アーンミーヤ(エジプト方言)の学習でわたしが使った教材です。
まず、わたしはエジプト到着時点ではまったくアーンミーヤに興味がなく(それを考えるとエライ変貌ぶりです)、日本での学習量はゼロ、一応
まずはこれだけ エジプト・アラビア語―口語アラビア語入門 という、まったくのド素人向けのペラペラの入門書を保険で持ってきただけでした。
しかし、こんな入門書でも、ないよりはずっと良いです。基礎の基礎の基礎だけは、日本語の情報があると助かります。他に
CDエクスプレス エジプト・アラビア語 というのもあるので、いずれかを終わらせる、もしくは持参すると後悔がないでしょう。
他に、最初は某語学学校の独自プリントなどで学習していたのですが、今思うとこれはまったく質の良い教材ではありませんでした。お勧めしません。
また「アーンミーヤなんて会話の中で覚えればいい」というのも甘い考えです。知らないものは永遠に聞こえません。余程耳に自信のある方以外は、座学を併用しないと非常に効率が悪いと思います。
その後、
Kallimni 'Arabi Aktar: An Upper Intermediate Course in Spoken Egyptian Arabic 3 Kallimni 'Arabi Mazboot: An Early Advanced Course in Spoken Egyptian Arabic 4 Kallimni 'Arabi Fi Kull Haaga: A Higher Advanced Course in Spoken Egyptian Arabic 5 の三冊を使い、とりあえず最後までクリアしました。これは非常に良い教科書です。CDの音声も素晴らしい。
授業時間はなるべくフスハーに裂きたかったので、半分以上独習で、分からないところだけ先生に質問していました(どうせ授業中はアーンミーヤになるし)。
Kallimni 'Arabiは五巻構成で、そのうち三巻から五巻を使ったことになります。この前に、
Kallimni 'Arabi Bishweesh: A Beginner's Course in Spoken Egyptian Arabic 1 Kallimni 'Arabi: An Intermediate Course in Spoken Egyptian Arabic の二冊がありますが、語学学校の先生によると、最初の一巻は簡単すぎるので、二巻目から使うことが多い、とのことでした。
どこから始めるかはその時点でのエジプト方言力およびフスハー力次第です。すべてアラビア語で、英語による説明はないので、フスハーの基礎文法もわかりません、というようだと、ちょっと厳しいかもしれません。フスハー初級文法卒業レベルなら二巻から、新聞が何とか読めてエジプト在住で普段から聴きまくっているなら、三巻か四巻からでも良いと思います。
エジプト方言に興味の中心があったとしても、フスハーは必ず勉強した方が良いです。フスハーの文法知識は本当に本当に役に立ちます。
他に助かったものとして、以下の2サイトがあります。
Arabic vocabulary lists MoodleによるTUFS言語モジュールのe-learning化 アラビア語エジプト方言 前者はアラビア語の語彙リストですが、基礎動詞などでフスハーとエジプト方言が併記されていて、初歩の初歩を学ぶ時に役立ちました。このページはシンプルで素晴らしく、日本ではよく仕事中にサボッて見ていました(笑)。
後者は東京外大の作って下さっている教材で、動画が大変素晴らしいです。エジプトに来て日本の大学にお世話になるとは思いませんでした。悲惨なネット環境で、辛抱強くダウンロードして全部見ました。
口調等が「本物のエジプト方言」なのは当然ですが、会話の展開やネタも「そうそう、これがエジプト人!」と笑ってしまうものばかりです。個人的には、ファックスが壊れて「ちゃんとやったよ! ボタンも押したよ! 動かないよ!」とか自信たっぷりにオッチャンが断言するスキットが大好きです。あぁ、これがエジプト人やー。大好きやー。
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アーンミーヤ(エジプト方言)の教材・勉強法 |2010/01/15(金) 01:25:16|
留学まとめ
フスハーの学習でわたしが使った主な教材は、
Al-kitab Al-asasi 2 の後半とAl-kitab Al-asasi 3、
أدوات الربط The Connectors in Modern Standard Arabic 、他は新聞や独自プリント、勝手に読んでいた本、等です。
Al-kitab Al-asasiはアメ大出版から出ている定番の教科書で、評価も高く、わたしは一巻から使っていて大変思い入れがあります。ただし、すべてがアラビア語で英語による説明は一切ないので、まったくの入門者にはとっつき難いです。本当にゼロから始める方は、まず日本の一般入門書で入門文法をマスターしてからの方が楽です。
Al-kitab Al-asasiは、
Al-Kitab Al-Asasi 1 入門文法と身の回りの基本的な表現。
Al-kitab Al-asasi 2 初級から中級の文法と現代アラビア語読解。
Al-kitab Al-asasi 3
中級以上の文法と古典アラビア語読解。
という構成になっていて、特に二巻は現代アラビア語テクストに慣れるのに格好の教科書だと思います。最後の方のいくつかのテクスト以外、特別難しいところはありません。
ただ、三巻になるとガラッと雰囲気が変わります。
三巻は、各章ごとに一つの古典テクストの抜粋が扱われるのですが、最初に筆者について、次に著作について、三番目に扱うテクストについての説明があり、最後に古典テクストそのものが来る、という構成になっています。テクストの後には、練習問題と文法解説、そして毎回最後に詩が一つ取り上げられています。
このうち、「当該テクストについてのテクスト」の部分は、難しくありません。極普通の現代アラビア語文章で、Al-kitab Al-asasiを二巻まで終わらせた方なら、難なく読みこなせるでしょう。
ところが、その後に来るのは本物の古典アラビア語文章ですから、非常に難しいです。抜粋ですからほんの数ページなのですが、文章を読んでいるのやら辞書を読んでいるのやらわからないくらい苦しみました。
また、最後に載っている詩も、一部を除いて非常に難解で、はっきり言ってわたしは途中から飛ばしてしまいました。
文法も中級以上のハイレベルなものが扱われています。
はっきり言って、古典アラビア語に興味のない方なら、Al-kitab Al-asasiは二巻までにして、その後は他の教材や一般の現代アラビア語テクストを読みこなしていった方が合理的でしょう。
ただ、色々な学者や文学者の文章を拾い読みし、幅広い知見をつけるには持ってこいなので、わたしはなんとか齧りついていました。
時々クルアーンのアーヤが例文に取り上げられていたり、預言者様صの演説等、イスラーム関係の話題が結構入っているのが、個人的には嬉しかったです。
ちなみに
al-Kitab al-asasi Lexicon という別冊が出ていますが、ただの単語集なので全然要らないと思います。英語・フランス語・ドイツ語の訳が載っています。
أدوات الربط The Connectors in Modern Standard Arabic は、その名の通り「接続詞」に注目した教科書で、各章ごとに何種類かの接続詞がテーマとされ、その例文と練習問題から構成されています。英語の解説があります。
大学受験英語の参考書のようで、親しみ易い構成で、初級卒業レベルの方が取り組むのに丁度良いでしょう。分量も少なく、価格も高くありません。
ちなみに辞書は、定番の
Hans Wehr とPdicに入れた辞書(ラップトップの中なので持ち歩かなかった)を使っていましたが、某図書館で見つけて使った
現代アラビア語小辞典 が思いのほか良い辞書でした。語彙数ではHans Wehrに遠く及ばず、解説があるわけでもありませんが、日本語ですし、書き込みが少ない分、パッと見たときにジズルのイメージが漢字イメージに繋がる感触があり、日本人にとってはとても良い辞書だな、と今頃認識しました。
テクスト自体はエジプトにいれば新聞が1ポンドで変えますし、本も一般書籍は安いですから、素材には事欠きません。
問題はフスハーを「聞く、話す」ことですが、これは学校内と衛星放送以外はほぼまったく機会がありません。わたしは途中から、フスハーの授業すら読み上げ以外全部アーンミーヤだったので、フスハーを伸ばす、という意味ではちょっと問題だったかもしれません(エジプト人もそうやってフスハーを勉強しているのですが・・)。
でも、フスハーの音声というのは、発音の非常に綺麗なプロが語っているか、一般人の場合は大体ゆっくり話すので、聞き取りは難しくありません(詩の朗読やクルアーン等は、読んでも難しいので当然聞いてもわからないw)。
正直、今ではフスハーは読み書きができて、イスラーム関係のものが人並みに朗読できればいいや、くらいに思っています。フスハーは大好きですが、日常生活に使うにはちょっと重いです。
エジプト人が気を使ってフスハーで喋っていると、何だかロボが喋っているみたいで、こっちも気持ちが落ち着きません。「無理しないでアーンミーヤで喋って」と言いたくなります。
それでも、フスハーほどしゃぶってもしゃぶっても味の出てくる言語はそうないと思うので、死ぬまで地道に勉強続けます。綺麗なフスハーを読んだり聞いたりした時ほど、心が透き通る時はありません。
ちなみに、Al-kitab Al-asasiなどの「アラビア語によるアラビア語教科書」の前に使う本として、現時点から振り返ってお勧めできるのは、
アラビア語の入門 本田孝一 ステップアップ アラビア語の入門 本田孝一 基礎アラビヤ語 内記良一 現代アラビア語入門 黒柳恒男,飯森嘉助 です。
本田孝一先生の二冊は、非常に易しく平易な入門書で、最初の一歩に最適です。わたし自身は、「アラビア語の入門」はこの段階を越えてからであったので使っていないのですが、記念に購入して手元に置いているくらいです。
ただし、あくまで入門向けの簡単な本なので、入門文法でも網羅されているとは言いがたいです。
そこであと二冊の「いずれか」を使って、網羅的に基礎文法を勉強する、というバランスの取り方が、丁度良いように思います。わたし自身は「基礎アラビヤ語」を使い、非常に思い入れがあるのですが、大学等では「現代アラビア語入門」がよく使われているらしいので、こちらの方が良いかもしれません。どちらも、はっきり言ってとっつき難い本です。何も知らない人がいきなりこの本だけ渡されても、八割方挫折する気がします(笑)。
この他にも日本で手に入る教科書は片っ端から読破しましたが、最初は独習であまり効率の良いやり方だったとも言えないので割愛します。アラブ人の先生とAl-kitab Al-asasiを使い始めてからの方が、文法では一度初級に戻りましたが、ずっと伸びが早かったです。
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フスハーの教材・勉強法 Al-kitab Al-asasiなど |2010/01/14(木) 06:15:43|
留学まとめ
アメ大の本屋さんでアーンミーヤの教科書を物色。
كلمني عربي(Kallimni 'Arabi カッリムニー・アラビー)という、有名なエジプト方言の教科書があり、五巻構成なのですが、どの巻を買うかで一時間くらい悩みました。120ポンドという高いお買い物で、さすがに初歩の初歩は要らないし、かといって難しすぎるものを買っても困ります。文字で眺めると非常に簡単なのですが、アーンミーヤで厄介なのは字面の印象と実際の発音の差ですし、どちらかというと教科書をネタに先生とお話するのが主目的なので、易しめのを買った方が「使える」気もします。
五巻のうち四巻目だけがなかったのですが、三巻の
Kallimni 'Arabi Aktar: An Upper Intermediate Course in Spoken Egyptian Arabic 3 と五巻の
Kallimni 'Arabi Fi Kull Haaga: A Higher Advanced Course in Spoken Egyptian Arabic 5 を何度も取ったり戻したりして、結局三巻のKallimni 'Arabi Aktarを買いました。
結果として、ネタに使うには丁度良いレベルだったのですが、在庫のなかった四巻が最適だった気がします。逃した魚は大きいです。
ちなみに三巻はCD、五巻はDVD付き、お値段は両方120ポンドでした。タイトルがいちいち「もっとアラビア語を話して」とか「ちょっとアラビア語で話して」と、レベルに合わせて?いるのが可愛いです。「大泥棒ホッツェンプロッツ 三度現る」みたいです。
ともあれ、超超入門書と手製プリント以外に教材もなく、口頭とネットだけですべてを学んできたアーンミーヤ学習生活にも、ようやく書籍らしい書籍が導入されました。アメ大の本屋さんには色々教材が売っていて、こんなに色々勉強できるアメ大はすごいなぁ、と思いました。でもすごい授業料高いみたい・・。
アラビア語学習者はみんなご存知ですが、アメ大出版部(The American University in Cairo Press)からはいくつか素晴らしい教科書が出版されています。というか、ここ以外に使えるものを提供してくれるアテがありません(笑)。
アラブ世界の出版物は非常に誤植が多く、新聞にすら度々間違いが見つかるくらいなので、「誤植を見つけるのも勉強のうち」と思っておかないとやり切れないのですが、アメ大出版のものは比較的少ないです(日本基準よりは多い)。
最近ニューカイロに一部移転したアメ大ですが、元々の校舎がカイロ市街のド真ん中にドーンと陣取っている姿、そこに通っている白人達を見ると、何となく気分が悪いです。一方で、彼らの提供してくれている出版物は(エジプトの中では)非常に使いやすく信頼できるもので、エジプトの現実と、エジプトで学ぶ日本人の葛藤を映し出している気にもなります。
以前に知人と夜のダウンタウンを歩いていて、「ウストゥルバラドの建物はみんなかっこいいね」という話をしていたら「そうだろう。僕も大好きだ。でも、全部イギリスやフランスが作ったものだ」と吐き捨てるに言っていたことがありました。
逆にイスラエル人なんかは、一人一人はエジプト人よりずっと話が通じたりする気がします。昔先輩と「中国の文化文明は好きだけれど、中国人とはなかなか友達になれない。アメリカの文化は大嫌いだけれど、アメリカ人個人にはイイヤツも多い」という話をしていたのを思い出します。そういう「グローバル的な話の通じさ加減」など唾棄すべき頽廃なので、全然期待していませんが。
F先生の授業。お互い段々打ち解けてきて、楽しく進められました。
早速Kallimni 'Arabi Aktarを使ったのですが、内容的には易しいはずなのに、意外と知らない単語が出てきて焦りました。غلبという単語は、フスハーだと「打ち勝つ、克服する」みたいな意味なのですが、エジプト方言では「諦める」意味で使うそうです。エジプトが段々やる気なくなっていったみたいで面白いです(笑)。
知らない番号から電話がかかってきて、不審がりながらも電話に出てみると、番号を教えたことのない知人。共通の知人に「絶対誰にも教えないから」と電話番号をしつこく聞かれたのですが、そいつが漏らしていました。すぐ脇にいたようで電話を代わったので、「嘘つき! もう電話してくんな!」と罵って切りました。
でも、これくらいのことはよくありすぎるので、本当はそんなに怒っていません。これくらいヘマしてくれた方が、面倒くさい人を怒鳴って切るきっかけになるので楽です。わたしが一番外道です。
ちなみに、かけてきた本人(電話番号を尋ねた側)には何の罪もないので、そのうち連絡しておきます。
一回部屋に戻ってきたら、またS先生の授業が流れてしまったので、ご飯を作って食べてから「カフェで新聞でも読むか」とウストゥルバラドに戻ってくる。
歩いていたらDさんから電話。友達を待っている間に暇で電話してきたみたいですが、たまたま100mくらいの距離にいたので、遊びに行ってしばらく道端に腰掛けて話しました。
わたしがアーンミーヤについて色々質問すると「アーンミーヤに興味を持ちすぎるな、アーンミーヤは言語を殺すものだ」とか滔々とフスハーで語るくせに、普段は高速アーンミーヤで話しかけてきて困ります。
コイツも知らない間にわたしの電話番号を他人に教えていて、「勝手に教えるな」と諭したのですが、教えた相手が割と印象の良かった人物だったこともあり、穏やかに釘を刺して済ませます。ダブルスタンダード。
D氏が友達とでかけた後、新聞を読む場所を求めて歩く。
テレビの該当インタビューに出くわしました。
街頭インタビュー1 posted by
(C)ほじょこ 街頭インタビュー2 posted by
(C)ほじょこ カメラマンがこっちにピースしているのがエジプトらしいです。
また男が話しかけてくる。
向こうが英語を使わず、最初アーンミーヤ、次にフスハーだったこともあり、少し歩きながら話します。
アスワーン出身でフランスに五年滞在した後、帰国しカイロで働いているS氏。ヌビア語(アラビア語ではないまったくの別言語で、書き言葉を持たない)、アラビア語アスワーン方言、アラビア語カイロ方言(いわゆるエジプト方言)、フスハー、英語、フランス語を操ります。エジプトにはこの手の多言語マスターが掃いて捨てるほどいます。「カフェで新聞でも読もうかと思っていた」と言うと、Nというマクハーが良い、と言います。場所を説明しようとするのですが、うまく伝わらないせいか、一緒に行くことに。
結局よくあるナンパみたいになってちょっとウンザリしつつも、練習台にできる、と例によって非道な下心を抱いて着いて行ってみると、前に一度だけ知人に連れて行かれた店でした。
前に来た時に非常に不愉快なことがあったので(店のせいではない)、気が乗らなかったのですが、ここまで来た手前一緒に入ります。
お酒を飲んでいる人が沢山いるところで、彼も飲んでいます。
正直、大変気分が悪い。
別に他人の信仰実践に口を挟む気は全然ないのですが、エジプトに来て以来、アルコールに対する忍耐力が以前よりも更に弱まってきている気がします。
日本にいた時からお酒の席には顔を出さず、歌舞伎町などナパームで焼き払うべきだと今でも信じていますが、お酒を飲む場や飲む人のすべてが「悪」とまでは思っていませんでした。心底信頼している人が相手なら、お酒を飲んでいる人とも楽しく会話できていました。エジプトに来て以来、お酒を飲む人がほとんどいない環境のせいか、嫌悪というより憎悪が加速しているようです。信仰とは全然関係なく、ただ単にお酒と酔っ払いが心底嫌いなだけでしょう(笑)。
ムスリムが多数派の国は、せっかくお酒やポルノを排除し易い環境にあるのに、こういう場が依然存在することが不愉快でなりません。まぁ、目につかない場所にはなっているので、嫌なら行かなければ良いだけの話で、見たくないものまで目に入ってくる日本より、遥かに心穏やかに暮らせるのですけれど。
しばらく一緒に新聞を読んだりしたものの、段々「ボーイフレンドはいるのか」とかそっち系の話題になり、しかも言っているのが飲酒者なので、露骨に不機嫌そうな顔をしていたら、普通に解放してくれました。
ちなみに、ネスカフェ一杯で10ポンド。普通のマクハーなら即抗議ものですが、カフェと言っても「飲み屋」みたいなところなので、仕方ないか、という印象。
ナンパっぽい流れなので奢られるかと思っていたら、自分で払うことになりました。でも、これはむしろ良かったと思います。向こうもつまんなかっただろうし、短時間ながらも言語について質問したりしたので、こんなところで奢られたりしたら借りができすぎます。
S氏はまだ三十そこそこに見えましたが、店の選択といい、マルボロライトを吸っているところといい、フランス滞在の前半が留学であったことといい、多分ボンボンです。
アスワーン方言について最近になって知った情報をいくつか確認したところ、正しい情報でした。こういう話だけは無条件に面白いです。
「一緒に新聞読むごっこ」で、単語について尋ねると、人により色々な説明の仕方をしてくれるので、なかなか興味深いです。色々な文章で目にして、色々な人に説明してもらうと、辞書では表現できない、一般アラブ人の間にある語イメージが把握し易く、とても勉強になります。
حصادという基本単語の意味が思い出せずに尋ねたところ、「集めること、色々なところからちょっとずつ取ってくる感じだ」と言います。「مجموعみたいな?」と言うと、「その通り」との答え。
辞書で引くと「収穫」という訳語になっているのですが、「実を集めて収穫する」みたいなイメージなのでしょう。使われていた文脈でも、「収穫」ではしっくり来ない抽象的な意味で使っていて、「たくさん」「結果」「細かいものがちょっとずつ集まって大きな塊になる」みたいなイメージと連合しているように感じます。
今日の新聞で、ガマール・ムバーラク氏(ムバーラク大統領の次男で、次期大統領候補の一人と言われる)を米国の調査機関が2010年に注目すべきアフリカ人の一人に選んだ、と知りました(
英語による関連記事 )。国民には人気がない、といった報道も目にするし、英語圏での情報を探したら全然注目されていないのですが、実際のところ、その辺のおっちゃんがどう位置づけているのか気になります。政治の話に持っていくのは疲れるしイヤなのですが、機会があったら何となく探ってみたいです。
帰宅し自習したりテレビを眺める。
アル=アラビーヤ(ドバイ発のアラビア語放送で、サウジアラビア資本と言われる)のニュースを見ていたのですが、フスハーが非常に聞きやすいです。同じフスハー放送でも、アル=ジャジーラ、特にアル=ジャジーラ子供チャンネルは、教育目的もあってか、イウラーブを過剰に強調していて、かえって聞きにくいです。子供チャンネルの場合、内容的に「お話的」なため、ニュースより語彙的に難しいこともあります(どの言語でもニュースの聞き取りは一番簡単)。
アル=アラビーヤのニュースは、程よく崩れたフスハーで、日本人学習者には一番しっくり来るかもしれません。
深夜、寝ているところにDさんから電話。
友人に帰るアテのなくなってしまった人がいるらしく、つきあって街にいるらしいです。そんなことで電話して欲しくないし「寝てた」と不機嫌そうに対応したのですが、一時間くらいしてまた寝ている時にかかってきて、キレました。
というか、時々キレてやらないと、エジプト人と丁度良い距離で関わるのは難しいです。「丁度良い」というのはもちろん、「こちらにとって丁度良い」だけで、別段「我こそ真理」とは思っていないのですが、自分のことしか考えていないので、力ずくでこっちの都合の良いように小突いたり蹴飛ばしたりして誘導します。
自分の都合をわめけない人間は、ババを引くのが当たり前。
エジプト人にも色々いて、というか、日本の一万倍多様でバラバラなですが、非常に大雑把に「欧米かぶれ系」と「伝統系」にわけてみます。知識人が欧米かぶれかというと全然そんなことはなくて、伝統系知識人で、かつ自らの宗教・文化に対し相対的に見られる人、というのも沢山いて、個人的にはこの人たちが一番付き合いやすいです。
頭が固くて何かと言うと「それはハラーム」を連発する人でも、欧米かぶれ系よりはマシです。まともにフスハーも話せず、アメリカ人の真似ばかりしている軽薄なエジプト人と付き合うくらいなら、アメリカ人と友達になる方がずっといいです(もちろんアメリカ人にも尊敬できる人は沢山いる)。
頭の固い日本人になりたい。
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エジプト方言の教科書Kallimni 'Arabi |2009/10/08(木) 18:09:50|
エジプト留学日記