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再びダハブへ、ロシアのプログラマー、礼拝の練習

9/24

 朝、サイードとの約束で、一緒にシャルム・ル=ミーヤのイル=ハドバへ。オールドマーケットのあるシャルムの南側のエリアから、丘を越えて東に出たところです。日本のガイドブックではあまり紹介されていない場所ですが、銀行や郵便局がある他、アルフ・ライラ・ワ・ライラ(千一夜)という巨大なリゾート施設があり、その先の岬に灯台があります。
 岬の突端に、2004年にフランスの飛行機が墜落したことを記念する慰霊碑があります。この慰霊碑の下は、特にビーチとして整備されているわけでもなく、普通に海に下りていくことができます。また、慰霊碑が丁度良い日陰を作ってくれていて、どこのお店にも入らずぼんやり涼を取ることができます。さすがジモピー、良い場所を知っています。こういう「階段に座って缶コーヒーとタバコ」的世界が大好きです。

シャルム・ッシェーフの慰霊碑
シャルム・ッシェーフの慰霊碑 posted by (C)ほじょこ

 車を降りる時にサイードがキーロックしてしまったのですが、まったく動じる様子がありません。ニコニコしながら「後で直す、インシャアッラー」というだけです。
 とりあえず慰霊碑の影でぼんやりお喋りします。同じ日陰には例によって警官のおっちゃんがいます。
 海を眺めると、作り物のような緑色のきれいな魚が泳いでいます。「釣りできる?」と聞くと「釣れるけど、禁止されている」とのこと。確かに、シャルムではあちこちに釣り禁止や不法投棄を禁じる看板があります。自然が売り物のリゾートなので、さすがに自然保護には神経質になっているようです。ちなみに「食べられる?」と尋ねたら「食べられる」そうです。
 日本のことを色々尋ねられたりして、お喋りします。彼に電話がかかってきて、30分ほど離れることになったので、一緒にキーロックした車まで戻ります。
 彼はその辺に落ちていた自転車の廃チューブのようなものを拾い、折り曲げて少しだけ隙間をあけてあった車の窓から差し込み、30秒くらいでキーロックを解除してしまいました。
 日本だったら即プロに電話する状況ですが、エジプト人はこういう不測の事態に異様に強いです。何でも修理して使うし、車に乗る人なら誰でも車を直せそうな勢いです。こういうタフネスは本当に見習いたいです。カッコイイ!

 サイードが用事で離れている間、新聞を読んだり警官のおっちゃんと話してぼんやりする。
 警官はよくいる普通のおっちゃんと一緒で、イイヤツではあるけど教養はなく、失礼な質問も平気でする人です。失礼な質問や、二人きりになると油断も隙もなくエロオヤジに変貌するパターンに対する対応には、かなり習熟しました。キレてもいいのですが、キリがないので「かわす技術」がとても重要です。
 ちなみに、ガイドブックなどでは「とにかくついて行きさえしなければ安全」という記述があり、確かに全くその通りなのですが、それだと面白いことも起こらず退屈です。責任持ちたくないので推奨はしませんが、ギリギリまで近づいてかわすのが、一番楽しくて言語やトーク外交術の訓練にもなり、情報も得られます。武道と一緒で、一定の技術があれば、思い切って踏み込んだ超接近戦領域というのは、意外と安全です(笑)。

 サイードがテイクアウェイのコクテール(フルーツブロック)を買って戻ってくる。自分は食べないのに、わたしには猛烈に薦めて、こんな調子ではすぐデブってしまいそうで恐ろしいです。「断る技術」も超重要(笑)。
 とにかく彼は、わたしがエジプトで会った中でも一級のイイヤツで、近くカイロに来るということだったので、絶対また会いたいです。

 サイードが長距離バスターミナルまで送ってくれる。
 またベドウィンどもがたむろしていて「バスはない」とかほざくので、「嘘つきめ! アッラーは見ているぞ!」と怒鳴り返す。
 バスを待つ間に、サマーラというバス運転手のおっちゃんとお喋りしました。
 ザアズィーッという、カイロの少し北あたりの街の出身で、ソハーグ(上エジプトの街)まで行くそうです。「タンタに行ったことはあるか、ルクソルはあるか」と、いろんな地域について尋ねられ「ザアズィーッに来たら絶対電話しろ」と言われます。ザアズィーッなんて、彼と話すまで認識もしていなかったのですが、デルタ地域のそういう小さな町というのは、ちょっと興味があります。農村を見てみたいです。

 バスは11ポンド。シャルム-ダハブ間は、20ポンド、15ポンド、11ポンドと、乗る度に料金が異なりましたが、最後の11ポンドの時は、確かにバスがオンボロで、電灯もつけずエアコンなしで窓を開け放して走っていて、乗客もエジプト人が中心でした。元々の車両自体は日本の夜行バスのような立派なものなのですが、20ポンドの時に乗った車両と違ってかなりガタがきていて、「大型バスの成れの果て」という、日本ではちょっと乗れない種類の自動車でした。
 シャルム-ダハブ間の短い距離で、二回も検問にあいました。安いローカル向けのバスなので、特別チェックされたのかもしれません。

 再びダハブ着。
 マシュラバまでのタクシーは、10ポンドから値切って5ポンド。軽トラですが、助手席に座れたし相場価格です。
 高い宿に泊まる気はないし、かといって最底辺も不安なので、ペンギン・ビレッジという部屋のバリエーションが豊富な大きめのホテルを選択。シャワーとトイレ、扇風機付きの部屋で70ポンド。トイレ共同でも良いなら、もっと安い部屋もあります。
 後日撮影したペンギン・ビレッジの写真です。

ダハブのペンギン・ビレッジ中庭
ダハブのペンギン・ビレッジ中庭 posted by (C)ほじょこ

 マタアムMEYA MEYAに戻る。「3.5ポンドを返しにダハブへ舞い戻ってきた」感動的な再会を期待していたのですが、「あー、また来たの」という感じのそっけない反応。考えてみれば、ダハブは長期滞在する人が多いし、同じ日本人が顔を出したくらいで感動はしてもらえません。
 ベジサンドイッチ(18ポンド)を食べて、猫と遊びながらぼんやりする。こんなゴージャスな食生活を送るのは久しぶりですが、本当に居心地が良いので惜しくありません。

 夜の土産もの屋通りをお散歩。
 当然客引きはありますが、シャルムやカイロのような凶悪さが感じられません。後になって性質の悪いヤツらにも会いましたが、全体的には引き際の潔い普通の商人、という印象です。
 オイル屋の前で、客引きにつかまる。買う気はないですが、お喋りしないと退屈なので、店に入ります。
 これがこの旅の第二の素敵体験、バッサームبسامとの出会いでした。

 最初に声をかけてきたのはバッサームではなく従兄弟の方だったのですが、彼らでこのオイル屋と、遊歩道沿いの警察署のすぐ脇にある土産物屋の二件を経営しているようです。
 オイル屋でのお喋りでは、もう一つ楽しい体験がありました。二度目のご来店らしいロシア人カップルとの出会いです。
 彼女がオイルマッサージを受けている間、わたしと彼氏でお喋り。彼はアラビア語はまったくできないので、言語は英語です。
 最高だったのが、彼の職業がプログラマーだったこと(マネジャークラスらしい)。ロシアの同業者と初めて出会いました。主な言語はPHPとのこと。
 彼は英語もあまり上手ではなく、その言語の拙さをしきりに恐縮しています。姿勢も猫背だし、ロシア人だから当然ですが生っ白いし、喋り下手でシャイな感じが理系少年というか、日本人に似ていて、とても好印象でした。エジプト人とはエライ違いです。
 なぜかわたしの好きな人にはロシア語を学んでいる人が多いのですが、わたし自身はロシアについてまったく知識がありません。唯一知っているロシア人と言えば、大分以前にフランスで出会い、わたしの友人から二万円借りてそのままモスクワに逃げたカス野郎だけで(貸す方が悪いですが)、エジプトでのロシアのイメージは一般的には悪いので、彼と出会うまではあまり良い印象を持っていませんでした。この朴訥なプログラマーと出会えたお陰で、わたしの中でのロシアのイメージが抜群に良くなりました。
 周りのエジプト人が「モスクワは寒い、こっちの方が良いだろう」としきりに言う一方、「寒さは別に問題じゃない、それより喧騒と空気が悪いのが耐えられない。ダハブは本当に心が落ち着く。ダハブに家を持つか、ホテルを経営できないか、本気で考えているんだ」と語ります。
 ダハブにはロシア人が多く、ウォッカを出す店がたくさんありますが、彼はダハブではお酒を飲まないそうです。「なぜかはわからないが、多分気候のせいだろう。モスクワではお酒を飲むけれど、こちらで飲むと気持ちが悪くなるので、やめているんだ」。お酒を飲まない一方、タバコについては非常にヘビーなエジプト人について「君達の体は、何世代にも渡ってタバコに適応しているんだろう。わたしの体がウォッカに向いているように。わたしは到底君達みたいなタバコは吸えないよ」と語ります。
 彼の勤務先は、イタリアと日本の共同出資によるボンジョルノという会社だそうです。企業名を書くのは流石にマズイかと思ったのですが、彼から感じられるロシアの印象、勤め先のイメージが、悉くポジティブなものだったので、応援の気持ちを込めて書いてしまいます。御社の開発者は、本当にグッドバイブです!
 ちなみに、彼の直近の上司は日本人K氏といい、「物静かで大変高潔な人物」とのこと。「日本人は、お酒を飲んで豚肉を食べること以外、ムスリム以上にムスリムらしい」とはエジプトでよく聞くお褒めの言葉ですが、ロシアでも好印象を残している大先輩K氏に敬意を払いたいです。

 どういう流れだったのか、オイル屋を後にして、バッサームが主に取り仕切っている土産物屋の方に移動します。
 わたしがアラビア語を話し、イスラームに関心を持っていると知ると、段々態度が変わってきます。「どのスーラを覚えている?」と聞くので、知っているスーラを片っ端から暗誦すると、「アッラー、アッラー」と感心してくれます。こういう時は、アラビア語、特にフスハーを勉強していて本当に良かったと思います。
 「お前は他の日本人と違うな。本当の話、ここに来る外国人は酒を飲みセックスをして、ハラームなことばかりしている。俺は日本に行ったとしても、日本人とは結婚したくないよ」と本音を漏らしだします。
 バッサームはサイードと同じくアスワーンの出身。この辺りのビーチリゾートは、アスワーン出身者が非常に多く働いています。彼もまたベドウィンがあまり好きではなく、アスワーン人とベドウィンは何故か相性が悪いようです。カイロやアレキサンドリアに親戚がいて、遊びに行く予定がある、とのこと。
 バッサームという名前は、「微笑み」を意味するبسمという語根から派生していて、名前の通り丸っこくて人懐こい顔に笑顔を絶やしません。外国人についてはセックス&マネーしか期待しないエジプト人が少なくない中、彼はサイードと並んでエジプトで出会ったなかで最も親しみの持てる男でした。

 彼と話していて感じましたが、観光客からボッタくるエジプト人というのは、本当のところハラームな振る舞いばかりをする外国人が好きではないのではないでしょうか。「商売だし、あんなヤツらから巻き上げるのは当然」と思っているのかもしれません。逆に、一旦友達になると絶対にボッタくるような真似はしないし、それどころか頼みもしないのにあらゆるものを無償で提供しようとします。
 ボッタクリについても、「固定価格」という観念の薄い社会では、日本で考えられているような詐欺商法とは言い切れません。値段が場所で変わるのは当然ですし、「持てるものからお金を取り、バンバン使う」という互酬再分配システムとして機能している、とも受け取れます。
 実際、お金を持っている人には使う「義務」があるかのような倫理観があります。結果として、お金持ちがバンバン使って貨幣を流動化しているのですから、お金の正しい回し方をしています。観光客には稼ぐ方の契機がないので、結果的に「ボッタクリ」になってしまっていますが、欧米や日本・韓国の人々がグローバルな搾取によって稼いでいると考えれば、観光客がお金を使うのも当たり前です。
 問題としては、バーンと稼いで気前良く再分配する立場の者が、封建的権益を得る、ということがありますが、封建システム自体を悪と考えるのも、特殊西欧近代的なバイアスではないでしょうか。わたし個人は極右なので、民主主義とか嘘くさい話はやめて、封建主義で回す方が神様も喜ぶと信じています。

 話がズレましたが、バッサームとの会話で「礼拝の仕方が未だにおぼつかない」と言うと、店の奥で礼拝の練習が始まりました。こういうのは、前々から望んでいたことだったので、一所懸命順番を覚えます。スーラは一人でも暗記できますが、所作の風格みたいなものは、ボーンムスリムが家庭で学ぶように親しんでいきたいです。

 そんなことをしていると、エジプト人女性二人が店に入ってきました。
 「何してるの」「この日本人がイスラームを勉強していて、礼拝を教えているんだ」と言うと、アマーニーというこの女性が大変感激して、ヒジャーブの着用法などを手取り足取り教えてくれます。
 彼女はアレキサンドリア在住で、ダハブへ遊びに来られることからして、かなり社会的階層の高い人です。全身から品の良さと教養が漂っていて、早口で目を輝かせながら語るものの、決して下品になりません。旦那様はイマームだそうで「いつでもアレキサンドリアに来て。日本語の本もあるし、何でも手伝える」と言ってくれます。
 彼女はバッサームよりずっと宗教的教養のある人で、バッサームがわたしの手帳に書いてくれたタヒーヤ(礼拝の3ルクア目以降でファーティハの後に暗誦する文句)に間違ったところがある、と訂正してくれます。上品な叔母様の前では、バッサームもタジタジです。
 挙句に彼女とそのお友達の二人が、一人一枚ずつヒジャーブ用のスカーフをプレゼントしてくれました。恐縮しているところにアマーニーの旦那様が入ってきて、イスラームの勉強の仕方について、滔々と語りだします。正式に入信したいなら証人になるので、いつでもアレキサンドリアに来い、とのこと。
 この「怒涛のような親切」は何度も経験しましたが、嬉しい一方、あまりの展開の早さに目が回りそうになります。バッサームも後で「いや、俺も途中で『いきなり全部は無理だ、一歩ずつやる方がいい』って言ったんだけど・・」と笑っていました(笑)。

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テーマ:エジプト - ジャンル:海外情報

  1. 再びダハブへ、ロシアのプログラマー、礼拝の練習|2009/09/28(月) 21:07:06|
  2. シナイ半島の旅

シャルム・ッシェーフからダハブへ

9/23

 朝、とりあえずハリーグ・ッナアマ(ナアマベイ)まで行くものの、既にやることがありません。昨日あったハーリドおじさんに挨拶して、「どうしたものか」と考えていたら、突然「ダハブに行く」というアイデアが閃きました。
 ダハブはシャルムからアカバ湾沿いにバスで一時間半ほど北上したところにあり、同じくビーチリゾートですが、物価がずっと安く、バックパッカーの聖地として知られたところです。
 まったくの思いつきですが、行き当たりばったりの方が面白いし、どうせ暇なのでダハブを覗いてみることにしました。

 マイクロバスで長距離バスターミナルへ。
 長距離バスターミナルは、ハリーグ・ッナアマとイル・ミーヤを結ぶ道のちょうど中間にあるのですが、この通りからすぐの旧ターミナルと、通りから離れた新バスターミナルがあります。マイクロバスを降りて旧バスターミナルに行ったのですが、廃墟のようで警官(見た目は兵隊)がたむろしているだけです。シャルムに着いた時は夜中でよくわかっていなかったのですが、旧バスターミナルは降車専用になっているらしいです。
 警官が「通りの最後にある」というのでそちらに向かってみたのですが、その通りというのが砂漠の真ん中をひたすら突っ切っている道で、「最後」なんて地平線の彼方です。本当にそんな場所なのか信じられず、新聞売りに聞いたところ、また「通りの端っこだ」と言います。仕方ないのでついでに新聞を買って歩き始めました。
 ちなみに、新聞は普通1ポンドですが、シャルムでは1.5ポンドが相場で、この新聞売りは通りで車に売っているせいか、4ポンドくらいボッタくりました。

 この通りの最後に、バスターミナルがあります。ちょっと凹みます。

シャルム・ッシェーフの長距離バスターミナルへの道
シャルム・ッシェーフの長距離バスターミナルへの道 posted by (C)ほじょこ

 タクシーが時々声をかけてきますが、「いらん」の一点張り。とはいえ、こんな道を真昼間に歩いていたら、バスターミナルに着く前に日射病で二回くらい死ねそうです。後でこの通りもマイクロバスが通っていると知ったのですが、この時は「気合で歩くかタクシーにボッタくられるか」の厳しい二者択一を迫られていると信じていました。
 突然、軽トラ状の小型保冷車が止まり、声をかけてきます。「どうせロクでもないヤツだろう」と思いつつ、一応「バスターミナルまで行く」と言ってみると、「乗せてやる」と言います。「いくらだ」と聞くと「金はいらん、これはタクシーじゃない」とのお答え。多少不用心ですが、あまりの日光のキツさに参っていたので、お言葉に甘えてみることにしました。
 これがこの旅で最高の思い出の一つになった、サイードとの出会いでした。

 サイードはエジフードという食品会社のトラックドライバー。アスワーン出身で、アレキサンドリアに家族がいて、シャルムに出稼ぎに来ているそうです。本当にバスターミナルまで送ってくれて、一緒にバスを待つことになりました。
 最初の頃は「また面倒なのに気に入られてしまった」と警戒心バリバリだったのですが、物静かで全身からイイ人オーラを放っています。声をかけてくるエジプト人の九割方はセックス&マネーが目的だと思ってよいですが、一割くらいは本当にイイ人がいます。彼はその一割の方でした。
 何度もバスの時間を気にしていると「聞いてきてやる」と自分で聞けるのに窓口まで行ってくれます。おまけに、なんということか、ダハブまでのバスチケットを奢ってくれました。
 さすがに恐縮して何度も断ったのですが、チケットやらお茶やらお菓子やら、次から次へと買ってくれます。エジプト人は、とにかく困っている人は絶対に放っておかず、時に助けすぎるくらい助けてくれて、それがかえって困るくらいなのですが(笑)、サイードのイイヤツぶりは飛びぬけています。お喋りすぎないのも男らしくてカッコイイです。
 バスが到着して「乗る」と言っているのに「まだ大丈夫だ」とお喋りを続けようとし、電話番号を交換した後、バスが発進してから慌てて追いかけてつかまる、という別れ方をしました。

 バスはカイロからのバスと同じく非常に清潔で快適。
 なぜかコリアン女性の四人組が「チケット20ポンドは高い」とゴネていて、わたしに「いくらだ」と聞いてきます。サイードが買ってくれたのでよくわかっていませんでしたが、チケットを見ると20ポンドと書いてあります。確かに聞いていた相場より高いのですが、印刷してあるのでボッタクリとも思えません。
 シャルム-ダハブ間は最終的に三回行き来することになったのですが、バスの値段がその度に違い、この時が一番高かったです。切符に印刷されているので、顔を見てふっかけているわけではなく、何らかの基準で便により何通りかの料金があるようです。

 海沿いではなく、岩砂漠の中をひたすら走ります。シナイ半島の砂漠は日本でイメージする「砂漠」ではなく、赤茶色の岩がゴロゴロして、たまに申し訳程度の草が見える礫砂漠です。起伏が激しく山が続きますが、この山も山というより巨大な岩という感じで、こんなところをラクダで旅した昔の人は尋常ではありません。火星の大地のようです。
 行程の途中で小さな集落を見かけたのですが、当然電気もガスも水道もなく、農業などまったく不可能な地で、一体どうやって暮らしているのか不思議です。子供がラクダに乗って走っていました。

シャルム・ッシェーフからダハブへ
シャルム・ッシェーフからダハブへ posted by (C)ほじょこ

 ダハブ着。
 長距離バスターミナルでは、例によってタクシーの客引きが寄ってきます。シャルム以上にダハブの地理事情に無知だったのですが、マシュラバという所がバックパッカーの沈没エリアらしい、という程度の知識はあったので、「マシュラバまでいくらだ」と聞くと「25ポンド」と言ってきます。
 「アホか」と思い「いらん、歩く」と言うと、どんどん値下げしてきて、最終的に5ポンドになりました。後でわかりましたが、マシュラバ-ダハブ長距離バスターミナル間の現在のタクシー相場は5ポンドです。
 でも、着いていってみると乗り物は軽トラ。トラックの荷台に乗る乗り合いタクシーです。これなら5ポンドでも高いです。ヨーロッパ人の先客に「いくら払った」と聞くと「10ポンド」と言います。軽トラの荷台で10ポンドはボッタクリでしょう。
 ちなみにこの「ハムシー、シュクラン(歩くしいらん)」作戦はかなり有効で、ほぼ確実にタクシーは値下げしてくれますが、諦めて行ってしまうこともありますので、本当に歩く覚悟をもって言った方が良いです。わたしはデフォルト歩くつもりで、すべてを諦めて行動するようにしています。

 マシュラバ着。
 西部劇の舞台みたいな場所で、メキシコかタイのショボいリゾートのようです。とにかく、エジプトの雰囲気ではありません。
 ゆる~いイイ感じの空気が流れていて、一発で気に入りました。ビーチ沿いに出て、ブラブラお散歩します。シャルムのような喧騒もないし、嘘くさい高級リゾートでもないし、みやげ物屋やビーチ沿いのマタアムの客引きはあるものの、カイロやシャルムのようにしつこくありません(値段はちゃんと高い)。

ダハブの路地
ダハブの路地 posted by (C)ほじょこ

 シャルムと同じく、犬が多くて、かつカイロのように荒んだ野良犬ではないのも、エジプトの他の地域とは違います。犬も人間もフレンドリー。穏やかな地に暮らしていると、生き物すべてがグッド・バイブレーションになるのでしょうか。
 ビーチ沿いの遊歩道の橋に寄りかかり、ぼんやり夕暮れを眺めます。静かに打ち寄せる波の向こうには、アラビア半島の山々が見えます。海の向こうはサウジアラビアです。

ダハブの海
ダハブの海 posted by (C)ほじょこ

 ひとしきりビーチ沿いを探検した後、MEYA MEYA(ミーヤミーヤ=絶好調)というマタアムに入ります。ベドウィンスタイルなる地べたに寝転がってくつろげるマタアムです。ドレッドのお兄ちゃんが印象的だったのでここにしました。
 ベジタブルライス(17ポンド)とシャーイ(4ポンド)を頼み、新聞を読んだり海を眺めてひたすらぼんやりすごします。

MEYA MEYAのベジタブルライス
MEYA MEYAのベジタブルライス posted by (C)ほじょこ

 こんな穏やかで心地よい時を過ごせたのは、エジプトに来て初めてです。この世の天国だと思いました。
 さらにアシール・ガワーファ(グワヴァジュース、14ポンド)を頼んで、日が暮れても読書ですごします。シャルムのホテルを引き払ってこなかったのを後悔しました。
 もっと長くいたかったのですが、荷物を置いてきてしまっているので、シャルムに戻らざるを得ません。泣く泣く最終便のバスに乗るべく店を出ようとすると、小銭が足りません。
 結局31.5ポンドだけ払い、「残りの3.5ポンドは明日でいいよ」と言われました。「シャルムに戻ってしまう」と伝えると「じゃあ次に来た時ね」とのお答え。「ありがとう、インターネットに書いておくよ!」とお礼を言って店を去りました。
 この内容で35ポンドはかなり高いですが、ビーチ沿いの観光客向けマタアムの中では安い方です。もちろんシャルムよりは大分安いです。食べ物も美味しかったし、とても居心地が良かったので、観光地価格でも不満はありません。
 ちなみに、安く済まそうと思えばダハブには大衆食堂もあります。ビーチ沿いは観光客向けの店が並んでいる、というだけです。

ダハブのMEYA MEYAからの夕暮れ
ダハブのMEYA MEYAからの夕暮れ posted by (C)ほじょこ

 マシュラバの乗り合いトラック乗り場から長距離バスターミナルへ。タクシーを拾うと、最初15ポンドでしたが、値切って10ポンドに。これでも高いですが、この時点では相場が把握し切れていなくて折れました。

 シャルム行きのバス、15ポンド。来た時は20ポンドだったのに、なぜか安くなっています。

 シャルム着。
 長距離バスターミナルにはベドウィンがたむろしていて、ボッタクリタクシーに引っ張り込もうとします。トラックの荷台で25ポンドとかふざけたことを言っているので、完全拒否です。
 ベドウィンは湾岸系のようで少し違うファッションをしているので、一目でわかります。ダハブもシャルムもベドウィン出身者がかなり多いです。前にDさんが「生まれた時からフスハーだけ喋っている」と言っていた人たちです。
 実際には、街で働いているベドウィンはエジプト方言を話せるし、ベドウィン独特の方言もあるそうなので、「フスハーネイティヴ」というのは正しくないでしょう。ただ、エジプト方言(カイロ方言)よりはフスハーに近い言葉のようですし、エジプト方言は元々彼らの言葉ではないですから、フスハーでコミュニケーションを取る機会が比較的多く、結果的に長じているのかもしれません。
 とりあえず、外国人が接触する街で働く定住ベドウィンは、「ベドウィン」という言葉の純朴な響きと正反対に、野獣のように面倒なヤツらが多いですから、気をつけて下さい。カイロの貧困エリアにおける「子供」という言葉と一緒です。人間だと思ったら負けです。

 「バスターミナルに着いたら電話して」とサイードが言っていたのですが、また送迎させるのも申し訳ないので、大通り沿いまで歩きます。夜なら余裕で歩ける距離です。
 大通りでマイクロバスに乗り込み、イッ=スーゥ・ル=アディーム(オールドマーケット)に戻ります。そこからサイードに電話すると、オールドマーケット内の店にいるとのことで、一緒にお茶することにしました。

 店と言っても、マタアムでもマクハーでもなく、納品先らしいスーパーの前でみんなでお茶を飲みながらダベっているだけです。例によってお茶やらお菓子やら「これでもか」という程奢ってくれます。
 彼はこの辺では知られた顔らしく、友人達とのやり取りから察するに、結構ボス的ポジションにいるようです。確かに兄貴分の風格のある男です。こんな兄貴なら、わたしも子分になってジャムパン買いに走りたいです。
 シャルムでは数年前に爆弾テロがあったのですが(ダハブも同様)、現場はオールドマーケットを出てすぐのところだったそうです。てっきりナアマベイだと思っていたのですが、なぜ敢えてイル=ミーヤを狙ったのでしょう。
 彼は「テロはイスラエルの仕業で、ベドウィンがその手助けをしている」と言います。過激なイスラーム主義者が外国人を狙っている、というのが通説だと思うのですが、エジプトではこの手の「イスラエル陰謀説」が非常に多いです。
 ただ、シャルムもダハブも、イスラエルによる占領から奪還した土地ですから、イスラエルが何らかのパイプによって扇動を図っていたとしても、そんなに驚きません。「陰謀説」もあながち単なるトンデモとは退けられないし、日本人も欧米からの偏向報道に踊らされすぎています。
 また、ベドウィンが何らかの形でテロに関わっている、という可能性も否定は仕切れません。シナイ半島のビーチリゾートは、元々ベドウィンの土地で、一般にエジプト人とベドウィンは仲が良くないです。「ベドウィンはお金を持っているイスラエル人と仲良くしたがる」という話も聞きますし、元々は国境などという観念と無縁な人たちですから、何か関係くらいはあるのかもしれません。
 何故かよくわかりませんが、サイーディー(上エジプト出身者)は特にベドウィンを毛嫌いしている傾向があります。

 サイードが突然「カリーマを知っているか」と聞いてきます。「カリーマって、カリーマ・イル=サムニー?」と尋ねると「そうだ」との答え。前のNHKテレビアラビア語講座の講師で、NHKのアラビア語放送のアナウンサーでもある、あのカリーマ先生です。
 確かに彼女は半分エジプト人ですが、エジプト人からカリーマ先生の話題を振られるとは、想像もしていませんでした。アスワーンでは有名人らしいです。なぜアスワーンなのでしょうか。
 ちなみに、わたしはサインも持っているくらいカリーマ先生大好きっ子です。お美しくて話もおもしろくて、本当に素敵な方です。写真で見ると普通の日本人っぽいのですが、お会いしてみると結構エジプト人ぽかったです。イメージより小柄で可愛らしい感じだったのが印象的です。

 彼の友人の一人が「ゴルブ」という言葉を使い、わたしが「?」という顔をしていると、「قلب heartのアスワーン方言だ」と教えてくれました。カイロ方言ともフスハーとも違う発音です。قがg音に変化するのでしょうか。興味深いです。

 お金もないし迷ったのですが、ダハブのあまりの素晴らしさに、翌日からダハブに移動することを決意。
 高級ビーチリゾートで遊びたいならシャルムですが、そういう志向の日本人は多分エジプトには行かないと思うし、ぼんやりしたいならダハブです。ダハブ、最高! かなり真剣に住みたいです。
 ただ、ダハブもここ数年すごい勢いで開発が進んでいると言いますし、実際あちこちに建設中のホテルがあります。物価についても、シャルムより安いとは言え、カイロなどよりは高いです。おそらく、数年前だったらもっと安くてのどかな場所だったのでしょうが、現在ではかなり普通のリゾートに近くなりつつあります。
 バックパッカーは、ヌエバアとかもっと僻地を目指すようになっているのではないでしょうか。
 ちなみに、シャルムはイタリア人が非常に多く、英語に次いでイタリア語が準公用語なのに対し、ダハブの比較的高級なエリアはロシア人が多いです。ロシアの次はドイツ人ではないかと思います。
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  1. シャルム・ッシェーフからダハブへ|2009/09/28(月) 21:00:35|
  2. シナイ半島の旅

ハリーグ・ッナアマ(ナアマベイ)、グラスボート、オールドマーケット

9/22

 Dさんからの電話で目を覚ます。「朝食を食べよう」とのことでしたが、さっき食べたばかりで眠いし、気が乗りません。一度は「いらない」と言ったのですが、寝ていても仕方ないので、仮眠のみのままノソノソ朝食へ。
 外へ出ると、日差しが痛いです。空気は澄んでいますが、太陽光線のパワーもカイロより一段強力です。
 朝食はフールとエーシとチーズやサラダといった、よくあるホテルの朝食メニュー。あんまりおいしくなかったですが、どのみち食べる気がなかったので、ちょっとつまむだけで終了。
 大通りまで一緒に出て、マイクロバスを拾います。「ハリーグ・ッナアマに行けばなんでもある」と言い残して、彼は仕事で途中で降りてしまいました。
 超マニアックですが、シャルム・ル=ミーヤの大通り近くに、漫画太郎の作品のババァに似ている岩があります。わたしの中で「ババァロック」と名づけました。

シャルム・ッシェーフの画太郎っぽい岩
シャルム・ッシェーフの画太郎っぽい岩 posted by (C)ほじょこ

 ハリーグ・ッナアマ(ナアマベイ)到着。もう、絵に描いて額に入れたような高級ビーチリゾートです。

シャルム・ッシェーフのハードロックカフェ
シャルム・ッシェーフのハードロックカフェ posted by (C)ほじょこ

シャルム・ッシェーフのビーチ
シャルム・ッシェーフのビーチ posted by (C)ほじょこ

 タイのプーケットのような場所を想像していたのですが、まったく比較にならないほどゴージャスです。まわりはヨーロッパ人ばかり。特にイタリア人が多く、英語に次いでイタリア語が公用語のようです。あられもない格好の欧米人に混ざり、時たま湾岸のアラブが完全武装で歩いている、という、面白い風景になっています。
 マリンスポーツに興味がないし、通りを歩いていても殺人的に暑いだけなので(夜は天国)、「どうしたものかなぁ」と、とりあえず海のそばまで行きます。
 海は素晴らしく澄んでいて、テレビでしか見たことのない極彩色の魚が普通に泳いでいます。それを見たら、大して興味のなかったビーチが段々素敵に思えてきました。

シャルム・ッシェーフの海
シャルム・ッシェーフの海 posted by (C)ほじょこ

 グラスボート(底が透明になっていて海の中が見られる船)があると聞いていたので、うろうろしていると、マグディーと名乗るおっちゃんが声をかけてきます。グラスボートもやっているようなので、値段を尋ねると40ポンド。事前に仕入れていた相場価格より安いので、乗ってみることにします。
 ボートの乗客は、エジプト人が多いです。ムスリマは水着になれないし、結果的にグラスボートに流れてきているのでしょう。わたしの他は、サウジの男性が一人と、後は全部エジプト人の家族連れでした。

シャルム・ッシェーフのグラスボート内部
シャルム・ッシェーフのグラスボート内部 posted by (C)ほじょこ



 動画で見ると、海の魚より船のエジプト人のはしゃぎっぷりの方が面白いです。
 ちなみに、このサウジのアラブは、普通にエジプト方言で話していて、会話に不自由ないようでした。エジプト人が聞いたら「なんちゃってエジプト方言」なのかもしれませんが、わたしにはまったく識別つきませんでした。エジプト方言は、映画やテレビの影響でエジプト以外でも通じることが多い、とされていますが、この人が元々エジプト方言を話せるのか、エジプトで仕事でもしていて話せるのかはよくわかりません。

 グラスボートの後、まったくやることもないし、高いので飲食店にも入りたくないので、あてどもなく日陰を求めてさまよいます。
 くつろいでいるおっちゃん二人が声をかけてきたので、お邪魔すると水をおごってくれました。
 ハーリドと名乗るおっちゃんは、わたしがLMアブヤドを勧めても「俺はマルボロしか吸わない」とか言うし、モハンディスーンに家があるとか言ってるし、相当お金持ちな感じです。まぁ、ここで働いていれば、エジプトのどこで稼ぐよりリッチになるのは簡単でしょう。出身はアスワーンのようです。
 一緒に新聞を読んで遊びます。ナイル上流で取水口が建設されているのにイスラエルがかんでいるとか、そんな話をおっちゃん二人とダラダラしました。

 ハーリドさんとバイバイしてから、またウロついていると、例によって男が声をかけてきます。客引きは非常に多いのですが、「お茶しよう」とか言っているし喉も渇いていてしんどいので、ナンパを利用してタダメシでもゲットするかと着いていったら、よくあるオイル屋のキャッチでした。
 でもエアコンきいてて涼しいし、お茶もタダなのでテキトーにダベります。ドバイに両親がいるとのことです。適当に調子を合わせていると、ナンパはダメだとわかったのか、オイルの売り込みが来ます。試すだけならタダなので腕に塗ってもらったら気持ちよかったので、ものは良いのかもしれませんが、1グラム1ポンドとかすごいことを言ってくるし、買う気ゼロです。
 「いらん」と言うと「効果がなかったら、もう一度来たときに一番大きい瓶をあげる」とか言いますが、そんなことでシャルムに戻ってくるバカはいません。断ると「マッサージしてあげる」とか、これまたよくあるパターンに。
 こういう「金かセックスか」が渦巻く風景にはうんざりしますが、考えてみれば世界中どこでも一皮剥けば世の中そんなもんだし、エジプト人は露骨でわかりやすいだけ、むしろマシかもしれません。一方で、金でもセックスでもないモチベーションで助けてくれる人も大勢いるし、すべてが極端なだけで、本質は世界共通な気もします。
 マッサージは丁重にお断りし、無料でお茶とオイルお試しを頂戴し、トンズラしました。

 通りでまたナンパ。これは通例なのですが、この男がイスラエル人でした。
 シャルムにはイスラエルからの観光客が大勢いますが、イスラエル人と接触したのは生まれて初めてでした。
 ただ彼は、英語もアラビア語も片言以下しか喋れず、「何がしたいねん!」とこっちがツッコむくらいコミュニケーションが取れません。彼も歯がゆいようで、手首にはめたホテルのキーを「ここ、ここ」と見せてきます。そんな犬を手なずけるような方法についていく女が、世界中のどこにいるというのでしょうか。
 さすがシオニスト、やることが半端ないです。

 夕方にオールドマーケットに戻ります。昼間はグッタリしているしかないオールドマーケットですが、夜は一変してワンダーランドへと変貌します。

シャルム・ッシェーフのオールドマーケットの夜
シャルム・ッシェーフのオールドマーケットの夜 posted by (C)ほじょこ



 素人らしく「地球の歩き方」情報からナグマト・シーナーゥというシーフードレストランに。
 オールドマーケットの南のゲートを入ってすぐ右に曲がり、ちょっと行った左側です。イル=マスリイーンの並びです。
 店の雰囲気は小奇麗すぎてファミレスみたいで、少し悪い予感。
 昨日食べ損なった(というかこの日の朝ですが)ボリ・マシュウィーを食べます。サラダ、エーシ、タヒーナ、ロズはデフォルトでついていて、40ポンド。

シャルム・ッシェーフのヌグマト・スィーナーッのボリ・マシュウィー
シャルム・ッシェーフのヌグマト・スィーナーッのボリ・マシュウィー posted by (C)ほじょこ

 ぼったくりとまでは言わないですが、内容の割りには高いです。メニューもないのでボラれたかもしれませんが、シャルムという前提なら相場的にあり得る価格なので、文句は言いませんでした。
 魚がないことさえ受け入れるなら、イル=マスリイーンの方が値段も味もずっと良いです。

 暇でぶらぶらして、ホテル近くのショッピングモールに入っているカフェでアシール・ライムーンを飲む。10ポンド! しかも異様に甘くて最悪。
 この店にはアイスクリームもあったのですが、25ポンドという凄まじいお値段でした。

 シャルムの海はキレイだし、お金さえあればゴージャスに遊べますが、小奇麗さを求めていない貧乏旅行者にはあまり楽しい場所ではありません。帝国主義者どもの退廃ぶりにも、客引きのしつこさにもグッタリします。
 この日一日の経験の中では、ハーリドおじさんとのおしゃべりが一番楽しかったです。
 部屋に戻って寝転がりながらホテルで勉強しました。勉強は心が落ち着きます。
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  1. ハリーグ・ッナアマ(ナアマベイ)、グラスボート、オールドマーケット|2009/09/28(月) 05:11:19|
  2. シナイ半島の旅

シャルム・ッシェーフ

 旅に出ていて更新できませんでした。すいません。旅行中の日記を順次アップしていきます。

9/21

 ラマダーン明けのイード・ル=フィトルで暇なので(日本のお正月状態)、D氏の誘いに乗ってシャルム・イッ=シェーフに行くことにしました。
 シャルム・イッ=シェーフはシナイ半島南端のビーチリゾート。カイロからはバスで7時間ほどです。
 例によって計画性もなく、とりあえず必要そうなものをバッグに詰めて、トルゴマーンの長距離バスターミナルに向かいます。途中でサンダルが壊れるトラブルがあり、2ポンドでおじさんに直してもらいつつトルゴマーン着。
 長距離バスターミナルということで、薄汚い場所を想像していたのですが、ショッピングモールと一体化した新しくて近代的な建物でした。新宿駅西口のバスターミナルの百倍綺麗です。


トルゴマーン長距離バスターミナル内部
トルゴマーン長距離バスターミナル内部 posted by (C)ほじょこ

 シャルムへのバスは一日に何便も出ているのですが、イード中ということもあってか、当日乗れるのは19:30の便のみ。3時間くらい待つ羽目になって迷ったのですが、引き返すのも馬鹿らしいので、モールをうろついたり勉強したりして暇をつぶしました。ファラーフィルのサンドイッチ(3.5ポンド)を食べる。

 バスの中はほとんど欧米系の観光客。アメリカ人がやかましいです。隣のエジプト人青年が英語の本を読んでいて、わたしも勉強していたのですが、すぐに消灯されてしまい、青年もチッと舌打ちしてあとはナッツをポリポリしていました。
 途中でトイレが壊れるトラブル発生。車内に臭い匂いが立ち込めて、乗客一同かなりバッド。こういう時は、決して黙って我慢したりしないエジプト人が頼もしいです。「臭い、なんとかしろ」と騒ぎ立てた結果、途中で砂漠の真ん中でバス会社の関係らしいエンジニアが応援に駆けつけ、何とか解決。
 7時間の行程中、何度もゲートで止められ、そのたびに全員のパスポートかIDを確認されます。「シャルムまで20キロ」の看板が見えたところで、アメリカ人が歓声をあげていました。

 夜中の3時すぎにシャルム・イッ=シェーフ着。例によってタクシーの客引きが寄ってきますが、当然スルー。
 Dさんに電話したのですが、もう寝ているのか返答なし。完全に想定内なので、少しも不安になりません。基本、一人ですべてやらないとだめです。むしろ気楽で楽チンです。
 とはいえ、初めての土地で真夜中、砂漠のど真ん中の一本道に取り残されて、さすがにちょっと心細いです。真っ暗な中をひたすらハイウェイだけが続いていて、飛行場みたいです。
 大通りまで歩きながら「どうしたもんかなぁ」と考えていると、タクシーが寄ってきたので「いくら?」と聞くと、「25ポンド」とあり得ない価格提示。「いらん」と言うと20ポンドでいいと言いますし、シャルムでは相場なのかも、と少し不安になりますが「歩くからいらん」と言うと「町まで5キロだ」と教えて去っていきました。
 夜で涼しいし5キロなら歩くか、と思ったのですが、万が一道に迷って夜が明けたりしたらシャレになりません。大通り沿いに立っている人がいたので尋ねたところ、マイクロバスが通るとのこと。
 待っているとマイクロバスが来たので「シャルム・イル=ミーヤ行く?」と尋ねると「シャルムのどこや」と笑われます。もっともですが、地名も全然知らないし、自分でもどこに行くかわかっていないので、答えようがありません。「オールドマーケット?」と言うので、それが何なのかわからないまま「アイワアイワ」で乗り込みます。
 マイクロバス3ポンド。驚きの高値ですが、ぼったくりではなく相場です。正確には、シャルムとハリーグ・ッナアマ間が3ポンドで、バスターミナルまでなら1ポンドで乗れることもある、と後で知ったのですが、とにかくカイロやアレキサンドリアではあり得ない値段です。

 シャルム・イッ=シェーフは、大雑把に北のハリーグ・ッナアマ(ナアマベイ)と南のシャルム市街の二つの地区から構成されていて、北がお高い高級リゾートということは知っていました。長距離バスターミナルは、二つの地区のちょうど真ん中あたりにあります。
 ちなみに、この真ん中のエリアは観光産業などで働くジモピーの住宅地になっていて、砂漠の真ん中に突然巨大なガーマがあり、なかなか壮観です。
 後日撮影したシャルムのガーマ。

シャルム・ッシェーフのガーマ
シャルム・ッシェーフのガーマ posted by (C)ほじょこ

 イッ=スーゥ・ル=アディーム(オールドマーケット)は南の市街の中心にあるスーク。とはいえ、カイロで「スーク」と言われて連想するような場所では全然なく、完全に観光地です。後になってナアマベイよりは大分薄汚いとわかりましたが、いわゆるスークより圧倒的に綺麗なアミューズメント拠点です。
 時間的にほとんどの店が閉まっていたのですが、一通り回った後、結局イッ=スーゥ・ル=アディームの南ゲート入ってすぐ右にあるイル=マスリイーンというマタアムに入ります。バスで何も食べなかったので結構飢えていて、「シャルムだから魚がおいしいだろう」と「ボリ・マシュウィー、ボリ・マシュウィー」と歌のように口ずさむ勢いでウキウキしていたところ、「魚はない」と衝撃の返答。
 ションボリしたのですが、先に持ってきてくれたサラダが新鮮でおいしそうです。これは良いマタアムの証拠。店員さんの勧めで、やむなく鳥のグリルとロズ・ビ=キブダを頼みました。
 結果としては、大正解。暇な時間だったせいか出てくるのも早いし、おいしいし、アイマードعيمادというおっちゃんがとても親切で、わたしの下手糞なナイフさばきを見かねてか、肉を切り分けてくれたりしました。
 お値段23ポンド。大衆食堂よりはレベルの高いマタアムであることを考えると、全然高くないです。カイロなら普通くらいですが、シャルムという前提なら激安と言っても良いです。イル=マスリイーン、超おすすめです。オールドマーケットに行くならイル=マスリイーン!
 後日撮影したオールドマーケットとイル=マスリイーンの写真です。

シャルム・ッシェーフのオールドマーケット入り口
シャルム・ッシェーフのオールドマーケット入り口 posted by (C)ほじょこ

シャルム・ッシェーフのマタアム・イル=マスリイーン
シャルム・ッシェーフのマタアム・イル=マスリイーン posted by (C)ほじょこ

 食事中にD氏から電話があり、スークまで迎えに来てくれます。彼が仕事で宿泊しているSANDY HOTELという宿にチェックイン。150ポンド(朝食つき)。安くないですが、シャルムでエアコンもついているということでは、かなり安めだと思います。シャルムにはいわゆる「安宿」はほぼないんじゃないのではないでしょうか。すべてのホテルが中級以上、という印象です。
 部屋はお値段相応程度で、トイレットペーパーがあったのが感動的でした。タオルやシャンプーはなかったですが、タオルは頼んだら持ってきてくれました。
 驚いたのが、レセプションの脇に黒いラブラドールレトリバーがいたこと。エジプトでは宗教上の理由から、飼い犬は非常に少ないですし、野良犬は大量にいますが、どれも薄汚くてやる気がなく、時々危険な生き物です。人懐こくて賢いラブラドールなんて、初めて見ました。ヨーロッパのようです。犬の名前はウォッシ。多分watchのことで、エジプト式にchをshで発音しているのでしょう。
 夜明けすぎに就寝。
 ちなみに、Dさんは仕事で来ているだけなので、結局このときを含めて数回顔を合わせただけで、まったく行動を供にしませんでした。

シャルム・ッシェーフのサンディ・ホテル中庭
シャルム・ッシェーフのサンディ・ホテル中庭 posted by (C)ほじょこ
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  1. シャルム・ッシェーフ|2009/09/28(月) 04:37:02|
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