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フスハーの教材・勉強法 Al-kitab Al-asasiなど

 フスハーの学習でわたしが使った主な教材は、Al-kitab Al-asasi 2の後半とAl-kitab Al-asasi 3、أدوات الربط The Connectors in Modern Standard Arabic、他は新聞や独自プリント、勝手に読んでいた本、等です。

 Al-kitab Al-asasiはアメ大出版から出ている定番の教科書で、評価も高く、わたしは一巻から使っていて大変思い入れがあります。ただし、すべてがアラビア語で英語による説明は一切ないので、まったくの入門者にはとっつき難いです。本当にゼロから始める方は、まず日本の一般入門書で入門文法をマスターしてからの方が楽です。
 Al-kitab Al-asasiは、

Al-Kitab Al-Asasi 1
 入門文法と身の回りの基本的な表現。

Al-kitab Al-asasi 2
 初級から中級の文法と現代アラビア語読解。

Al-kitab Al-asasi 3
 中級以上の文法と古典アラビア語読解。

 という構成になっていて、特に二巻は現代アラビア語テクストに慣れるのに格好の教科書だと思います。最後の方のいくつかのテクスト以外、特別難しいところはありません。
 ただ、三巻になるとガラッと雰囲気が変わります。
 三巻は、各章ごとに一つの古典テクストの抜粋が扱われるのですが、最初に筆者について、次に著作について、三番目に扱うテクストについての説明があり、最後に古典テクストそのものが来る、という構成になっています。テクストの後には、練習問題と文法解説、そして毎回最後に詩が一つ取り上げられています。
 このうち、「当該テクストについてのテクスト」の部分は、難しくありません。極普通の現代アラビア語文章で、Al-kitab Al-asasiを二巻まで終わらせた方なら、難なく読みこなせるでしょう。
 ところが、その後に来るのは本物の古典アラビア語文章ですから、非常に難しいです。抜粋ですからほんの数ページなのですが、文章を読んでいるのやら辞書を読んでいるのやらわからないくらい苦しみました。
 また、最後に載っている詩も、一部を除いて非常に難解で、はっきり言ってわたしは途中から飛ばしてしまいました。
 文法も中級以上のハイレベルなものが扱われています。
 はっきり言って、古典アラビア語に興味のない方なら、Al-kitab Al-asasiは二巻までにして、その後は他の教材や一般の現代アラビア語テクストを読みこなしていった方が合理的でしょう。
 ただ、色々な学者や文学者の文章を拾い読みし、幅広い知見をつけるには持ってこいなので、わたしはなんとか齧りついていました。
 時々クルアーンのアーヤが例文に取り上げられていたり、預言者様صの演説等、イスラーム関係の話題が結構入っているのが、個人的には嬉しかったです。
 ちなみにal-Kitab al-asasi Lexiconという別冊が出ていますが、ただの単語集なので全然要らないと思います。英語・フランス語・ドイツ語の訳が載っています。

 أدوات الربط The Connectors in Modern Standard Arabicは、その名の通り「接続詞」に注目した教科書で、各章ごとに何種類かの接続詞がテーマとされ、その例文と練習問題から構成されています。英語の解説があります。
 大学受験英語の参考書のようで、親しみ易い構成で、初級卒業レベルの方が取り組むのに丁度良いでしょう。分量も少なく、価格も高くありません。

 ちなみに辞書は、定番のHans WehrとPdicに入れた辞書(ラップトップの中なので持ち歩かなかった)を使っていましたが、某図書館で見つけて使った現代アラビア語小辞典が思いのほか良い辞書でした。語彙数ではHans Wehrに遠く及ばず、解説があるわけでもありませんが、日本語ですし、書き込みが少ない分、パッと見たときにジズルのイメージが漢字イメージに繋がる感触があり、日本人にとってはとても良い辞書だな、と今頃認識しました。

 テクスト自体はエジプトにいれば新聞が1ポンドで変えますし、本も一般書籍は安いですから、素材には事欠きません。
 問題はフスハーを「聞く、話す」ことですが、これは学校内と衛星放送以外はほぼまったく機会がありません。わたしは途中から、フスハーの授業すら読み上げ以外全部アーンミーヤだったので、フスハーを伸ばす、という意味ではちょっと問題だったかもしれません(エジプト人もそうやってフスハーを勉強しているのですが・・)。
 でも、フスハーの音声というのは、発音の非常に綺麗なプロが語っているか、一般人の場合は大体ゆっくり話すので、聞き取りは難しくありません(詩の朗読やクルアーン等は、読んでも難しいので当然聞いてもわからないw)。
 正直、今ではフスハーは読み書きができて、イスラーム関係のものが人並みに朗読できればいいや、くらいに思っています。フスハーは大好きですが、日常生活に使うにはちょっと重いです。
 エジプト人が気を使ってフスハーで喋っていると、何だかロボが喋っているみたいで、こっちも気持ちが落ち着きません。「無理しないでアーンミーヤで喋って」と言いたくなります。
 それでも、フスハーほどしゃぶってもしゃぶっても味の出てくる言語はそうないと思うので、死ぬまで地道に勉強続けます。綺麗なフスハーを読んだり聞いたりした時ほど、心が透き通る時はありません。

 ちなみに、Al-kitab Al-asasiなどの「アラビア語によるアラビア語教科書」の前に使う本として、現時点から振り返ってお勧めできるのは、

アラビア語の入門 本田孝一
ステップアップ アラビア語の入門 本田孝一
基礎アラビヤ語 内記良一
現代アラビア語入門 黒柳恒男,飯森嘉助

 です。
 本田孝一先生の二冊は、非常に易しく平易な入門書で、最初の一歩に最適です。わたし自身は、「アラビア語の入門」はこの段階を越えてからであったので使っていないのですが、記念に購入して手元に置いているくらいです。
 ただし、あくまで入門向けの簡単な本なので、入門文法でも網羅されているとは言いがたいです。
 そこであと二冊の「いずれか」を使って、網羅的に基礎文法を勉強する、というバランスの取り方が、丁度良いように思います。わたし自身は「基礎アラビヤ語」を使い、非常に思い入れがあるのですが、大学等では「現代アラビア語入門」がよく使われているらしいので、こちらの方が良いかもしれません。どちらも、はっきり言ってとっつき難い本です。何も知らない人がいきなりこの本だけ渡されても、八割方挫折する気がします(笑)。

 この他にも日本で手に入る教科書は片っ端から読破しましたが、最初は独習であまり効率の良いやり方だったとも言えないので割愛します。アラブ人の先生とAl-kitab Al-asasiを使い始めてからの方が、文法では一度初級に戻りましたが、ずっと伸びが早かったです。
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  1. フスハーの教材・勉強法 Al-kitab Al-asasiなど|2010/01/14(木) 06:15:43|
  2. 留学まとめ

ジェット・リーの好きなエジプト人と踊る

 「シーニー」には一日百回は会うのですっかり適応して完全無視なのですが、この間道を歩いていたら、走ってきた車が凄い勢いでブレーキかけて、ザザザーッ!と砂煙を上げながらスリップして停車すると同時に、テンパったオッサンが「シーニー!シーニー!シーニー!」と叫んだのにはちょっとウケました。
 轢かれないで良かったですが、この車が対向車線にでも突っ込んで死んでくれなかったのは残念です。
 「中国人に『中国人』と言おうとして爆死、しかも中国人じゃなかった」という素敵なエピソードで人生のフィナーレを飾って欲しかったです。


 毎日決まって通る道で、決まって色々わめいていて、決まって完全無視している、という人が何人かいます。
 最近アバーヤでいることが多いのですが、普通の洋服でいつも通る道を歩いていたら、この手の男の一人が「Where is the egptian style?」と言っていて、不覚にも吹きそうになりました。微妙にションボリとした声でした。
 次の日、またアバーヤで同じ場所を歩いたら、「Egyptian sytle!」と、今度は元気一杯でした。
 意外とイイヤツかもしれません。


 最近、メトロの改札のところで、豚インフルエンザの予防を呼びかける放送が流れています。
 この放送が、完璧にフスハーです。
 イウラーブもはっきり発音していて、جもj音で、全然エジプトらしくありません。エジプトのテレビのニュースより、明らかに古典的なフスハーです。
إن الوقاية خير من العلاج
 という時代がかったフレーズが耳に残っています。「まこと、予防は治療に勝る也」くらいの感じでしょうか。
 こういうのはエジプト人にどういう風に響くのか、F女史に尋ねてみたところ「ああいう放送は必ずフスハー」。もしアーンミーヤで流れていたらどんな気持ちがするか聞いてみたら、「すごく変」とのこと。

 フスハーとアーンミーヤ問題では、ここ十数年のスパンでもアーンミーヤの勢力が増しているようです。
 アーンミーヤで書かれる小説や詩も増えており、若い彼女が「少し前はすごく変なことだったのに」と言っているので、本当に短い期間での変化のようです。
 عاوزة أتجوزというアーンミーヤで書かれた小説が人気、と聞きました。「結婚したい」というタイトルですが、タイトル通り、結婚を巡るドタバタを描いたコメディーのようで、聞いた話では日本の情景ともあまり変わらないネタが扱われているようです。
 もうちょっとアーンミーヤが上達したら、挑戦してみたいですが、いかにもスラングの嵐で難関そうです。

 ただ、このネタについて色々な人に話を聞けば聞くほど、アーンミーヤとフスハーの「差」は、エジプト人にとっては大した壁ではないようです。
 外国人から見ると大変な壁なのですが、当人達にとってこれほど軽いものなら、アラビア語好きの外人がよく話題にする「エジプト語」問題やら記法統一なんてことが、あまり真剣に取り扱われないのも当然かもしれません。


 先日「アバーヤはイスラームではなくアラブに由来するものなので、ヒジャーブなしのアバーヤも稀にいる(多分キリスト教徒)」ということを書きましたが、ヒジャーブなしのアバーヤのおばちゃんを発見したので、こっそり後ろ姿を激写させて頂きました。

ヒジャーブなしアバーヤのおばちゃん
ヒジャーブなしアバーヤのおばちゃん posted by (C)ほじょこ

 ヒジャーブがどうとかいう以前に、肩パットがすごいです。
 肩からミサイルとか撃てそうです。


 アバーヤを買った店で、裾などを少し直してもらう。
 この店の女の子と仲良くなり、待っている間に一緒に踊ったりする。彼氏の愚痴など、ものすごい普通の話題を聞く。
 よくいるコロコロと丸っこいエジプト女子なのですが、明るくて人懐こく、「アクション映画が大好き!」とか語ります。ジェット・リーが好きみたいです。ちょっと蹴りを見せてあげたら、ウケてくれました。
 「中国人はゴキブリ食べるって本当!?」と聞くので「中国人じゃないから分からないけど、それはないんじゃないかなぁ。でも犬は食べるみたいだよ」と言ったら、びっくりしていました。わたしもびっくりするわな。
 カイロの服屋さんは、時々うなぎの寝床みたいな妙に奥まった店があるので、「変な作りだなぁ」と思っていたのですが、奥の空間で女性が遠慮なく試着を楽しむためのものでした。ヒジャーブもなしで楽しくやっています。
 この時、お母さんと買い物に来ている女の子がいたのですが、この子が「武装解除」すると、ものすごいスタイルの良い美人さんで「こりゃ布くらい被せておかないと男が寄ってきて仕方ないだろうなー」と見とれてしまいました。
 逆に言うと、ブサイクだったらヒジャーブなんて要らないじゃないですか(笑)。
 日本人なんて、全員ヒジャーブ要らないですよ。放っておいてくれ!
 ちなみに、超絶美人さんのお母さんの方は、普通の象型エジプト人でした。歳月って恐ろしいですね・・・わたしも頑張らないと・・・。

タハリール広場を俯瞰
タハリール広場を俯瞰 posted by (C)ほじょこ
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  1. ジェット・リーの好きなエジプト人と踊る|2009/11/11(水) 06:15:46|
  2. エジプト留学日記

「エジプト語」と人民のフスハー

 「アーンミーヤ(エジプト方言)に正書法を与えて『国語化』しようとする人々はいないのか。いるとしたら、どのような人々なのか」「誰にとってアーンミーヤが都合よく、誰にとってフスハーが好都合なのか」。
 この非常にエキサイティングな問題について、ある程度の知識も答えも持ってはいたのですが、F女史と正面切って話す機会に恵まれました。
 多分に政治的・宗教的な話題なので、ある程度関係ができないと、おいそれと話題にできません。もちろん、無教養な人に聞いても議論になりません。エジプト女性のすべてが話しやすいとは全く思わないのですが、F女史は若い世代のエジプト女子で、かつ知性と教養に恵まれ、敬虔なムスリムであると同時にフェミについての知識も持ち合わせるという、性格やものの考え方的に非常にノリのあう貴重な話し相手。この話題には最適でした。

 アーンミーヤに正書法を与え、国語化することで得するのは誰なのか。もちろん、宗教寄りではない知識人で、政府寄りの人間です。
 これに一番反対するのは、これまた当然、宗教色の非常に強い人々。

 ここまでは言うまでもないことですが、重要なのは、大衆のほとんどが「フスハーはますます弱くなっていくだろう」と漠然と感じていて、尚且つ「フスハー=信仰の言葉」というイメージを抱いていること。
 もちろん、フスハーはイスラーム専用の言語ではありません。アラブ民族主義華やかなりし頃に、「アラビア語を話す者としてのアラブ人」というアイデンティティ形成に大きな役割を果たしたのは、キリスト教徒たちでした。
 ですが、アラブ民族主義のすっかり忘れ去られた現代にあっては、大衆の不満をすくい上げるのはイスラーム復興・イスラーム主義の思想であり、ろくにフスハーを喋れない人々ですら「フスハー=信仰の言葉」という固定的なイメージを抱いています。

 政府や政府よりの知識人は、もちろん「フスハー=信仰の言葉」などではないことはわかっていますが、同時に大衆にそういう固定観念があることも知っています。ですから、フスハーがあまり力を持ってしまうことは、嬉しくないわけです。

 ここで非常に面白いのは、一見すると、富裕な知識人の方がフスハーの肩を持ちそうなのに、実際は、いかにもフスハー教育の行き届いていなさそうな大衆や貧困層の方が、フスハーを大切にしている、という捩れ現象です。
 新聞や雑誌でもっとアーンミーヤ記法が使われれば、教育のない人々でも情報アクセスが容易になるように見えますが、大衆の支持を集めているのはムスリム同胞団などの宗教寄りの勢力であり、この人々にとってはフスハーこそが「第一の言語」なのです。
 フスハーというと、「公式の言葉」「知識人しかキチンと喋れない」というイメージがありますが(実際、正確に流暢に話せる人は教養人だけ)、その存在意義と価値については、むしろ教養なき大衆にこそ支持されているのです。
 「フスハーの喋れない人までが、フスハーを愛する」空気には、こうした政治的背景もあるわけです。

 教養の求められる言語が、教養のない人々に求められ、反政府的思想が伝統への回帰を主張する、というのは、捩れに見えますが、もっとよく考えると捩れでもないことがわかります。
 権力にとって都合の良い大衆とは何でしょうか。
 「眠っている」大衆です。
 権力は常に、大衆には何も考えていて欲しくないのです。エジプトに限った話ではありません。日本の方が、より深刻に支配が浸透していて、大衆は娯楽と現世的な夢に溺れ、文盲と白痴ばかりが溢れているではありませんか。その辺のおっちゃんでも一家言持ち、一語学教師の女性が政治と信仰を語れるエジプトの方が、遥かに政治意識・知的水準が高いです。
 エジプトの大衆は、日本人ほどぐっすり眠ってはいません。

 一応いくつかフォローしておくと、フスハー/アーンミーヤという弁別は、日本で考えられているほど絶対的なものではありません(こんなことに興味を持っている日本人が既にかなり少数派ですが・・)。
 最初に耳で聞いた時は「これが同じアラビア語か!?」と驚いたほど違うエジプト方言ですが、勉強すればするほど「一つの言語の別の局面」というアラブ人のとらえ方が、自然に見えてきます。
 「どこから先がフスハーで、どこからアーンミーヤか」というのも、人によって言うことが違います。また、会話の中で両方の構文や表現が入り混じることもあります。テレビの討論番組などに登場する知識人は、基本の文法はフスハーで喋っていますが、単語レベルの発音はエジプト方言です。

 また、「アーンミーヤ記法が用いられれば、情報アクセスが容易になるのではないか」というのも、一面的です。
 まず第一に、本当に教育のない人は、そもそも字が読めません。字が読めなかったら、記法もへったくれもありませんから、アーンミーヤの正書法なんか出来ても、何の足しにもなりません。
 第二に、文字にしてしまうと、アーンミーヤとフスハーの距離というのは、驚くほど小さいものです。
 アラビア語がある程度分かる人なら、新聞などを流し読みしている時、正確な発音、特にイウラーブがわかっていなくても、大体の意味が取れる、ということをご存知だと思います。日本語で、漢字の読みを正確に知らなくても何となく意味がわかるのに似ています。
 これはエジプト人にとっても同じで、新聞だから誰でも読んでいるわけですが、ではこの読者達に正確なイウラーブで発音してみろ、と言ったら、かなりの確率で間違えるはずです。
 つまり、新聞を読む程度のレベルであれば、それほど高いレベルでのフスハー理解がなくても、何とか読めてしまうのです。
 第三に、「正書法がない」と言っても、「大抵はこう書く」というパターンはそれなりに共有されています。新聞の一部でアーンミーヤが記述されていたら、外国人でも大体のところは読むことができます。
 要するに、「読み」という面についてだけ言えば、アーンミーヤの正書法が確立されることによるメリットというのは、外人の考えるほど大きくないわけです。

 「捩れ」と言えば、もう一つ面白い現象があります。
 衛星テレビの子供向け番組でフスハーが使われている影響で、若い世代の方がむしろフスハーが上手なのです。
 実際、四十少し前くらいのうちの大家さんのフスハーは酷いものですが、その十二歳の娘のフスハーは大変美しいです。
 フスハーが「古い」言語で、アーンミーヤが「新しい」言語、というとらえ方は、一面的に過ぎます。
 もちろん、発生論的にはフスハーが古いわけですが、そのフスハーもクルアーンの時代から変わっていないわけでは全然なく、現代フスハーがまとめられたのは、せいぜいこの二百年くらいのスパンの話でしょう。
 イスラーム復興となれば、これだけ盛り上がったのは三十年くらいの話で、「若い世代ほど信仰熱心」という、日本における伝統や宗教に対するイメージとは反対の状況があります。

 話の流れで、F女史の個人的な話題にもなりました。
 「この仕事を始めてから、フスハーも英語もずっと上達した。普段の生活の中で、フスハーを使うのは学校の中しかない。わたしの父は大切なことを話す時にはフスハーを使うけれど、やっぱりそれは特別な時で、普段はアーンミーヤしか使わないし、アーンミーヤで話したい。でも、教えていく中で、前よりずっとフスハーが理解でき、好きになった。一人のムスリマとしても、フスハーを理解することは必要なことだ。給料は安いけれど(笑)、この仕事を通じてアラビア語がずっと好きになれた」。
 日本人日本語教師の方も、似たような経験をされているのではないでしょうか。

 フスハーが知識人のもので、大衆の言語はアーンミーヤ、というのは、一面的なものの見方にすぎません。
 確かに大衆はアーンミーヤで生活している、というか、知識人だって普段はアーンミーヤで暮らしているわけですが、フスハーは別段「気取った言語」ではなく、それ以上の政治的意味を帯びています。
 言語は常に政治的なものです。一見「高級」で超絶難解なフスハーが、大衆的イスラーム復興とリンケージしている、というのは、非常にエキサイティングです。
 「古く深い知」へのアクセス経路が身近に残されていて、しかも教養なき大衆すらもが、その意義を多少なりとも理解している、という現況は、痴呆化の進む一方の日本の状況より、遥かに恵まれていると言えます。日本の大衆と言えば、麻薬のような娯楽と現世的些事に釣られて、権力の元で眠りを貪るばかりです。

ガーマ
ガーマ posted by (C)ほじょこ
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  1. 「エジプト語」と人民のフスハー|2009/11/03(火) 08:25:20|
  2. エジプト留学雑記

アーンミーヤから学び始めるべきか

 従来、アラビア語を勉強したい日本人は、まずフスハーを学び、それから必要に応じて各地の方言(アーンミーヤ)を勉強する、というのが普通だったと思います。アーンミーヤを学ぼうにも、日本ではチャンネルが非常に限られています。わたしも日本ではフスハー以外まったく勉強していませんでした。
 風の噂に日本でエジプト方言のラジオ講座(テレビ?)が始まったと聞いたので、これからは「アーンミーヤから入る」という人も現れるかもしれません。
 実際のアラブ人は、地域を問わず、必ず最初に方言を習得して、その後学校等でフスハーを身に着けるわけですから、方言から入るのは「正しい」側面もあります。また、旅行等でちょっとエジプトに来るため定型的なフレーズを覚えたい、というなら、間違いなくアーンミーヤだけで十分です。

 これに対し「アーンミーヤなんてその土地でしか使えない」みたいな反論をする人がいるかもしれませんが、わたしはこれはナンセンスだと思います。
 中国語ができたら十億人と話せるのでしょうか。一万歩譲ってそうだとしても、十億人も話せる必要はありません。大事なことは、自分の話したい相手と話せる、読みたい本を読める、ということで、話す相手も読みたいものもないのに、ただ漠然と「話者人口が多い」言語を学ぶなんて、時間の無駄以外のなにものでもありません。話したい人が一人でもいるなら、その言語が学ぶべき言語でしょう。

 では「アーンミーヤから始める」の肩を持つのかというと、個人的には、やっぱりフスハーに一票入れたいです。
 自分自身がフスハーから始めた、というのもありますが、いかに外国人から見て「二つの言語」に見えたとしても、アラビア語は一つです。いや、確かに耳で聞くと到底一つには聞こえないのですが、彼らがよく言う「一つの言語の違う局面を使っている」という感覚は、最近になって段々ストンと落ちるようになってきました。
 フスハーの文法は複雑怪奇極まりなく、日本人が学ぶには、主な言語の中では最も難しい部類に入るでしょう。でも、ある程度理解できてくると、その精密機械のような芸術的精妙さに、誰もが感嘆するはずです。個人的には、好き好き大好きでチュッチュしたいです。
 エジプト方言は、古いアラビア語と各種言語の雑種が、日常会話のスピード要件にあわせて高速・簡略化していったような言語で、両方勉強すれば「ここがこうなってこうなった」という流れが実感できます。この「言語の歴史を感じる」体験が素晴らしく楽しいので、やっぱりフスハーは大事にして欲しいなぁ、というのが個人的な想いです。
 フスハーの文法がわかれば、エジプト方言の文法は遥かに簡単です。文法に限って言えば「今までやってきたのは何だったんや」というくらい、簡略化されています。難しいものを気合で学んで、あとで最後のイチゴを食べる方が、喜びも大きいでしょう。F先生に意見を伺った時も「外国人はフスハーから学び始める方が良い」と仰っていました。
 もちろん、発音については難易度は変わらず、聞き取りや会話は、一度死んで生まれ変わる気迫が要ります。でも、当たり前ですが両者には非常に共通要素が多いですから、発音のシフトの原則に馴染んでくれば、何となく「あれのことか」という反射が利くようになります。

 大体、アーンミーヤだけ喋れてフスハーができない、というのは、エジプト人で言えば「文盲」です。ムスリムなら、読み書きができなくてもクルアーンのスーラのいくつかくらいは覚えていますから、「文盲」以下と言って良いでしょう。頑張って外国語を学んで、「文盲以下」にやっと追いつくのではショボすぎます。看板一つ正確に読めないのでは、生活していても不便でしょう(アーンミーヤが喋れない方がより不便ですが・・・)。
 やっぱり、両者は「併せて一つ」なのだと思います。

 でも本当は、こんな偉そうなことが言えるほど上達もしていないので、話半分で流してやってください・・・。

DSCN4826
アレキサンドリアの通り2 posted by (C)ほじょこ
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  1. アーンミーヤから学び始めるべきか|2009/10/08(木) 01:21:30|
  2. エジプト留学雑記

エジプトのフスハー教育事情、根深いニーハオ、知ったかぶり問題

 朝にF先生の授業。
 珍しく早起きして「ラッシュが酷いだろうなぁ」と思っていたら、メトロがガラすきです。考えてみたら、シッタ・オクトーブルの祝日(10月6日 第四次中東戦争の勃発を記念する戦勝記念日)でした。
 F先生とは初めてのアーンミーヤの授業で、滑り出しは「一体何をネタに勉強しようか」とぎこちなかったのですが、一旦喋り出すと、まだ知り合って間もなくネタの蓄積があるせいか、自分でも気持ち良いくらい喋り捲れました。彼女もゆっくり優しい語彙で喋ってくるので、ほぼ100%聞き取れます。「アーンミーヤは二ヶ月半しかやっていない」と言ったら、驚かれました。ただ、「ネタの蓄積」というのは本当の大きくて、ちょっと違う話題になるとついていけないのが容易に想像できますが・・(留学経験のある人は「気がつくといつも同じことばかり話している」覚えがあるはず)。
 彼女は若いせいか、アーンミーヤについても割と整合的に考えようとするところがあり、非常に話し易いです。「جはフスハーでは常にジーム、エジプト方言では常にギーム」と、よくいる「どっちでもええのんちゃう」とか「ギームの方が古い発音で正しいのだ!」というエジプト人とは違います。エジプト人の「ギームへのこだわり」には大いに敬意を払いますし、わたしも影響されてフスハーでもギーム読みすることが多いのですが、ハッキリ分けてくれた方が外国人には助かります(「ギーム読み」は外人にもすぐわかるエジプト訛りとして知られていますが、人によっては「訛りじゃない」というくらい根深いもので、実際、エジプト方言というのは、ちょっとジームの発音が違うような生易しいものではありません。ギーム読みなんてほぼフスハーです)。
 また、表記についても、「アーンミーヤはみんなバラバラで当たり前」という投げやりさがなく、「アーンミーヤにはアーンミーヤなりに最もオーソドックスな表記があり、極力それに合わせるべきだ」というスタンスのようです。というか、これが普通の「国語」です(笑)。
 短い時間で、今のわたしに欠けているもの(表現の蓄積など)を把握してもらえて、有意義な授業でした。「フスハーの表現が時々混ざる」とのことで、その辺をアーンミーヤらしい表現と自由に行き来できるよう鍛えたいです。

 アーンミーヤを文字に起こした教材を読もうとすると、いつも非常にぎこちないです。つい「フスハー読み」してしまいます。何もなしで喋っている時は、下手くそなりに喋れているのに、「アーンミーヤを読む」のは難しいです。基本的に「お喋り用の言葉」なので、それはそれで結構なのかもしれませんが、時々アーンミーヤで書かれた文章などもあるので、この表記にも慣れるようにしていきたいです。

 フスハーとアーンミーヤでコードシフトする時に「違う自分が出てくる」ような感覚について話題にしたのですが、彼女自身(おそらく多くのアラブ人)にそういう感覚があり、学生からもツッコまれる、とのことです。傍から見ていると「微妙に人格が変わる」ように見えるし、最近ようやくわたしもその感覚が芽生え始めたのですが、ネイティヴでも一緒のようです。
 外国語を喋る時には、誰でも人格がシフトするような感覚を抱くものですが(言語習得の非常に重要なポイント)、一つの言語の中でそういうシフトがあるのは、非常に面白いです。
 よくお茶しているDさんとは、フスハー、アーンミーヤ、英語で会話したことがあるし、彼がドイツ語で喋っている現場にも度々居合わせていますが(ドイツ語は一言もわからない)、傍目にもシフトが明瞭です。彼個人について言えば、フスハーで喋っている時が一番礼儀正しく距離ができるので、付き合い易いです(男性全般に言える気がする)。特にフスハーで信仰について語っている時は、彼に限らず多くのエジプト人が、本当に輝いています。F先生とはアーンミーヤの方が楽チンです。

 F先生と各地のアーンミーヤについての話をしたのですが、シリア方言はカイロ方言よりフスハーに近いそうです。逆にマグリブ方言はもっとかけ離れていて、彼女も「全然わからない」と言っていました。
 「どの方言が一番フスハーに近いのか」議論については、どこのアラブ人も「うちが一番正当や!」と言うので決着が付かない、という話をよく聞きますが(笑)、エジプト人の彼女が謙虚にも「シリアの方がフスハーに近い」と言っているので、本当なのでしょう。
 でも、勉強すればする程、最初に感じていた程の「フスハーとアーンミーヤの距離」を気にしなくなり、「確かに喋る時はこっちの方が楽だよね~」という気持ちになってきました。やっぱり一つの言語なのです。道はまだかなり遠いですが・・。

 学校でもアラビア語の授業(「国語」)以外はアーンミーヤが使われている、というのは知っていたのですが、最近ではアラビア語の授業ですら先生がアーンミーヤで説明していることがあるそうで、彼女は「問題だ」と言っていました。
 大家さんの娘が非常にフスハーが上手だ、と言うと、「多分テレビで学んだのだろう」とのこと。
 フスハーのできないアラブ人なんて、漢字の書けない日本人くらい恥ずかしいです。そういう矜持をもって、胸を張って勉強して頂きたいです。

 「お腹の小鳥がピヨピヨ言っている」という表現を教わりました。
عصافير بطني بتصوصو
 「お腹がペコペコ」という意味。超かわいいです! 絶対使いたい!

 授業後外に出ると、正午くらいの一番暑い時間帯のはずなのに、暑くないです。
 ふと空を見ると、雲があります!
雲
posted by (C)ほじょこ
 雨どころか曇の日というのもほとんど記憶にないのですが、雲で日陰になると、本当に涼しいです。ちょっと肌寒いくらいです。
 秋だなぁ、と感じ入ります。
 うちの母が、昔「日本には四季があるから」とか「一年中同じような気候の場所の人間は、刺激がなくてバカになる」みたいな偏見をぶちまけていましたが、四季なんてどこにでもあるし、エジプトなんか一日の中に四季が詰まっているくらい変化が激しいです。日本の気候の良いところは、むしろ変化が乏しく安定していることでしょう。

 いつものように通りのカフェで新聞を読んで過ごす。
 例によって「ニーハオ」と声をかけてきた人がいたので、「ニーハオじゃないよ。シーニーじゃないよ」とにこやかに返したら、「それは失礼」と謝ってくれて、そこから会話が始まりました。
 最近ではもう、すっかり「ニーハオ」にも慣れてしまい、余程虫の居所が悪くなければ、笑ってスルーしています。
 「日本人だ」と言うと、「日本の銀行がギザに新しい博物館を作ったんだ。これはビックビジネスで、俺はとてもハッピーだ」とか、そんな話になったのですが、それだけ会話した挙句、また最後に「ニーハオ」と合掌して頭を下げて去っていきました。
 もう、ニーハオでもシェシェでも何でもいいです。ええ、ヤーバーンもコリアも中国の一部ですよ。普段着はキモーノですよ。日本人は全員忍者でカンフーができますよ。はいはいはい。
 「中国人は天安門広場で『毛沢東は神の使徒』ってシャハーダしないと結婚できない」とか嘘教えてやりましょうか・・。

 アメ大が休みなので、普通の本屋さんにちらっと寄る。
 アーンミーヤの教科書を眺めたのですが、値段を聞くと120ポンド(約2400円)。
 日本でならブックフェチ的に躊躇もしない価格ですが、こちらでのケチ暮らしに慣れた今では、手が震えそうなお値段です。一週間暮らせます。
 どのみちお金がなかったので、「明日アメ大でもう一度見よう」と撤退。

 考えてみると、アーンミーヤについては、日本語による超超入門書とS先生手製のプリント以外、教材らしい教材を使ったことがありません。辞書すら持っていません。アーンミーヤ独自の文法や頻出語彙のシフトについても、口頭とネットだけで覚えました。これもアッラー、そして人懐こい街のエジプト人たちのお陰です。
 アーンミーヤでも色々辞書があるのですが、ゴツい辞書を買うつもりはありません。高級な語彙についてはフスハーのままのものが多いし、安いハンディ辞書だけ、見つけたら買おう、くらいに思っています。

 昨日地下鉄のことを書きましたが、そういえばエジプト人に「日本にメトロはあるか」と聞かれたことが複数回あります。
 悪いですが、こと地下鉄に関しては絶対負けません。「一遍大江戸線の階段歩いて腰抜かしてみろ」とか心の中でえばっています。
 というか、二本あるカイロの地下鉄のショブラ-ギザ線は日本製の車両が使われていて、車両にも「日本から贈られた」みたいに書いてあるのですが、カイロっ子にはさっぱり伝わっていないようです。
 この路線には毎日お世話になっているのですが、見慣れた車両というだけで、すごく安心感があります。対して、もう一本の路線の方は、なんだかヨーロッパくさい車両で、「ツンツンしてんじゃねーよ」と嫌っています。
 なんでしょうね、この意味不明な身内びいきは。わたしだけですか。わたしだけっぽいですね。

 地下鉄と言えば、以前に深夜のサーダート駅で、若者四人組が「四人で3ポンドしかないんだ! 頼むから乗せてくれよ!」と駅員に訴えている現場を見たことがあります。
 地下鉄を値切るってアンタら一体・・・。

 肉屋に羊の生首が転がっている。
 首を落とされた残りがぶらさがっているのはよく見ますが、首だけ落ちているのは初めて見ました。意外と普通です。
 人間の生首が落ちていても、実際に見たら「ふーん」くらいなのかもしれません。

 道で大きな国旗を配っている人がいる。
 祝日なので愛国心を表明しているのかと思ったら、道行く車に国旗を売っている人でした。ホンマなんでも売りもんにするね、アンタら・・・。

 S先生との授業で、有名な「道を尋ねると嘘を教えられる」件が話題になる。
 「知らない」ということを恥と感じるメンタリティによるものだろう、と前に書いたのですが、エジプト人の先生も同意していました。
 もう慣れてしまったので何も感じませんが、この「知らない」と言えない性分には、エジプト人自身も困っているそうです。先生も一度、道を尋ねて言われた通りに歩いたら、一時間かかって同じ場所に戻ってきて、最初に尋ねた場所が目的地だった、ということがあったそうです。
 困っている人を捨て置けない、というアラブ人の性分(というか、多分にイスラーム的な倫理観)も原因の一つのようです。「絶対スルーしない」この性格が、多くの旅人を助けてもいるし、犯罪を見逃さない地域の目にもなっているのですが、困っていそうな人を見つけて、ホイ来た出番だ!と威勢良く出て行くと(こういう時のエジプト人は本当に嬉しそう)、引っ込みがつかなくなって、知らないことも知らないと言えなくなってしまうのかもしれません。
 もちろん「知らないことは知らないと正直に言う」美徳が存在しないわけではありません。知ったかぶりを諌める言葉を教えて貰いました。

من قال لا أعلم فقد أفتى

 「知らない、と言った者は、ファトワを出したに等しい」。
 苦しい訳ですが、أفتىというのは、ファトワ(イスラーム法学者が出すイスラーム法解釈)を出す動詞で、つまり「知らない」と素直に言った人は、余計なことを言わないことによって、素晴らしい情報を与えているのだ、という意味です。

 というか、わたしだけでなく多くの外国人がアラブ世界で感じていることだと思うのですが、この手の「イスラームの知恵」は素晴らしく、それを語る時のアラブ人もキラキラ輝いているのですが、その知恵を全然実践していないアラブ人が多すぎます(笑)。はっきり言って、全然信仰心のない普通の日本人の方が、平均点で見れば、余程「イスラーム的」な気がします。

 ちなみに、今日夜到着予定だった洗濯機は、予想通り来ませんでした。アッラーはわたしに手洗いをお望みのようです。
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  1. エジプトのフスハー教育事情、根深いニーハオ、知ったかぶり問題|2009/10/08(木) 00:56:41|
  2. エジプト留学日記

エジプトがイタリアに快勝、フスハー、ナンバルワン!

 なぜか二日続けてDさんと会いました。といっても、二日ともカフェでサッカーを観戦していただけです。
 今日はエジプトが4対2でイタリアに快勝! ショクリーという選手が二点、途中交代で入ったボギー選手が二点です。「シュクラン、ヤー、ショクリー! シュクラン、ヤー、ショクリー!」という実況のフレーズが耳にこびり付いています。語呂がいいですね。
 サッカーに興味のないワタクシですが、マクハーでも通りでも、至るところで屋外に出したテレビを前に人々が熱狂していると、やっぱり気になります。日本では長年一人暮らしで、つい最近までそもそもテレビも持っていなかったのですが、みんなでテレビを見るって結構楽しいです。
 ちなみに、エジプト代表にムハンマド・タラアトという長髪のイケメン選手がいるのですが、中継の途中で流れるコーラのCMで、彼が「コカコーラ」と日本語で書いてあるTシャツを着ています。



 ハーフタイムとか試合後に、いつものようにあちこち線を引いた新聞を見せて「これどういう意味?」「何か例文作れない?」とか子供のようにまとわり付くと、辛抱強く教えてくれます。ほとんどのエジプト人は、こういう質問をしても役に立つ答えを返してくれないのですが(日本人だって一緒でしょう)、彼の説明はいつもわかりやすく、教師の才能があるんじゃないかと思います。
 もちろん、試合中はまったく相手にされませんが・・。

 エジプトでは、とにかく皆異様にフレンドリーに声をかけてくるので、最初の頃はホイホイ相手になって友達になれた気でいたのですが、向こうから来るのは男性だけで、かつ男性と適度な距離で普通の友達関係を維持するのが、日本の百倍難しいです。最初の頃は要領を間違えて、関係が切れてしまった人が沢山います。
 完全に絶ってしまうのが一番安全なのですが、それではつまらないし、率は低いですが、ちゃんと友達になりたい人というのはいます。無謀かもしれないし、ムスリムが大多数の国で愚かな行動をしているかもしれませんが、できればうまく交友していきたいです。「どんな信頼できそうな人でも、二人きりにならない」「友人関係であることを繰り返し強調する」とか、日本より遥かに大切です。

 そんな中、なぜかDさんとは細く長い縁が続いています。彼はドイツ人相手のガイドで、単にカイロに来て最初に泊まっていたホテルのロビーで知り合っただけなのですが、海外経験もありインターナショナル・マインドがありながら、同時にフスハーをこよなく愛していて信仰熱心なところが、付き合い易いのかもしれません。
 ガチガチのローカルな人というのは、やはり正直付き合い易い対象ではありません。外国人が価値観や言語の相違でどんなところがしんどいのか、まったく理解できないことが多いからです。もちろん100%理解されることも理解することもできないのですが、できないなりに「こいつは日本人やし違うんやな」くらいは察して欲しいのが率直なところです。
 一方で、やたら欧米かぶれで英語ばかり喋っている人種もそりが合いません。「フスハーなんて誰も使わないよ」みたいな態度を取られると、フスハー愛しさに仕事やめてまでエジプトに来ている身としてはムカッときます(笑)。
 Dさんと最初に出会った時は英語で会話していたのですが、その後フスハー、最近は主にアーンミーヤで時々フスハー、という具合に、言語を合わせてくれているのも助かります。

 少し前に彼とはちょっと気まずいことがあり、わたしが「それはハラームだ、誰もいなくてもアッラーは見ている」と非難してしまったことがありました。「正式にムスリムでもないわたしがそんな僭越なことを言っても、何の価値もないだろうな」と思っていたのですが、先日会った時に、彼がその言葉を持ち出して、謝ってくれました。
 もう今では怒ってもいなかったので「気にしないでいい、別に怒ってないし悲しくもない」と言ったところ、「いや、僕が悲しかったんだ。君はムスリムでないのに、アッラーはいつも見ていると、正しいことを言った。後になってとても恥ずかしかった」と、エジプト人なのに(失礼)びっくりするくらい謙虚な姿勢で、一段株が上がりました。

 その彼が、最近すっかりアーンミーヤに振り回されていて、高速アーンミーヤがさっぱり聞き取れずにションボリしているわたしに「フスハーが第一だ、まずフスハーの勉強をしっかりして、アーンミーヤはその後でいい」と言います。
 逆のことを言うエジプト人は沢山いるのですが、こんな言葉を先生以外から聞くのは珍しいです。
 「フスハーで話しかけられて笑うエジプト人がいるかもしれないが、それは彼らの方が間違っている。きちんと話せば、必ずフスハーで通じる。無知なヤツらの言うことに耳を傾けちゃだめだ。僕は小さな村の出身だけれど、そこの方言でもカイロ方言とは違う。アーンミーヤなんて、エジプトでしか通じない」
 「そうは言っても、わたしもみんなが話している会話を理解したいんだよ」
 「僕はドイツ語を学んでいるけれど、ドイツ人同士が早口で会話していると、ほんの一部しか聞き取れないことがよくある。外国語なんだから、全部を理解する必要なんてない。フスハーだけでも大変なことだ」
 そう言われると、ちょっと勇気が出てきました。
 いや、アーンミーヤはアーンミーヤで面白いので、コツコツ勉強していきますが、初心を忘れずフスハーを大事にしたいです。
 今日は初対面の彼の友人もちょっと同席したのですが、わたしがアーンミーヤが下手だと聞いていたらしく、最初から見事なフスハーで喋ってくれて、感激しました。軽々しく握手を求めないでジェントルマンでした(エジプトでは、男性が女性に対する時は、女性が手を出すまで握手を求めないのが礼儀正しい。でも外人だと見ると自分から手を出してくる男性が非常に多い)。

 フスハーを読んでいると、それが唯の新聞記事でも、子供向けの本でも、何か荘重で、大きな存在に包まれているような安心感があります。大きな熊にだっこされているみたいです。何でしょうね、これは。歴史のある言語ならではの重さなのでしょうか。
 フスハー、ナンバルワン!です。

エジプト・イタリア戦観戦
エジプト・イタリア戦観戦 posted by (C)ほじょこ
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  1. エジプトがイタリアに快勝、フスハー、ナンバルワン!|2009/10/02(金) 12:51:08|
  2. エジプト留学日記

مي عز الدينマイ・アッズ=ッディーンとحماد هلالハマーダ・ヒラール、外国人同士でフスハー談義、ダハブからカイロへ

9/26

 起床し、まずは長距離バスターミナルまでカイロ行きのチケットの購入に。最終バスは22:00発ですが、人気があるので満席にならないうちにゲットしなければなりません。
 乗り合いトラック乗り場付近で足を探す。往復するだけなのでトラックの荷台で良かったのですが、タクシーが声をかけてきて、10ポンドというところを5ポンドまで値切れたので(これが相場価格)、タクシーで行くことにしました。
 運ちゃんはジィーズ。アブドゥルアジーズというよくある名前が本名ですが、長いのでジィーズと呼ばれている、とのこと。
 若くて乱暴そうな見た目ですが、例によって死ぬほど甘いお茶を差し出し「飲め」と薦めてくれるし、最後の一個の飴を「割って半分にして二人で食べよう」と分けてくれるし、イイヤツでした。
 わたしがカメラを出していると「写真が好きなのか? 俺も写真を撮るのが大好きなんだ」と言い、携帯を差し出します。携帯にはダハブのあちこちの写真と一緒に子供の写真が収められています。「ジィーズの子供?」と聞くと「そうだ」との答えで、ダハブやシャルムで働く大勢のエジプト人と同様、出稼ぎに来ているそうです。
 チケットを購入した後、ジィーズが「写真が好きなら良いところに連れて行ってやる」と、ラグーナ方面の海がキレイなところまで連れて行ってくれました。

砂漠のタクシー
砂漠のタクシー posted by (C)ほじょこ

 最初に5ポンドまで値切ったのですが、往復してくれたし、ジィーズがすごくイイヤツだったので、結局10ポンド渡して来ました。
 バスのチケットは確か80ポンドでしたが、後で確認すると、チケット自体には60ポンドと書いてあります。80ポンドなら事前にチェックしておいた相場価格なので構わないのですが、シャルム-ダハブ間も毎回値段が違うし、印刷された値段と払う価格も毎回違うし、何だかさっぱりわかりません。

 マシュラバに戻り、街をブラブラ。
 サミールという服屋の兄ちゃんが話しかけてきて、一緒に店でダベることに。というか、エジプトに来て以来「誰かに声をかけられる>お金は使わずダベる」というパターンでほとんどの日が過ぎている気がします(笑)。向こうも暇なので話し相手が欲しいのでしょう。
 ゆっくりわかりやすいアーンミーヤで喋ってくれ、わたしが質問すると丁寧に言葉を教えてくれて、親切な人でした。
 ちなみに、彼の店で売っていたバッグに変な日本語のプリントされていました。アメリカ製。

つやつやロンヘアを手に入れよう!
つやつやロンヘアを手に入れよう! posted by (C)ほじょこ

 またバッサームの店で一緒にテレビを見る。
 مي عز الدينマイ・アッズ=ッディーンという女優主演の映画。父親の元に娘だと名乗る同じガミーラという女性が訪れ、それが全然違うキャラ、というお話。今ひとつ筋がつかみ切れませんでしたが、三人のうちの一人のデブキャラ女優がすごく面白かったです。バッサームが彼女を指してمي عز الدينと言うので、このデブキャラ女優がその人かと思ったのですが、そうではなく主演がマイで、同じ役を三人が演じている、という意図だったようです。
 このデブキャラ女優が、日本のデブキャラ芸人の比ではないものすごい巨漢で、しかもすごく面白く、ただひたすら彼女の巨大ぶりを楽しんでいました。

 続いてحماد هلالハマーダ・ヒラールという俳優主演の映画。クソマジメで女の子に縁のない男が、ふとした偶然で超アクティヴな女性新聞記者に一目惚れして、友達の助けを借りつつアプローチする、というラブコメディ。
 حماد هلالは劇中では冴えない純情男ですが、画像を探すと二枚目です。
 ハマーダが父親にデート費用をねだり、父親が渋るのを「ケチ」と言ったら、父親が激怒してバルコニーに出て、周辺住民の前で「みんな、これが見えるか! 100ポンド紙幣だ! 今からこれを破って捨てる! わしがケチではないところを見てみろ!」と本当に破って捨てる場面がエジプト人らしくてウケました。
 エジプト人、本当にこんな感じの行動を取りますね。彼らの口喧嘩は相手を打ち負かすものではなく、野次馬=オーディエンスをいかに説得し自分の味方につけるか、という、スピーチコンテストみたいです。
 またبخيلバヒール(ケチ)を最も蔑むのも、典型的です。前にも書きましたが、彼らはボッタクリ商法を平気でやる一方、使う時も気前がよく、チビチビ溜め込む態度を本当にバカにします。景気対策としては大変よろしいです(笑)。「バヒール」は冗談でも口にしてはいけない言葉のようです。ケチと罵られれば、本当にこの父親のような行動に出るんじゃないかと思います。

 店を出て少し一人で散歩。
 アクセサリ屋の男が声をかけてきて、「運を呼び込む」という石を釣り糸みたいなものでくくってネックレスにしてくれました。本当にタダでくれて、しばらくお喋りして普通にバイバイできましたが、このネックレス、ただの紐なので外せません・・・。

 ツアー企画みたいな男が声をかけてきて、またちょっとお喋り。横でベドウィンが礼拝しています。
 この男が露骨にロクデナシで、「結婚しないでセックスするのは日本の文化なのだろう?」とか言ってきます。「確かにそういう人はいるが、文化ではないし、わたしはそれは悪であり、ハラームだと考えている」と言い返しますが、何かすれ違っている気がします。
 これについて考えたいて面白いことに気づいたのですが、長くなるので別エントリに分けます。とりあえずこいつとは即効バイバイ。

 さらに散歩して、ラグーナの辺りでH氏に出会う。
 彼はホテルの経営者らしく、地元の「顔」で多くの外国人と付き合いがあるようです。
 H氏と共に少しマシュラバに戻った辺りのカフェに入り、エジプト人・外国人の混ざった輪に加わります。エジプト人とその妻のオランダ人、長くエジプトに暮らすイギリス人女性、といった雑多な集まりです。ダハブの中の上クラスくらいで遊んでいる欧米系の空気です。
 エジプト人と結婚したオランダ人女性は、まだアラビア語がほとんどわからず、夫婦の会話は英語かオランダ語とのこと。こういうカップルはエジプトに非常に多いです。「言葉が不自由で夫婦生活が成り立つのか」と訝しがられるかもしれませんが、これは本当に大丈夫です。こちらで生活していると、言語を完全には理解できていなくても、相当のところまでコミュニケーションが取れる、ということを実感します。逆に母語を共有していても、結婚なんて失敗する時は失敗するでしょう。
 非常に面白かったのが、アラブ世界で長く生活しているイギリス人Cさんのお話。彼女はバーレーンで二年あまり学んだ後、ギザの非常に大衆的エリアに七年住んだ、とのこと。残念ながら地区の名前を失念してしまったのですが、その名前を聞いた途端に周りのエジプト人すべてが「正気か!?」という反応をしていて、一人が「エジプト中の銃とドラッグがそこから来る」と言っていました。
 実際、そこでの日々は、異様に人々が密着してひたすら怒鳴りあうもので、それまでシャイだった彼女は、ホウキを武器にマスジドで大暴れしたり、獣のようにまとわりついてくる子供達を張り倒すくらい、タフな女性に生まれ変わったそうです(見た目はスレンダーな美人さんで、エジプトによくいる象のように図々しい女性では決してありません)。
 それはそうでしょう。わたしが知っている範囲の「貧しい地区」でも、ただ歩くだけで大変な騒ぎです。特に子供の厄介さは、経験した者にしかわからないです。言葉を喋る狼が後から後からゾンビのように追いかけてくる、と思ったら少し近いです。しかも喋る言葉といったら「金くれ」だけです(笑)。幸い今まで子供を暴力で倒したことはないですが、多分一人や二人殴り倒しても、後から後から沸いてきて対抗できないと思います。『ブラックホーク・ダウン』でアメリカ人を包囲するソマリア人みたいです。
 彼女はわたしに「アラビア語を上手になりたいなら、そういう地区に何年か住むのをお勧めするわ」と言っていましたが、丁重にお断りさせて頂きたいです(笑)。

 こんな話の流れで、「カイロは外国人が住むには最もハードな街の一つだ、一方アレキサンドリアは本当に違う」と一同盛り上がっていたのですが、それはちょっと言いすぎにしても、確かにアレキサンドリアの方が外人には住みやすそうです。H氏がアレキサンドリア出身なので皆で持ち上げていただけかもしれませんが、アレキサンドリア人はエジプト人と言っても祖先にヨーロッパ人の血が混じっている率がかなり高く、カイロ以上に「国際的」な街です。
 カイロは何と言っても首都だし、仕事をするならベストに決まっていますが、わたしの訪れた日本以外のいくつかの都市の中では、確かに一番過酷な世界に思えます。「外人にとっての住みやすさ」という意味では、東京もかなり酷いと思いますが、カイロには東京のような外人差別や物価高がない一方、エジプト人の超絶人懐こさ故のストレスと、凄まじい喧騒が待っています(もちろんマアーディやザマーレクに住むなら全然別)。
 まぁ、Cさんはいくら何でも住む場所間違えすぎだと思いますが・・・。

 わたしがフスハーの方が得意(というかアーンミーヤがヘボすぎる)ということがわかると、座が「フスハー合戦」になりました。
 何人かのエジプト人は上手にフスハーを操り、流暢に詩のように語るのですが、何人かのエジプト人は「えー、フスハー!?」という感じで、上手下手以前に照れてしまって喋ろうとしません。
 Cさんのアーンミーヤは見事なものなのですが、一方でフスハーは冴えません。大衆エリアで鍛えたのなら、当然でしょう。新聞を読むのも「難しいしイヤ」と言っています。
 それでも「フスハーはとても美しい、詩を沢山聞いて、完全には理解できないけれど、とても荘重な言葉だと感じる」と語ります。応じてH氏が二ザール・カッバーニの詩を読んだので、ここぞとばかりにイリーヤ・アブー=マーディの詩を暗誦したのですが、発音が悪すぎるせいか今ひとつウケませんでした。

 少し不思議だったのが、サイーディには評判の悪いベドウィンが、アレキサンドリア人と白人、というメンバーの中では割とポジティヴに評価されていたことです。
 一方で、サイーディのことはバカにしています。「沢山のサイーディがここで働いているが、彼らは外国人をひっかけに来ているだけだ。彼らの多くは、一年か二年するといなくなる。外人女をつかまえて地元に帰るか、悪いことをして警察に捕まるのだ」と言います。「わたしはここに十年以上も暮らしている。それだけいられるというのは、わたしが間違ったことをしていないからだ」と言うのは、確かに一理あるかもしれません。何でも「そこに長くいる人」には、長くいられた理由があるものです。
 ただ、わたしの経験の範囲では、サイーディのイメージは全般に良いです。一方でベドウィンは悪印象で、もし強引に単純化して上エジプトと下エジプトの対立軸で考えるなら、個人的な感触では、上エジプトの人々との方が楽しい時を過ごせる確率が高いです(あくまで確率)。

 このカフェで働く白人女性(国籍は尋ねませんでした)が、最近シャルムに赴いてボッタくられた話をしていました。ネスカフェ(トルココーヒーではない普通のコーヒーのこと)で80ポンド(約1600円)請求されたそうです。「最初冗談を言っているのかと思った」とのことで、一同大憤慨です。公定料金では、ファイブスターのホテルでも25ポンドが上限とされているそうです。8ポンドでもかなり高いのに、シャルムは本当に狂っています。カイロの普通のマクハーなら3ポンドです。

 ちょっとトラブルがあり、ダハブ滞在の最後で非常に不愉快な思いをしたのですが、そんなこんなでバス発車のギリギリの時間に長距離バスターミナルに滑り込む。バッサームに挨拶できなかったのが本当に心苦しいです(翌日電話して、カイロで再会することを約束)。

ダハブ 夕暮れの猫
ダハブ 夕暮れの猫 posted by (C)ほじょこ

 バスの隣が若いエジプト人で「こりゃ寝られないな」と思ったら、彼は母親と一緒で、ママの前のせいか流石にお行儀良く、彼ともその母親とも楽しくお喋りできました。
 母親がダハブに住む姉妹を訪れた帰りだそうで、親孝行な好青年です。彼はバスの仕事も手伝っている様子で、従業員なのか純粋な乗客なのかよくわかりません。バス会社で働く青年がツテで安く母親を乗せたのか、単なる乗客がエジプト人らしくバスのことを色々気遣っているのか、どちらなのでしょう。
 カイロへの帰路の途中、またトイレ故障のトラブル発生。行きと同じトラブルで、同じ車両だったのかもしれません。長距離バスで二回も臭い思いをしました(笑)。
 隣の青年が責任もないのに「せっかくの旅行で気持ち悪い思いをさせて申し訳ない」と言っていて、すごくジェントルマンでした。ママの前でかっこつけていたのかもしれません(笑)。

 バスの中でعمر وسلمى(ウマルとサルマー)という恋愛映画を見る。
 行きのバスでは字幕付きアメリカ映画でしたが、帰りはエジプト映画でした。寝ている乗客が多く、しかもほとんどはアラビア語のわからない外国人たちに対してエジプト映画を大音量で流すのはどうなんだ、と思いましたが、個人的には非常に楽しかったです。
 途中で寝てしまったので筋がよくわかりませんが、تامر حسنيターミル・ホスニーという主演俳優が、二枚目キャラなのだけれど眉毛が思い切りつながっていて、ちょっとウケました。彼が髪型を気にしている場面があるのですが、「髪型より眉毛をなんとかした方がいいよ」とツッコみたいです。彼はエジプトでは普通に二枚目俳優なので、エジプト的には問題ないのですけれど(この美意識も理解できる)。
 台詞は部分的にしか聞き取れないのですが、一方で外国映画の字幕も完全には読みきれません。字幕はフスハーですが、現在のわたしの読解スピードでは、理解できる前に字幕が消えてしまいます。せめて字幕についていけるくらいは、読み取り力を上げたいです。吹き替えやエジプト映画がアーンミーヤの練習になる一方、字幕付きのアメリカ映画は、フスハーの訓練に結構使えます。

 アッバセーヤ着。
 この時までよく知らなかったのですが、シナイ半島方面からカイロに帰ってくるバスは、アッバセーヤのمحطة سيناء للاوتوبيساتマハッタトゥ・スィーナーッ・リル=オートビサートに到着することが多いようです。ここはカイロ中心部からかなり離れているのですが、最初「トルゴマーンの近くだろう」と思いタクシーの客引きを断りまくってしまい、ちょっと失敗しました。
 「メトロが近くにあるはず」と勘でかなり歩いた後、ようやく周辺地理を理解して、引き返す羽目になりました。イッ=ディメルダシュあたりが直近のメトロ駅ですが、大荷物をかかえて歩く距離ではありません。タクシーは乗りたくないので、ラムスィース行きのマイクロバスをつかまえました。3/4ポンド。

 一週間留守にしただけですが、出発したのがラマダーン明けのイード中だったせいか、自宅近辺の様子が少し変わっていました。ラマダーン中に引っ越してきたので、ラマダーン中休業の店が営業再開したり、店の品揃えが大幅に変わっていました。

ダハブ 犬と男の夕暮れ
ダハブ 犬と男の夕暮れ posted by (C)ほじょこ

 一週間の小旅行でしたが、この旅は非常に非常に楽しかったです! 特にサイードとバッサームとの出会いが、最高でした。
 ダハブは本当に素晴らしい場所で、是非住んでみたいです。ダハブでアラビア語語学学校をやったら結構儲かるのではないかと思うのですが(現在でも家庭教師みたいなものはあるが、多分質は低い)、先生に提案してみます。需要があるのはアーンミーヤだけでしょうけれど、ちゃんとした学校を作れば、長期滞在して敢えてフスハーと併習する、という学生も現れる気がします。わたしならそうしたいです。地元人に聞いたら、「どこそこのドクター何ちゃらはフスハーが達者」という話を聞けたし、どこの町でも何人かはそういう「物知りおっちゃん」がいるので、自分で探して交渉して家庭教師にするのも一手です(ただし、そういうおっちゃんは大抵非常に信心深いので、イスラームを学ぶ覚悟が必要)。
 今までの人生で、一番楽しい旅行で、元々観光にも遺跡にも海にも興味がなかったわたしが、エジプト中旅をしてみたい!という気持ちになってきました。特にアスワーンは一ヵ月後には絶対訪れます、インシャアッラー。
 ダハブももう一回行ってみたいので、日本から友達が遊びに来てくれたら、一番に連れて行きたいです。その時は国境近くまで行くか、国境越えてヨルダン突入したいです(イスラエルは入りたくないので船で)。寒くならないうちにおいで!
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  1. مي عز الدينマイ・アッズ=ッディーンとحماد هلالハマーダ・ヒラール、外国人同士でフスハー談義、ダハブからカイロへ|2009/09/29(火) 12:51:25|
  2. シナイ半島の旅

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