくし立てると、さっきまであんなに元気だった若者が、目を伏せてひたすら避けようとして、めちゃくちゃ面白いです。
 ああいう連中は、相手が黙っているからキャーキャー言うだけで、日本の男の百倍ファンタジーに守ってもらわないと口もきけないのです。だからその夢をずたずたに引き裂いて、中国の女は頭がおかしいということを見せ付ければ、何もできなくなります。
 それにしても、こういう時の台詞だけは、我ながら機関銃のように操れるようになりました。まぁ、使用頻度高いですからね・・・。

 念のためですが、わたしは中国人は別に嫌いではありません(というか、エジプトに来て以前よりずっと好きになった)。中国人と東アジアの女をナメてかかっているエジプトのバカどもが嫌いなだけです。
 奴らはムスリマではない外人、特に東アジアの女なんて動物としか思っていませんし、放置すればどんどん調子に乗るだけですから、楽しんで苛めてあげましょう(マトモなエジプト人はこんな真似はもちろんしないですが、そういう人は道でブラブラしていたりしない)。

 木曜日。
 1月7日はコプトのクリスマスで、エジプトは休日です。道もメトロもガラガラにすいていて最高です。
 新聞を読んだら、「今日は何の日」コーナーに天皇陛下が登場していました。

昭和天皇崩御の日
昭和天皇崩御の日 posted by (C)ほじょこ

 昭和天皇崩御の日です。内容は日本人なら皆知っていることなので省略。
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