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ロバから落ちる

11/30

 アスワーンから戻り、ルクソールのOASISホテル、二度目の朝。
 前日まで強行スケジュールだったので、この日は屋上で新聞でも読んでのんびり過ごそう、と思う。
 気球にも興味があったのですが、500ポンドと物凄いお値段なので、諦めました。他の国で乗るよりは割安だと思うのですが・・・。
 ちなみに、気球は以前はもっと安いものもあったのですが、事故が起こってから政府が介入し、一度に乗れる人数などを制限した結果、これくらいの価格に落ち着いたそうです。適正価格なのだと思います。

 新聞ばかり読んでいると流石に飽きてきて、昼過ぎに街を散歩しに出かける。
 ブラブラ歩いていると、イブラーヒームという男が声をかけてくる。いつものことなので適当に流していたのですが、アーンミーヤの会話が割りとリズム良くできて楽しかったので(こういうのは相性がある)、しばらく一緒に散歩することにしました。
 ルクソール東岸の多くの通りは綺麗に整備された「観光用」ですが、ローカルのスークもあります。そういう場所でも、カイロに比べると道幅が広く、土地に余裕があるせいか、それ程雑然として見えません。

 ちょっとギリギリの写真もありますが、敢えて載せてみます。

ルクソールのスーク
ルクソールのスーク posted by (C)ほじょこ

ルクソールのスークで
ルクソールのスークで posted by (C)ほじょこ

 名前を失念してしまったのですが、ルクソール神殿に続く道路が、発掘・整備作業中です。

ルクソール発掘中
ルクソール発掘中 posted by (C)ほじょこ

 西岸に家がある、という彼に誘われて、フェリーで対岸に渡ります。1ポンド。
 ルクソール西岸は、非常に綺麗に整備されていて、少し歩くと小さな村落、そこから更に進むと田園風景と砂漠、と連なっています。
 彼の村落は西岸降りてすぐのところでしたが、マイクロバスも走っていて、船着場から遠い村落もあるようです。
 「ロバに乗せてあげる」というので、「まぁ商売なんだろうなぁ」と思いながら、不用心に家まで着いて行きます。小さな村落だし、何かあったら回りに筒抜けな一方、周辺住民が特に注目していないので、いつもこうやってロバビジネスをやっているのでしょう(「付いていく」行為は原則お薦めしませんが、常に悪い結果が出るわけでもないので、「第三者がそれを見てどう反応しているか」を注意深く観察すると良いです。あと、身体は鍛えとけw)。
 家でお茶を頂戴しながら、家族の写真などを見せてもらったのですが、どうも彼の家は、この辺りでは裕福な様子。家の雰囲気も荒んでいません。父親がイギリスに行った写真や、ドイツ人写真家が作ってくれた写真集もあり、この辺りに来る欧米人と付き合って一儲けした印象があります。

ルクソール西岸の街路
ルクソール西岸の街路 posted by (C)ほじょこ

 ロバは前から乗りたかったので、とにかく誘われるままに乗ってみることにしました。
 小さなロバですが、足をかけるところがないので、慣れないと何かの台から乗らないと難しいです(慣れたらぴょんと乗れるのでしょう)。ラクダのように低くなってもくれません。
 乗ってみると、トコトコ進む感じは、スーパーカブのよう。手綱の左を引くと左、右を引くと右、両方強く引くと止まる、のようです。その他に声や足で蹴ってスピードを操る方法も教えてもらえました。
 今ひとつうまく制御できないのですが、とにかく通り沿いにトコトコ歩いてくれます。
 自動車やバイクの場合、思い通りになる代わり、すべて人間が判断しないといけません。でもロバには常識があるので、壁に向かって突進したりはしません。ちゃんと道沿いに歩いてくれますし、対抗ロバが来たら自動で避けてくれます。

ルクソール西岸の田園風景
ルクソール西岸の田園風景 posted by (C)ほじょこ

 「Yさんは難しいと言っていたけれど、意外と簡単やん」と調子に乗っていたのが、大失敗でした。
 「イグリー!イグリー!」とか飛ばしていたら、ロバが段差か何かを避けようとした時、タタッと少しよろめくように歩き、バランスを崩してロバから落ちてしまったのです。バックを肩からかけたままで、しっかりロバをホールドしていなかったのもいけませんでした。
 ロバの高さは馬やラクダに比べたら全然大したことはないのですが、下が思い切り固いアスファルトだったので、かなり痛かったです。
 一応頭を打たないよう腕と背中から落ちたのですが、それでも十分キツイです。痺れるような痛みの中で、「柔道がアスファルトの上では最強というのはこのことですか・・」と、無意味に格闘オタクな台詞が脳裏をよぎって行きます。
 イブラーヒーム君が慌てて駆け寄ってくるので「大丈夫」と言いますが、正直大丈夫じゃないです。指を一本ずつ動かし、肘、肩と動かすと、折れてはいないようです。一安心。
 近所の人が氷を持ってきてくれたので、とりあえず冷やしました。
 ただでさえも笑いものにされるロバから、さらに落ちたとなっては、面白すぎます。恥ずかしい・・・。
 でも、ロバでこのダメージなら、馬やラクダから落ちたら死んでもおかしくないです。ロバで死なないで良かったです。せめて落馬で死にたいです。

 この子がわたしを落としたロバ。

ルクソール西岸のロバ
ルクソール西岸のロバ posted by (C)ほじょこ

 ロバに文句を言うわけにもいかないし、気持ちのやり場がありません。
 多分、慣れない人間が乗ったので、ロバもナメていたのでしょう。もしかするとわざと落としたのかもしれません。
 まぁ、そりゃ人間なんて乗せたくないわな。畑耕したこともない日本人なんか、ダルくて乗せてらんないわな。わたしが逆の立場やったら、絶対脱走してるわ。

 もう一度乗る気分にはなれなかったので、腕を冷やした後、一緒にロバを引いて西岸の田園風景の中をしばらくお散歩しました。

ルクソール西岸 畑の中の道
ルクソール西岸 畑の中の道 posted by (C)ほじょこ

 彼の家でももう一度冷やし、ローカルフェリーまで送ってくれます。
 案の定、ここで料金を請求されました。最初30ポンドと言ってきたので、20ポンドまで値切って決着。それでも高いのかもしれませんが、ロバ自体は楽しかったし、落ちたのは自己責任なので、そこは構いません。
 ただ、こうした後から言ってくる商売の仕方は気に食わないので、普通にムッツリしていました。
 まぁ、彼らも生活があるのでしょう。彼も申し訳なさそうで、一言値切るとすぐ応じてくれたし、ちゃんとバツの悪そうな顔をしていたので、許してあげます。

 ホテルOASISに戻る。Yさんの友人で、同じくルクソール出身のエジプト人と結婚して、現在カイロにお住まいの女性と話す。元「同じ業界のずっと身分の高い方」で、柔らかい物腰から、人を使う人間の風格が感じられました。
 この晩はバストイレ付きのダブルルームに泊めてもらえました。
 この部屋は内装も綺麗で、エアコンまで付いていて、なかなかデラックスです。一人で泊まってすいませんねー・・・。
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テーマ:エジプト - ジャンル:海外情報

  1. ロバから落ちる|2009/12/06(日) 02:12:29|
  2. ルクソール・アスワーンの旅

アスワーン西岸の砂漠

 アブ・シンベルから戻ったお昼過ぎのアスワーン。
 ルクソールのOASISが余りに居心地が良く、この日にまたルクソールに戻ろうと思っていたのですが、夜の汽車までにまだ時間があります。
 アスワーンも「東高西低」な構造で、鉄道駅や宿などは東岸にあるのですが、西岸でもブラブラしてみるか、と思っていたところで、男が片言の日本語で「ヤクザ」とか言ってきます。
 「それは汚い言葉だ、そういう言葉で呼びかけてはいけない」と言うと、男が「知らなかった」と真剣に謝ってきました。「それはわかっている。日本人の観光客には、悪い人もいる。そういう人が変な言葉を教えて、知らないまま使っているのはわかっている、あなたのせいではない」と言うと、「お詫びにお茶を奢らせてくれ」と言ってきます。
 こういうナンパ手口なのかも、と思ったのですが、なかなか引いてくれないので「お茶は要らない、代わりに新聞を奢ってくれ」と言ったら、本当に新聞を買ってくれました。1ポンドですが。
 西岸に行こうとしている、と言うと、切符も買ってくれた上、「案内するから」としつこいのですが、ちょっとしんどくなってきたので、「悪いけど一人で行きたい」と何とかお断りしました。
 ローカルの渡し船に乗ります。ルクソールのローカルフェリーと違い、本当にただの船。混雑していたせいか、船の半分は男性、半分は女性、と分かれて乗っていました。
 帰りに自腹で乗ったら5ポンドでしたが、ルクソールのローカルフェリーでも1ポンドなのに、高すぎます。ボラれたかもしれませんが、まぁ他に交通手段もないので良しとしておきます(地元民の彼が幾ら払ったのかはわからないですが、5ポンドとうことはないと思う)。

 アスワーン西岸に着くと、そこには小さな売店がある程度で、ほとんど建物もなく、いきなり砂漠です。
 丘の上にマカービル・フィルアウニーヤという墳墓群があり(そう、「マァービル」ではなく「マカービル」と発音している!)、北がヌビアの集落になっています。
 ここにはラクダ引きやロバ引き(?)が沢山いて、イード休暇中のせいか、丁度日本のファミリー牧場のようなノリで、家族連れで大混雑していました。ほとんどエジプト人です。
 ここのラクダはギザのラクダと違って毛並みが良く、ロバも可愛い子が多いです。一匹まだ子供のロバがいて、時々地面を足でケンケンしたりして、めちゃくちゃ可愛いです。撫でてみたら毛並みもフワフワです。

アスワーン西岸風景
アスワーン西岸風景 posted by (C)ほじょこ

アスワーン西岸たくさんのらくだ
アスワーン西岸たくさんのらくだ posted by (C)ほじょこ

アスワーン西岸の子供のロバ
アスワーン西岸の子供のロバ posted by (C)ほじょこ

アスワーン西岸でロバに乗る子供
アスワーン西岸でロバに乗る子供 posted by (C)ほじょこ

 ラクダ引きが「それはまだ子供だ、乗れない」とか声をかけてきます。そんなことは分かっています。「どうせボッタくるのだろう」と思い、「ヌビア村まで歩く」と歩き始めると、ラクダでポコポコ追いかけながら、頭上から営業してきます。
 「鬱陶しいなー」と思っていると、買い物帰りらしいヌビアのおばちゃんが声をかけてきます。おばちゃんだとすっかり気を許し、ヌビアの村に向かって一緒に歩きながら「アスワーンはカイロと全然違ってのどかだねぇ」などとお喋りしました。
 おばちゃんが「ラクダ乗ってみたら? アメリカ人もフランス人も皆乗ってるよ」と言うので、「おばちゃんが言うなら」とラクダに乗ることにしました。

 後になってわかったのですが、彼らは確かに営業をかけてくるのですが、カイロと違って、やり方も素朴だし、めちゃくちゃボッタくるようなこともありません。街の人がことごとく声をかけてきますが、本当に純粋に興味を持ってくれていることが多いです。
 ラクダも25ポンドで、結局2時間くらい満喫したので、十分適正価格でした。

 ラクダに乗るのは二回目ですが、前より少し余裕が出てきたせいか、自分で手綱を持たせてもらい、「どうやって操るの?」と質問します。マフムードと名乗るヌビアの青年は、ラクダ乗り独特の声を出して「こうやると進むんだ」と言いますが、そもそもその声を真似できません。結局タンデムしてもらって、砂漠をポクポク進みました。ラクダの名前は「モニカ」ちゃん。
 船着場から近いところは、岩のゴロゴロしている砂漠で、少しゴミも落ちていますが、それでもギザとは比べ物にならない程綺麗。
 しかも、丘を越えて少し進むと、岩がまったくない、日本人のイメージする「サラサラの砂漠」があります。サラサラ砂漠でラクダを降りて休憩したのですが、こんなに街から近いところなのに、本当に綺麗でずっと手ですくって遊んでいたくなります。砂の熱さが気持ちよいです(後で考えると、日中は砂の中に虫やら蛇やらが隠れているので、不用心だったかも)。
 お値段を考えても、ラクダに乗りたいなら断固アスワーンです。ギザなんかで乗ったら絶対ダメです。あそこは砂漠というよりゴミ捨て場ですから(笑)。

アスワーン西岸らくだの上から
アスワーン西岸らくだの上から posted by (C)ほじょこ

アスワーン西岸の砂漠
アスワーン西岸の砂漠 posted by (C)ほじょこ

アスワーン西岸墳墓群
アスワーン西岸墳墓群 posted by (C)ほじょこ

 青い装飾で統一された、とても可愛いヌビアの村も一望できます。
 「村には、嫁入りしたドイツ人とスペイン人がいる。君が僕のお嫁さんになったら、日本人は一人目だ」と、この辺は普通のエジプト人と一緒。
 砂の上で休憩している時、携帯に入れているボブ・マーリーの曲を聞かせてくれました。
 「ボブ・マーリーが好きでドレッドにしていたんだけど、軍隊に入った時に切った」「軍隊は大変だった?」「すごい大変だった!」。
 滅多なことでは弱音を吐きそうにないタフなヌビアの青年が、語気を強めます。彼だけでなく、屈強そうな何人ものエジプトの男が、「軍隊だけは・・」と語るのを聞きました。エジプトの軍隊は本当に過酷なようです。火の輪潜りをさせられた、と言っていました。それ何か意味あるのでしょうか・・。

 彼が時々、ラクダの上から携帯電話でヌビア語を話しています。
 ラクダに携帯、という風景が既にすごいですが、ヌビア語はアラビア語とはまったく違う言語で(アラビア語アスワーン方言とも関係ない)、書記を持ちません。
 ちょっと例文みたいなものを作ってもらったら、語順的には動詞が最後に来るようでしたが、全然自信はありません。

アスワーン西岸砂漠 らくだと携帯
アスワーン西岸砂漠 らくだと携帯 posted by (C)ほじょこ

 ラクダと砂漠を満喫して、船着場に戻る。
 お茶を飲みながら代金を支払ったのですが、25ポンドのうち20ポンドはラクダの持ち主に渡され、マフムード青年の取り分は5ポンドだけでした。時給2ポンド(約40円)くらいです。バクシーシくらい渡してくれば良かったです。

 船の中で、小学生くらいの女の子が話しかけてくる。
 つたない英語で「名前は何て言うの」「どこから来たの」とか聞こうとするので、「アラビア語で喋っていいよ」と言うと、途端にパァッと顔が明るくなって「アラビア語がわかるの!? どうして話せるの!?」と言ってくれたのは、とても嬉しかったです。あんまりまくし立てられると付いていけないのですが(笑)。

 6:00の電車でルクソールに戻る。車内で買った切符は33ポンド。

 OASISホテルに戻り、また屋上のマタアムでぼんやりする。
 他所の宿に泊まっているのに入り浸っている日本人T氏から、色々お話を伺う。
 彼はAさんと同じく相当旅慣れた人で、本当に世界中よく旅行しています。
 モロッコの奥の方で、現地の人と結婚した日本人男性の話を聞く。逆パターンは沢山ありますが、男性というのは初めて聞きました。
 でも、聞いていて憂鬱になるような濃いお話で、ちょっとここには書けません。産業のない世界で一族を背負う稼ぎ頭になるというのは、大変な重荷を背負うことです。

 旅慣れたT氏が言った「都会の貧乏は惨めだけれど、田舎の貧乏は惨めじゃない」という言葉が、印象に残っています。
 そう、田舎は貧乏人でも、都会のスラムのように悲惨じゃない。食べていけるとかいけないとかではなく、例え仕事がなくても、何か居場所があるからじゃないか、と思う。
 仕事がなくなったら価値がゼロになる世界は、手探りで崖の淵を歩くような不安な世界だ。一番大切な命綱を、手放してしまったからだ。
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  1. アスワーン西岸の砂漠|2009/12/06(日) 02:09:12|
  2. ルクソール・アスワーンの旅

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