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ラマダーン最終日、なぜ「エジプト語」が国語化されないのか

 今日でラマダーンが終わり、明日からイードの筈なので、その前にアメ大の本屋さんに行っておこう、と思ったら、今日から既にお休みでした。
 さらに先生から電話があり「今日は親族が集まっているから休みにできないか」ということで、授業もナシ。ラマダーン最終日(予定)から、既にお休みなのですね。当日になってから「お休みは普通四日(最終日とイード三日)」と知りました。大晦日みたいなものでしょうか。
 そんなわけで、急に暇になった夕方にブラブラしていると、友人にバッタリ会いました。行動エリア的に驚くことではないのですが、何となく流れでまた行動を共にすることに。

 イフタールをご一緒した後、彼の部屋(例によって親戚が色々遊びに来ている)やらマクハーやらあっちこっち移動しまくった挙句、彼の甥の運転する車でマアーディに。
 以前に日本人の方の車に乗せてもらった時も感じましたが、(ちゃんとした)車で移動していると、街がまったく違って見えます。おまけに目的地がマアーディだったので、王侯貴族にでもなったようなゴージャスな気分でした(マアーディは日本大使館もあるお大臣地区)。ピカピカの車でガンガンに音楽をかけて、すっかり「悪いエジプト人」と遊んでいる状態です。帰りにシタデルの東あたりをずっと北上して回っていったのですが、このルートの夜景も素晴らしいです。砂埃にまみれ地を這って見る景色とはエライ違いです。
 その後ホテルの屋上のレストランに連れて行ってもらったのですが、全員外人でお酒を飲んでいる人もいます。彼はアメリカ人やらイギリス人と談笑しているのですが、正直お酒の席は辛いです。飲むこと自体は個人の自由だと思うのですが・・・。

 ほとんど英語で一日が過ぎていき、ちょっとションボリしつつ、大家さんとの約束を前に帰宅。衛星放送の工事を完成させるためです。
 工事はつつがなく終了し、見事衛星放送が見られるようになりました。大家さんがムサルサル(ドラマ)と音楽のチャンネルばかりリクエストしていて、慌てて「ニュースと宗教番組が見られればいい」と要望。電気屋さんがチャンネルの設定をしてくれます。大家さんには、どうもこちらの欲しいものを常に誤解されている気がします。
 「あってもなくてもどうでもいい」と思っていた衛星放送ですが、アルジャジーラ子供チャンネルが見られるようになったのは嬉しいです。テレビ自体が激しくボロいので、画面は超低解像度で色もほとんど識別できませんが、音声は聞き取れて物の形がわかれば上等です(念のためですが、エジプトにもちゃんとしたテレビはいくらでもあります)。

 アルジャジーラ子供チャンネルで流れているアニメはフスハーで話されていて、アラビア語学習者には大変心強い教材です。ただ、宗教くさいお説教アニメはともかく、現代的な絵柄のアニメで子供の登場人物がみんなフスハーで喋っていると、かなり奇妙に映ります。エジプトに来る前だったら「そういうものか」と見られたのでしょうが、こちらの言語状況に馴染んだ目で見ると「こんな子供いないよっ」とツッコみたくなります。
 子供が
!هذا ليس ممكنا
 とか思い切りファトハタンを強調しながら叫んでいて、時代がかりすぎてコケそうです。
 街でフスハーを耳にすることは99%ないし、今日遊んでいた友人はフスハーも喋れますが、上の記述からわかるように、キャラ的にフスハーから最も遠い位置にいて「フスハー嫌い」と明言していますし、第三者としてエジプト人以外がいると必ず英語で喋っています(彼は言語的にちょっと特殊なポジションにいて、一般のエジプト人はフスハーが下手でもリスペクトはしている)。
 こんな風に、日常使わないフスハーによるニュース番組を、エジプト人が理解できているのが逆に不思議です。「話す」という段階になると、自在にフスハーを操れる人というのは限られているのですが、一般のテクストを読むことに関しては、教育のある人については困っている様子はまったくないし、聞いても普通にわかるらしいです。

 エジプト方言が「エジプト語」として国語化されないないのは、ひとえに政治的理由によるものでしょうが、エジプト人にとって問題ではないのか、疑問に思うこともあります。アーンミーヤにはアーンミーヤの正書法を与えて「正規化」しても、フスハーの素晴らしさに変わりはないと思うのですが、現実的にはそうもいかないでしょう。
 言語アイデンティティはネーションの礎の一つですが、この国、というよりアラブ世界では宗教アイデンティティが非常に強力ですし、下手にこれに抗うような政策を取れば、ネーションの方が負けかねません。仮に「信仰の言葉」としての要素を除外したとしても、「民族」という括り方をしようとすると、「一つのアラブ」に向かうのか「エジプト」に向かうのか、というオプションがこれまた想定可能で、アラブナショナリズム華やかなりし頃は実際に「一つのアラブ」が謳われていたわけですから、そう簡単に「統一言語」を敵に回すことはできないわけです。

 先生と話していて「せめて記法を統一くらいできないのか」と言ってみたことがあるのですが「アーンミーヤはどんどん変化していくし、記法も人によって違う。統一なんて不可能だ」とのことでした。でも、そんなのはどんな国の言語でも一緒のことで、そこを力で押し付けるから「国語」なのでしょう。言語は常に政治的なものです。逆に言えば、「エジプト語」が確立されていないのは、そうさせない政治的パワーが働いているからにすぎません。
 ちなみに、「正書法が確立されていない」というのは、「統一記法がない」というだけで、「アーンミーヤは書かれることがない」ということではありません。アーンミーヤは口語だけで、一切書かれることがないかのような誤解が一部にあるようですが、ちゃんと文字になる場面というのは存在します。スーパーで水を買えばماءではなくميةとレシートに書いてあります。携帯メール等はアーンミーヤで書いてくるし、わたしもアーンミーヤで返します(こっちは一言二言しか書けませんが・・)。
 というか、書き言葉に落としてみると、意外なほどフスハーとの差は小さいもので、要するに差が大きいのは「強引に書いてみた場合のアーンミーヤ」と「実際の発音」の間です。これについても、英語のスペルと発音について考えれば、一般的な言語としてはそう無茶苦茶な話ではありません。
 日本語にしても、例えば「おおきい」が「おーきい」「おうきい」と書かれていたとしても、大抵は意図を取ることができます。学習用にアーンミーヤを文字に起こしたものを読んでも、実に表記がバラバラです。外人としては混乱するのですが、一般のエジプト人に見せてみると難なく読めるので、「『おおきい』だろうが『おーきい』だろうがどっちでもええやん」状態だと考えると近いのかもしれません。

タンヌーラ1
タンヌーラ1 posted by (C)ほじょこ
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テーマ:エジプト - ジャンル:海外情報

  1. ラマダーン最終日、なぜ「エジプト語」が国語化されないのか|2009/09/21(月) 02:46:02|
  2. エジプト留学日記

マッサージでイフタールのお返しをする

 お友達のお宅でイフタールをご馳走になりました。

可愛いお部屋
可愛いお部屋 posted by (C)ほじょこ

 約束でかなり早めにお邪魔したところ、友人本人は、一通りわたしを紹介してくれた後、仕事で外出。「一緒に食事の支度をしたらいいよ」と言われたものの、彼以外の家族はアーンミーヤ以外ほとんど喋れません。
 家族構成もよく飲み込めないまま、へっぽこアーンミーヤしか喋れないわたしが、ポツンと取り残されてしまいました。
 イフタール直前ですが、もう食事の支度は一通り終わっていたようで、ただひたすら日没が来るのを待っている状態です。友人の紹介が異様に簡素だったので、家族の方もとまどっています。
 仕方がないので、五歳の男の子(友人の姪の息子と後で判明)と遊んで場を取り繕いました。子供なら言葉もへったくれもないし、幸いというか、この子が物怖じしないヤンチャな子で、クルクル回ったり色の名前当てっこをしたりタカイタカイをしたりして、楽しく遊べました。
 子供の台詞すら半分くらいしか聞き取れません。というか、子供の方が聞き取りが難しいかもしれません。この子の方がわたしよりエジプト方言が達者です。
 エジプト人は、軽いyesの意味で返事をしたり相槌を打つ時に「オゥ」とも「アァ」ともつかない非常にオッサンくさい声を男女を問わず用いるのですが、可愛らしい坊やが早くもこのオッサン声を使いこなしていて、ちょっと面白かったです。日本人の感覚で聞くと、ものすごいやる気なさそうに聞こえて、バカにされているのかと思うのですが、別に普通の返事です。

 母語以外の言語で生活していると誰でも感じるでしょうが、聞き取れる時はほとんどパーフェクトに理解できるのに、わからない時は本当に断片しかわからない、ということがよくあります。友人のお姉さんが電話で喋っている内容を傍で聞いていて、九割がた聞き取れていたのに、ちょっと別の話題に移るとまったくついていけなくなります。何なんでしょうね、あれは。
 多分、ダダダーッとまくし立てられても何故か着いていけているというのは、文脈と断片的な単語が大分助けてくれているはずで、逆に部分を取り出して言われると、かえってわからなくなることがあると思います。
 それから、命令文というのはとても大事ですね。「何今頃言ってんだ」と言われるでしょうが、アラビア語は命令文の作り方が英語等に比べるとちょっと面倒で、入門教科書なんかでは少し進んでから登場するのですが、多分、幼児が一番よく聞くのは命令文でしょう。「単語を覚える」といと、アラビア語の場合、完了・未完了・マスダルの三つを覚えるということで、命令文はそこから統語構造に沿って導くことになるのですが、この結果の音を理屈抜きで身体に染み込ませていないと、高速トークに着いていけません。アーンミーヤだと変則的な命令も多いです。加えて、命令文というのは大抵非常に短いので、わかると簡単ですが、わからないと「文脈から推測」ということが難しいです。「え?」と聞き返しても、エジプト人は単により大きな声で同じ台詞を怒鳴るだけなので、外国人の役にはまったく立ちません(笑)。

 友人とそのまた友人が帰還し、一緒にイフタール。

イフタールの食卓
イフタールの食卓 posted by (C)ほじょこ

 トマト煮込みはいつもおいしいです。モロヘイヤも結構好き。
 マフシーはエジプト名物ですが、正直あんまり好きじゃありません。名物に限って相性が悪くて、エジプト人やエジプトファンの方々に申し訳ないです。

 家族の絆がいつも以上に強まるラマダーンなので、イフタールは家族団らんの時かと思うのですが、結構みんな黙々と食べます。断食明けなので、団らんとか何とかより、とりあえず空腹を満たすのに集中しています。
 イフタールそのものは、エジプト訪問前のイメージと違って、結構あっさり終わります。早食いでササッと食べると、早々に片付け始めます。
 「ラマダーンにかえって太るというけど、意外と食べないな」と思ったのですが、この後夜の間あっちこっち訪問しながら食べたり飲んだりして、さらに寝る前にも食べる(または夜明け前に一度起きて食べる)ので、そっちがデブの原因でしょう。

 イフタール後、友人はまた仕事で外出とのことで「ここでのんびりするか、一緒に出るか、どっちにする?」と言われたのですが、他人の家族の中にポツンと取り残されても辛いので、一緒に出かけることにします。
 でも彼は、ものすごい勢いであちこち移動しながら、ひたすら携帯で話したり会う人ごとに濃密にコミュニケーションをとっています。次から次に人を紹介されるので、目が回りそうです。
 加えて、彼に限らずエジプトの男性は全般に歩くのが速いです。大分慣れましたが、彼らのリズムに合わせてセカセカ歩きながら道路もソツなく横断し、かつ会話を継続するのは、やっぱりかなり消耗します。
 エジプト人と行動を共にしていると、人間関係の海の中をモーターボートで突っ切っているようで、ただでさえも外国語の会話で頭を使うのに、すごい精神力を要求されます。
 あるマクハーでなぜか彼がバックギャモンを始めて(すでにフラフラで状況が飲み込めていない)、いい加減疲れていたので「家族の人とお喋りしている」と言って部屋に戻りました。

 「他人の家族の中にポツン」の第二ラウンドが始まりましたが、最初よりみんながわたしに慣れてくれたのか、ご飯を食べてホッコリしたのか、一応会話の形になってきます。
 ちょっと早口になると、本当に簡単な内容でも聞き取りに苦労しますが、せっかくの機会なので気合でお姉さんや姪御さんとトークします。
 お姉さんからは、例によってやたらお金の話ばかりされてちょっと辟易したのですが、ご馳走になった身分が嫌な顔をしてはいけません。
 お姉さんはトドのように大きな女性で、立ったり座ったりするたびに「オォウ」と掛け声が入るのですが、なぜか腕をマッサージして欲しい、と言い出します。わたしがテレビを見ながらストレッチしたりしていたせいでしょうか。
 マッサージは割と得意なので、モミモミして差し上げると、またトドのように大げさにリアクションをくれます。でもこの反応の派手さのお陰で、言葉が今ひとつ通じなくても、どこを揉んで欲しいのか察することができました。
 気に入って貰えたのか、姪御さんの方からもマッサージリクエストが来ます。ご馳走になったので、マッサージくらい何でもないですし、間が持たないのでかえって助かります。

 「海外に行くなら付け焼刃の英会話なんかより折り紙を練習」と思うのですが、わたしはものすごい手先が不器用で、鶴も折れません。外国で誇れるものが何もないです。
 料理も下手くそだし、踊るのは好きですが上手なわけでもなく、そんなしょっちゅう踊る場面もありません。武道はやっていましたが、そんなものもっと使う場面がありません。
 今回のマッサージで「これは使える!」というものに初めて出会った気がします。同性にしか使えませんが(エジプトでは家族以外の異性にマッサージするというのは考えられないはず)、リラックスして仲良くなるのに結構良い方法かもしれません。
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  1. マッサージでイフタールのお返しをする|2009/09/18(金) 11:35:12|
  2. エジプト留学日記

信仰強化月間ラマダーン

 ラマダーンというと「断食」のイメージばかりが強いですが、まず、「断食」というのは、食べないだけでなく水も飲めないし、タバコも吸えません(わたしはなんちゃって断食なので、身体がヤバそうな時は水はちょっと飲んでいます)。そして先生などに伺うと、「一番大切なのは、貧者に施しを与え、悪いことを口にしたり嘘をついたりしないこと」と仰います。嘘をついたり悪事を働くのは、別にラマダーンでなくてもいけないことだと思いますが・・。
 で、実際のところどうなのだろう、とブラブラ観察していると、はっきり言って別に普段と変わりありません。イスラーム地区(古いジャーミゥなどが集中しているエリア)では違うのかもしれませんが、普通の街中では相変わらずそこら中で怒鳴りあいをしているし、間断なくクラクションが鳴り響いているし、到底宗教的な静謐さは感じられません。特に夕暮れ時は、お腹が減ってイライラしているドライバーの猛烈な帰宅ラッシュで、普段より更に喧騒が激しくなっています。
 でも、キチンと礼拝してクルアーンを読む、というのは本当で、小さなマスジドは普段より絶対人が集まっている感じがするし、公共空間で礼拝している人の数も多いし、街の至るところでクルアーンをブツブツ読んでいる人がいます。「信仰強化月間」なのは間違いないでしょう。
 「交通安全週間」というのがあっても、その週以外はいくらスピード違反してもオッケーという意味ではないのと一緒で、信仰強化月間に嘘をついてはいけない、と言っても、ラマダーン以外は悪事三昧でも良し、ということではないのでしょう。

 お腹が減って喉が渇いている状態でクルアーンを読むというのは、本当に効果的だと思います。
 水が飲める「なんちゃって断食」なら、日本にいる時から数え切れないくらいやっていますが、血糖値が下がりまくってフラフラになってくると、うまく考えがまとまらなくなって、意識の統一を図るのに何か口ずさんでいる方が楽になります。
 視覚的で可逆的・象徴的な頭の使い方から、音声的・不可逆的で、リズムに依存した言語の使い方に一回戻る感じです。
 世界中に多くの「労働歌」がありますが、あれも辛い労働を何とか乗り切るためのリズム的な知恵でしょう。
 そんなものとクルアーンを一緒にしたらいけませんが、クルアーンの音声的な美しさは尋常ではなく、特に意識が朦朧としている状態で口ずさむと、脳の奥の方に届くような不思議な感触があります。断食には、物事の捉え方を一回プリミティヴな方向に戻して、そういう深部へのアクセスを容易にする効果があるようです。
 「それはカルト宗教の洗脳法と一緒ではないか」と言われると、生理的な原理としては、本当に大差ないと思います。要は使い方ですし、本人たちが良いと思ってやっているなら、それで結構ではないでしょうか。とりあえずわたしは不満ないです。

 イスラームについて、些細なことですが、最近ちょっとハッとしたことがあります。
 アラブの詩を勉強していて、「山がアッラーを称える」といった表現を目にした時です。
 雄大な山がある。その山に畏敬の念を抱くのは、多分世界中共通でしょう。
 ただ、プリミティヴな宗教感情では、この山自体が神格化されてしまう。日本に限らず、世界中の多くで、こうした発想は見られるでしょう。山を「神様」とまでは言わないものの、山そのものに対する畏敬の念が第一で、それがそのまま自然に対する敬意になっている。
 でも、イスラーム的に言えば、その偉大な山を創ったのもアッラーなのであり、偉大な山とは、その偉大さそのものによって、アッラーを称えているのです。
 この二つの状態の間には大きな飛躍があり、絶対抽象としての一者という、純粋に象徴的な次元が強く意識されなければ、この溝を飛び越えることはできません。
 山という具象、見るからに偉大な山を崇拝するのは自然ですが、そうした世界そのものの背後に一者を感じ、ただそこへ向かって帰依する、というのは、ぼんやりしていて獲得できる考え方ではありません。

 この飛躍には、多分二つの意味があります。
 一つは、「迷信」的なものの排除。「偶像崇拝の禁止」ですが、その意味するところは、目の前のイメージに惑わされたり、過大に評価してしまったり、また特定の人間を神格化してはならない、ということでしょう。山は偉大で、見るものを圧しますが、要は単に土が盛り上がっているだけで、拝んだからといって奇跡が起きるわけではありません。
 これは非常に重要なポイントで、偉いムスリムの先生が時々「イスラームは科学的」と言っているのは、こういう点を強調したいからでしょう(わたしはこの表現はインチキ臭いので嫌いです)。「科学的」という言い方はしたくないし、不適格だと思いますが、「変な迷信に惑わされるな」というか、ぶっちゃけ「落ち着けバカ、よく見てみろ」という、身も蓋もない段階が最初にある、とわたしは勝手に解釈しています。
 もう一つの意味というのは、「落ち着けバカ」と言われて落ち着いて見たら、ただの山だったり、太ったおっちゃんが頭に冠載せてえばっているだけだったり、すべてが平べったく平明に見えるわけですが、そこで「この世に特別なものなんて何もない、人生は無意味だ」という方向に落ちるのではなく、そういう何でもなさ、単に土が盛り上がってるだけだったり、その全体、世界があること自体が、神の偉大さを証明しているのであり、存在の全体が奇跡なのだ、という、一周回ってもう一度世界に畏敬の念を抱く、という段階に至るのではないかと思います。
 これだけ言ってしまうと、「それでは汎神論ではないか」と偉いセンセーからは怒られそうですが、この「一周回って世界そのものが奇跡」というのは、イスラームの考え方に一致しているはず、とわたしは信じています。

 でも、これだけだと影も形もハッキリしなくて、哲学的すぎて、一般大衆は着いて来られません。そして「普通が一番偉大」なのだとしたら、山ごもりして修行している人だけが神を感じられるのではダメなわけで、むしろ普通の暮らし、世俗的な生活の中で、この「存在の奇跡」が感じられないといけません。
 だから、一周回った後にさらに具象に降りてきて、今度は「普通の生活」の中に、具体的な宗教的な意味のネットワークが溶け込んでいきます。イスラームが結婚や遺産相続から商売の仕方まで関与し、また非常に具体的な礼拝手順などにこだわるのは、哲学的なお話なんて到底ついていけない人々に、「存在の奇跡」を感じるチャンネルを与えるためなのではないかと思います。

 以上、まったくの私見で、偉いセンセーのみならず普通のムスリムの方でも「そんなん全然ちゃうわ!」とお怒りの方がいらっしゃるかもしれませんが、世界の片隅で自分なりにイスラームを感じようとした末の妄言ということで、どうか勘弁してやってください。

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ガーマ・ムハンマド・アリー posted by (C)ほじょこ
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  1. 信仰強化月間ラマダーン|2009/08/27(木) 07:33:32|
  2. エジプト留学雑記

好き好きタマル(ナツメヤシ)

 すっかりラマダーン時間でノロノロ起きる。エジプト人は未明に食べて二度寝とか深夜に食べて寝るようですが、こっちはイフタール以外は軽く夜食を食べたくらいなので、起きた時点で既にお腹が減っています。

 飢えと乾きと戦いながらバスでラムスィース駅へ。行動している方が楽です。
 カイロ市内のバスの仕組みは複雑怪奇、というか、バスというのはどの都市でも地元民以外には難しいものですが、「○○に行きたい!」と叫んでいると、そのうち「あのバスだ」とか「あのおばちゃんが○○に行くから一緒について行け」とか教えてくれる人が現れます。
 ラムスィースとかタハリール方面は、わたしの滞在地近くだと道路の真ん中に立って待つことになるのですが、車の危険より直射日光が辛いです。
 エジプトに来たころはタクシーによくお世話になっていましたが、今では市内の移動に10ポンド(約200円)なんて「あり得ない」金銭感覚になってしまいました。バスなら約10円です。
 中途でバスから降りたければ、減速したタイミングで後ろのドアから飛び降りれば良いのですが、この時、後続車両に気をつけた方がいいです。慣れないとつい飛び降りるタイミングに気がいってしまい、わたしは一度降りて速攻轢き殺されそうになりました。

 バスに乗る前にサングラス購入。日本から持ってきていたのですが、テキトーにバッグに放り込んでいたらフレームが曲がってしまったので、エジプトの女の子がよくしている派手なフレームのサングラスを新たにゲットしました。少し値切って20ポンド(約400円)。先生に聞いてみたら適正価格だったので安心。日本でも1000円であるし、この手の工業系はあんまり安くないです。
 バスでぼんやりしていたら、何を血迷ったのかハッと行き過ぎた気がして、逆にちょっと手前で降りてしまいました。ラムスィースに着いたら大量に降りるからすぐわかるに決まっているのに、本当にボケています。
 ラムスィースのそばのガーマ・イル・フェトフで、前から欲しかったカバーつきのポケット版クルアーンを購入。7ポンド(約140円)だったのですが、10ポンド出したら「お釣りがない」と言われ、小銭をかき集めたら6ポンド75ピアストルしかなくて、「これで勘弁して」と期せずして値切ってしまいました。本来値段より多めに出してもいいものなのに、申し訳ないことをしました(こういう「小銭がないなら、もう持ってる分だけでいいよ!」な場面にはよく出会います)。
 これを電車やバスの中で小声で読んでいる男の人によく出会うのですが、女性はあまり見かけません。何か問題があるのかと思って先生に確認したところ、声に出さなければ別に構わない、と言っていました。
 ちなみに、ガーマ・イル・フェトフのミウザナ(ミナレット)は、とんがった感じが宇宙船みたいでカッコイイです。ガーマ・ホセインのミウザナも好きです。
 エジプト人のノリが伝染ってきて、値段の話をやたらするようになりました。というか、何か買い物をしたら必ず「いくらで買った?」と聞いてくるし、こちらも相場感覚を磨きたいので、仲間内で値段を確認し合うのは実際に役に立ちます。

 ラムスィース着。
 今度のお休みに一人でアレキサンドリアに行こうと、切符を買いたかったのです。列車の時間も分からないまま、一番早い電車で出発して、一番遅い電車で帰ってこようと思ったのですが、最初窓口のおばちゃんにうまく伝えられず、おばちゃんが露骨にイヤな顔をするわ、後ろに人が並んでいるわで、一回撤退。
 もうちょっと話がわかりそうなおっちゃんの窓口に並ぶも、エジプト人は列に並ぶなどというまどろっこしいことをしないので、どんどん割り込まれます。負けずにこっちも突進して、変なフスハーで叫ぶと、アレキサンドリア行きの切符は出してくれたものの、帰りの切符の件が理解してもらえません。
 横にいた若者が、わたしの意を汲んで説明してくれて、購入成功。この若者のアーンミーヤは完璧理解できたのですが、同じことが自分の口からスムーズに出てきません。若者の横から「そう、そう、その通り!」とか合いの手を入れてバカみたいでした。
 この「叫んでいると誰か助けてくれる」というのは、非常に多くの場面で経験します。「窓口系」の人たちが不親切なのは万国共通ですが、エジプトは制度が日本の百倍無愛想な代わり、困っていると周りの人が必ず助けてくれます(ただし、その前にちゃんと叫んだりわめいたりすること)。この辺の人情パワーには頭が下がります。

 ちなみに、ムスリムがラマダーン中に家族を離れて旅行するのは難しいので、アレキサンドリアは割りと空いているはず、と期待しています。観光地なので、行動不能になるほどお店が閉まっていることもないでしょう。「悪い人だけが行動している」状態でないことだけ、祈っています。

 帰りはメトロ。
 部屋でしばらく勉強してから、授業前半開始。今日はテストで、最初の口頭試問以外、前半戦はほとんど紙に向かっているだけでした。

 そして待ちに待ったイフタール。
 昨日・一昨日のイフタールが悲惨だったので、今日は授業終了と共にすぐに食料を買いに行きました(もちろん先生もロケットのように帰っていきます)。
 今日のイフタールは屋台のジュース(1ポンド)と、鳥レバーのサンドイッチ(3ポンド)、タマル(干したナツメヤシの実、値段忘れた)です。

タマルとジュースとサンドイッチ

 ジュースは普通、その場でコップに入れてもらって飲むのですが、ラマダーン時だけこういう「お持ち帰り」袋が売られています。部屋で空ペットボトルに移し変えたのですが、考えてみるとペットボトルを持っていけばその場で入れてくれそうなので、今度試してみます。
 タマルは、ラマダーンの定番おやつですが、栄養もあって自然な甘さがすごく美味しいです。
 見た目が乾燥しきって硬そうで、最初はどうやって食べるのかと思ったのですが、洗ってそのまま齧れます。中の種だけ吐き出します。干し柿みたいな感じです。
 トルコのイチジクとかは、日本でも輸入食材として売られていることがありますが、ナツメヤシはあまり見かけません。健康くさい煽り文でもつけたら、結構売れるのではないかと思うのですが。
 通販では扱っているところがありました。

無添加・無漂白 種無し ナツメヤシ 1kg 無農薬(化学農薬不使用)栽培 無添加・無漂白・無農薬 種無し ナツメヤシ 1kg


 先生から電話がかかってきて、後半授業開始が10時半に変更。ちょっと暇になったので、少しウトウトしてから、先日知り合った日本人学生のKさんと電話。日本語を話すとハイになります。
 「食べないのは大丈夫だけど、水を飲めないのが辛い。みんなこっそり隠れて飲んでるんじゃないの?」と盛り上がる。絶対身体に悪そうなので、水だけは飲むようにするかもしれません。ちなみに彼は断食していないそうです。しようよ断食!

 少しネットにつなぐ。
 最近、グランドフロア(一階)でしかつながらないと思っていた無線LANが、吹き抜けの階段付近ならわたしの滞在している階でも接続できることに気づき、階段に座ってネットにつないでいることがあるのですが、仲良しになった宿の人が通りかかると「そんなところじゃなくこっちに来て座れ」という話に必ずなります。階段からちょっと離れるともう無線LANが使えないので、そう説明するのですが、いつも通用しません(笑)。

 タマルのお陰か、授業後半戦は好調。前半とは別人のように上機嫌で乗り切る。
 ちょっと深夜のお散歩をして一日終了。

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エジプトのおしゃれバイク posted by (C)ほじょこ

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ガーマ・イル・フェトフ posted by (C)ほじょこ
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  1. 好き好きタマル(ナツメヤシ)|2009/08/26(水) 06:08:39|
  2. エジプト留学日記

家族のいないラマダーンは東京のお正月に似ている、自己流アラビア語勉強法メモ

 ラマダーン下での授業開始。イフタール前とイフタール後に時間を二分割してもらいました。その方が集中力も続くし、良い感じです。
 エジプト人は夜明け前に軽く食べて、それから二度寝する人が多いようですが、こっちはそんな生活に慣れていないので、結局昨日はイフタールの一食しか食べず、お昼過ぎくらいに結構辛くなってきました。人と喋っていると気にならないのですが・・。

 ラマダーンにまとめて食べてかえって太る、というのは有名な話です。今のところラマダーン用のスペシャルお菓子などには手を出していないのですが、わたしも少し自分に甘くなって、コクテール(フルーツブロック入りジュース)を飲んだりしています。季節のフルーツ盛りだくさんで約40円。街のジュース屋さんならどこでもあります。

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夜のジュース屋さん posted by (C)ほじょこ

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コクテール posted by (C)ほじょこ

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ファーヌースのある通り posted by (C)ほじょこ

 ラマダーンは基本的に家族と過ごす季節なので、一人ぼっちのラマダーンは、東京のお正月みたいで結構寂しいです。
 イフタール時に出歩かない方が良い、と学んだので、今日はイフタール前に買ったパンと木の実を部屋で齧る、という、なんとも惨めな断食明けでした。

 転居先が決まらないままラマダーン入りしてしまい、ただでさえも非効率的な社会が更に停滞し、一体この先どうなることやら、まるで見通しが立ちません。帰国時期も決まらないままです。
 良いフラットを見つけられたら、仕事を探して働きながら滞在することになるかもしれません。そういうのも、ちょっと人に相談すると「任せろ!」「簡単だ!」みたいに話だけは盛り上がるのですが、いつも具体的なところに辿り着く前に、うやむやになります(笑)。
 毎日「もっといたい」「もう帰りたい」がグルグル回っています。

 ネタがないので、自分の勉強法のこととかちょっとメモってみます。
 わたしのアラビア語学習は、最初独学から始まって、エジプト人の先生に師事するようになり、今はエジプトくんだりまでやってきて、今に至るまで一度も日本人にアラビア語を教わったことがありません。というか、アラビア語のできる日本人に会ったことも、ほとんどありません。
 先生はまったく日本語ができないし、英語もあんまり上手ではないし授業中は使わない方針なので、専らアラビア語でアラビア語を勉強する形になっています。アーンミーヤの勉強の時だけ、フスハーに言い換えてもらうことはよくあります。
 まったくの入門段階では、母国語で説明してもらうのが一番だと思うのですが(日本語で出版されている入門教科書を一通り理解するまでのレベル)、そこから先はこのやり方でも何とかなるし、わたしはこれで良いと思っています。
 どんな言語でもそうですが、単語の意味一つとっても、「その言語内での相対的な位置づけ」を感じられなければ、訳語と一対一で覚えても使えません。アラビア語の場合、日本語の辞書環境が厳しいだけに、良くも悪くも結局アラブ人に直接聞くことになります。
 説明の難しい概念などは、辞書をひいて調べた方がいいですが、授業中は辞書を使う余裕がないので、どうしてもわからないところは先生に尋ねて例文やら同義語を教えてもらい、類推しています。
 わたしの教科書やノートには、そこから推測した変な日本語メモが溢れています。例えばإقطاعية(封建制度)という単語のところには、鉛筆で「金持ちだけが土地を持つ。働かされる」とか、小学生みたいな説明がついています(笑)。
 さすがに「金持ちだけが金を持つ」だけではおぼつかないので、授業後に一通り辞書を引いて「封建制のことだと思ったけど、アタリだった」とか確認しています。時々大勘違いしていることもあるので、確認は大事です。

 多分もっと合理的なやり方もあるし、外語大などでアラビア語専攻されていたりすれば沢山情報があるかと思うのですが、一人で始めて一人で勉強して一人でエジプトまで来てしまったので、他の言語で経験した自己流のやり方で通してしまっています。
 あとは、生活の中で学ぶことですが、フスハーもまったく知らないまま突然アラブ世界にやって来ると、フスハーとアーンミーヤの区別もよくわからないまま方言の海に放り出されてしまいますし、ただでさえも超複雑な文法・発音のアラビア語ですから、日本人が自然に身につけるというのは現実的ではないと思います。しかも、大抵のアラブ諸国では英語かフランス語がかなり通用する、というかフスハーより通じますから(笑)、「アラビア語なまりの英語」ばかり上達してしまう可能性もあります。
 アーンミーヤについては、フスハーができれば日常で習得できるのでは、とものすごい甘い幻想を抱いていたのですが、やっぱり先生に教わりつつ日常で使う、というサイクルでないと、わたしには厳しいです。普通のエジプト人は「外国人にとってのアラビア語」という視点を持っていませんし、質問しても学習者に有用な答えはまず期待できません。

 なお、直近でエジプト滞在を考えている方は、メール頂ければ、多少は学校や宿についてわかる情報を提供できるかもしれません(リアルタイムで具体的なことをブログに書くのは気が進まないので)。役に立つかどうかはわかりませんが・・。
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  1. 家族のいないラマダーンは東京のお正月に似ている、自己流アラビア語勉強法メモ|2009/08/24(月) 18:04:37|
  2. エジプト留学日記

イフタールには出歩くな

 ラマダーン・カリーム!
 というわけで、ラマダーン入りしました。
 何が起こるのかなーと思っていたら、特に何も起こりません。ただ、朝は心なしかいつもより街が静かに感じました。
 前にタバコをあげた掃除のおばちゃん(厚かましいのでちょっと苦手)に会ったので、「一本いる?」と差し出したら、「いや、サウム(断食)しているから」と断ります。ところが、一本の代わりに「箱ごとくれ」と言い出します。「箱ごとはダメだ。一本ならあげる」と言うと、また「断食してるから」と断ります。
 一本でも取っておいて後で吸えると思うのですが、どういうことなのでしょう。というか、箱ごとくれって一体・・・。

 久しぶりにダーリンとSkypeがつながる。というか、まだ三回目のような気がする。ダーリンの髪の毛が伸びてもっさりしていて面白かった。機嫌が良さそうで、とても幸せな気持ちになった。って、わたしがいないから機嫌いいのかしら・・。
 ダーリンとのSkypeを切ったところで、父親のアカウントがログインしているのに気づく。試しにかけてみたら、音声だけつながる。初親子Skypeに成功。母とはこの間メールでちょっと喧嘩っぽくなっちゃったのですが、お話したら仲良くできました。

 丁度お休みの日だったので、出かけようか、喉が渇いたらしんどいしやめておこうか(一応わたしも断食しています)、迷ったのですが、気まぐれでまたメトロ小旅行に。
 でも途中で暑さで気持ち悪くなってきて、結局すぐに戻ってきてしまいました。

 何度も書いていますが、日陰でじっとしていればかなり涼しいし、夜は東京よりすごしやすいのですが、直射日光の「痛さ」が半端ないです。
 日本で雨が降っている時に「走って突っ切るのとゆっくり行くのとどっちが濡れないだろう」と考えることがありますが、日中に歩いていて日陰のない距離が長いところは、日陰で体力を貯めて「えいっ」と突っ切っています。
 逆に言うと、どんなに暑くても日陰でダラダラしていればどうということはないし、待っていればそのうち涼しくなります。この「何もしないのが最大の解決策」というムードが、この国のあらゆる面に浸透している気がします・・。

 飲食店は閉まっているところが多いし、屋台もほとんど出ていません。でも、まったくゼロなのかというと、そうでもなく、多少は営業しているところもあります。
 ジュース屋さんなどは、コップで出す代わりにビニール袋やペットボトルに飲み物を入れて売っています。

 宿に戻って喉の渇きに耐えながら勉強し、日没を待ちます。そして遂に、「解禁」の時が!(昨日サマータイムが終わって、大体夕方6時半くらいがマグリブ)
 街がどんな様子になっているのか知りたくて、エサあさりを兼ねて外出します。
 さっきまで騒がしかった街が、お正月の東京のようにガラーンとしています。歩いている人もほとんどいません。普段の喧騒が東京の三十倍くらいなので、静けさが実に不気味です。
 近くの広場方面に歩いていると、三人の若いエジプト人が絡んできます。よくあることなのですが、妙にしつこくてワルそうな人たちだったので、少し怖かったです。
 そのまま歩いていると、今度は車の中から話しかけてくる男がいます。三人を振り切るのに丁度良いかな、と思い近づいてみると、「お願いがあるんだけど」とか言っています。
 ぶっちゃけ「お金払うから性的サービスしてくれ」な人でした。特別な日だと思ってウキウキでかけたら、ワルガキに絡まれるわ、変態につかまるわ、最悪の展開です。
 お腹も減っていて不機嫌レベルも最高に達し、どなり散らしただけで車を凹まさなかっただけ、大人になったと自分を褒めてあげたいです。
 他にも、この変態野郎ほど露骨ではないものの、明らかにソレ目的で寄って来る男が何人かいて、ムカムカするので、結局欲しくもないケンタッキーだけ買って宿に帰りました。わたしの初イフタールは水とケンタッキーでした・・・。

 イフタール後にボスのS先生と約束があり、久しぶりに一緒にブラブラ歩いて、前に一度だけ入ったお高い西洋風のカフェに入る。アイスエスプレッソを飲む。
 エジプトはコーヒーの本場ですが、こういう洋風の「アイスコーヒー」は、逆にあまり見かけません。特に、甘くないものを見つけるのは大変です。
 その時、イフタール時に出会った散々な事件について愚痴ってしまったところ、重要な教えを授かりました。
 「イフタールの時は、ほとんどのムスリムは家で家族と一緒にいるか、そうでなければ仕事をしている。通りを歩いている人は、家路を急いでいるはずだ。それ以外でブラブラしている人がいるとすれば、それは必ず悪い人間だ」「普段だったら、悪いことをしようとしても、周りに人がいて必ず止めるだろう。悪い人もそれがわかっているから、そうそう悪さをできないはずだ。イフタールの時にわざわざ通りに出てくるような人間は、人目のないことを利用しようとしている悪人に決まっている」。
 なるほど、と納得しました。
 イフタール後の街はお祭りムードで、素晴らしい世界に一変するのですが、イフタール時だけは外に出るべるべきではないようです。先生からも「イフタールが終わるまでは部屋でじっとしていろ」と言われました。
 今日の教えは「イフタールには出歩くな」です。

 ちなみに、日没直前もみんなお腹が減ったり喉が渇いたりしてイライラしていて、ただでさえしょっちゅうキレてるエジプト人のブチキレ閾値が更に低くなっているので、怒らせないように要注意です・・・。


追記:
 「人がいれば、悪さをしようとしても必ず周りが止める」というのは、本当です。日本なら絶対「見てみぬふり」になる状況でも、エジプト人は必ず介入します。何の権限もなければ当事者とまったく無関係な人が、場を取り仕切って「お前が悪い、ここは謝っとけ」みたいにまとめている風景がよくあります。
 人懐こすぎて鬱陶しいこともあるエジプト人ですが、こういう「非システム的な秩序維持」については、ものすごいパワーを発揮します。
 システム的なものについては、もうちょっと整備したほうが良いと思いますが・・・。

DSCN4727
肉と猫 posted by (C)ほじょこ

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