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エルバラダイ帰国を巡る国内外の反応

エルバラダイ帰国を巡る国内外の反応
イル=バラーダイーの支持者へのメッセージ「我々は自由と誇りある生活を回復できる」

 「あなたがたは、自由と社会的公正による民主的エジプトの希望です」。2011年共和国大統領選挙立候補を支持するフェイスブックのグループのメンバーに向けたメッセージで、このようにムハンマド・イル=バラーダイー氏は語った。
 グループのメンバーには、一昨日カイロ空港へ歓迎に参加した者もいて、国際原子力機関前事務総長イル=バラーダイーは謝辞を述べた。六万八千に達するグループへのメッセージで、イル=バラーダイーは、彼の兄弟アリー・イル=バラーダイー氏は「皆さんの活動と関心により、立候補と選挙における全エジプト大衆の権利を阻む憲法・法律の障害を乗り越え、憲法を改正し、すべてのエジプト人が自由と誇りある生活における権利を回復できる、と確信している」。
 イル=バラーダイーは、空港を足早に去り出迎えの人たちと長い時間を過ごせなかったことについて、遺憾の意を表した。
 一方、サイトのグループは、イル=バラーダイー帰国を記念し冊子を百万部印刷した。「イル=バラーダイー エジプトの男、その希望」と題されたこの本には、イル=バラーダイー批判者への批判も含まれ、彼らを「無知」と表し、国際原子力機関での任にあった彼の立場を擁護している。
 イル=バラーダイーの生地アブヤール村の人々は、彼が村の訪問を取りやめたことに対し、不快感を表した。彼に立候補の取りやめを勧める者もいる一方、政治的有力者の何人かは、イル=バラーダイーの帰国と大統領選への立候補を支持している。人民議会議員で尊厳党の大統領選候補ハムディーン・サバーヒーは「イル=バラーダイーの帰国と大統領職への立候補を支持する」と述べた。
 精神科医たちはイル=バラーダイーの人格を分析し、注意深く、偏執的で、見識を備え、同僚を信頼し、人気を気にしない、とした。イル=アズハル大学の精神医学教授ハーシム・バフリーは、彼について「自立し、論理的に考える能力を備え、仲間と共に働くことを好む」と述べた。
 他方、アメリカとイギリスのメディアは、イル=バラーダイーのカイロへの帰還に注目し、ムバーラク大統領を前に「可能性ある候補」歓迎に対する大衆の反応を観察している。イル=バラーダイーにとっての最初の障害は、エジプト憲法が独立系候補に課している「法的制限」だとした。
 アメリカのフォーリン・ポリシー誌は、イル=バラーダイーの帰国はムバーラク大統領体制にとって「頭痛の種」であり、大統領選立候補を巡るイル=バラーダイーの発言は、とりわけ選挙の公正性と憲法改正をイル=バラーダイーが要求した今では、大統領の計画を阻む「爆弾」に等しい、とした。同誌は、イル=バラーダイーは、当局による妨害と、現体制が反対派を封じるために長きにわたって築いてきた法的制限に直面している、と述べ、イル=バラーダイーがエジプトにおいて果たしうる役割については、不明瞭である、とした。
 一方、イギリスのガーディアン紙は、イル=バラーダイーの人生の次なる段階は、政党に属さず公式の候補ではない人物による、素晴らしい物語の最後の章に等しい、と述べた。十二年以上にわたる外交活動を経て、彼は家族とくつろぎたいはずなのに、反体制派のリーダーへと変貌した、と表した。
«البرادعى» فى رسالة لمؤيديه: «نستطيع استرداد الحرية والحياة الكريمة»

 文中ابن مصر(エジプトの息子)という表現がありますが、ちょうど「日本男児」ならぬ「エジプト男児」なイメージです。ابن البلدとかも言います。
 「ホンマもんのエジプト人や!」なニュアンスでマスリー・マスリーとか言うこともありますが、これは悪い意味でも使いますね。「ホンマあいつはベタベタのエジプト人でどうしようもないわ」みたいな。外国人はこういう使い方をしない方が良いと思いますけれど(笑)。
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  1. エルバラダイ帰国を巡る国内外の反応|2010/02/21(日) 20:08:29|
  2. 新聞・メディア

エルバラダイ歓迎で「四月六日」青年運動から二名の逮捕者

エルバラダイ歓迎で「四月六日」青年から二名の逮捕者
三方面がカイロ空港でイル=バラーダイーを待つ 群集に対し治安上の警戒

 国際原子力機関前事務局長ムハンマド・イル=バラーダイーが、明日金曜日の午後カイロ空港に到着する。「治安、政府、市民」の三方面が彼を出迎え、治安機関は、空港での出迎えにおけるあらゆる違法な集まり対して警戒している。情報筋によると、外務省が出迎えの代表にあたるが、「四月六日」運動の多くのメンバーが彼への支援を通りで訴えようとし、彼を支持するスローガンを書き空港へ皆で出迎えに行くことを促したため、治安当局が二名を逮捕し、取調べが行われている。
 カイロ国際空港の責任者筋は昨日、明日金曜日にオーストリアから帰国するイル=バラーダイー出迎えの意思を表明している諸団体は、法律違反、乗客妨害、乗客の外出妨害、または空港施設損害にあたる、と警告し、違反者には厳しくあたる、と強調した。イル=バラーダイーが出てくるホールは分かっていないが、「前回の旅行からして、おそらく三番ホールから出てくるだろう。多分VIPホールからで、VIPホール入場許可証を持っているだろうから」。
 ギザ治安当局は、「四月六日」青年運動オーガナイザーのアフマド・マーヒル、同運動アムル・アリーを、イル=バラーダイーを支持する表現を壁に書いていて、イル=アグーザ地区で昨日未明に逮捕した。治安筋によると、彼らの容疑は「通行妨害、公共物損壊、印刷物配布」である。
 「四月六日」運動はメンバー逮捕を糾弾する声明を出し、政治活動員の逮捕がイル=バラーダイー支持と彼を歓迎する意志を阻むことはない、と確言した。イル=ガド党元党首アイマン・ヌール氏は、検事長に対し、マーヒルとアリー逮捕について内務省指導部は法的根拠を欠いている、と届け出た。
٣ جهات تنتظر «البرادعى» فى مطار القاهرة.. وتحذيرات أمنية من التجمعات

 「四月六日」青年運動は、حركة شباب 6 ابريل - ويكيبيدياによると、フェイスブックから始まった活動で、2009年4月6日のゼネスト(失敗に終わる)に呼応したもののようです。
 フェイスブックのページ:Facebook | شباب 6 ابريل .. APRIL 6 YOUTH MOVEMENT
 「四月六日」ラジオ:راديو 6 أبريل - من نحن؟
 公式ブログ?:شباب 6 ابريل

 アイマン・ヌールは、前回の大統領選でイル=ガド(明日)党から立候補した人物。元は新ワフド党に所属し、反体制とはいえ親米派でアメリカとパイプを持っているらしいです。新ワフド党も支持基盤は地主層。

 「四月六日」青年運動について調べていたら、カッコイイ動画を見つけました。顔出ししてコレを言っているのは根性あります。訛りのあまりない綺麗な英語(だと思う)。

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  1. エルバラダイ歓迎で「四月六日」青年運動から二名の逮捕者|2010/02/18(木) 19:05:52|
  2. 新聞・メディア

アムル・ムーサー、エジプト大統領選および諸問題を語る

アムル・ムーサー ロングインタビュー1
アムル・ムーサー ロングインタビュー1 posted by (C)ほじょこ

 エジプトで大変人気があり、大統領候補とも囁かれるアラブ連盟事務総長アムル・ムーサーのロングインタビューがありました。
 法制度上の制限等から、このままでは事実上現職再選もしくは「世襲」となる可能性が高いのですが、エジプト国民の多くは現状を快くは思っておらず、先日「条件付出馬」を表明したイル=バラーダイー(エルバラダイ)氏と並んで、アムル・ムーサーも「刺客」候補の一人となっています。
 周囲でそれとなく聞いた印象では、アムル・ムーサーはイル=バラーダイーより人気がある様子。あまりに人気があるので、危険視されて、アラブ連盟事務総長という「名誉職」に飛ばされているわけです(名誉職は言いすぎかもしれませんが、現在のアラブ連盟は名前のような勇ましいパワーは持っていない)。

 まず、前編の見出しから。

本誌とのロングインタビューで立場を決する
アムル・ムーサー:大統領職への道は「閉ざされている」

七十六条は立候補を望む者への非常な制約
七十七条は生活上の伝統慣習に反し、大統領職に任期制限があるのは極めて妥当
選挙に対し最大限の司法監視が入れることに賛成
国際監視については欠点も問題も見当たらない
わたしが与党の下で立候補するのは安易であり政治的日和見主義だ

アラブ連盟については、一度ならず辞表提出の手前まで行ったが、連盟の存在に怖れを抱いた
少なくとも一年半後にはアラブ連盟を去り、以後は、発展の道において社会が頼れる人間の一人となることができる
エジプト社会は大変な抑圧状態にある。教育は、国内的にも国外的にも必要もないことを押し付けている

ムバーラク大統領は立候補するだろうと考えている。その場合、選挙と候補者のシナリオは、立候補しなかった場合とは異なるものになるだろう
(ガマール・ムバーラクがその父の存命中に大統領選に立候補することは自然なことか?という問いに対し)我々は、単に目撃者であるだけではすまないことだろう

憲法改正を語るすべての者を、敵として扱うべきではない

いかなる社会においても、我々は国民と法を畏れなければならない。もし国民が大声で主張し集まっていないのなら、なぜこれを畏れるのか。もし法に小さな穴もないなら、なぜこれを畏れるのか(訳注:実際には国民は不満を抱え主張していおり、法は穴だらけ、の意)

イル=バラーダイー(エルバラダイ)は、彼のやり方で立場を表したが、この方法で攻撃するのは正しくない。わたしは、わたしを脅迫する者に言う。「一人を脅迫すれば(テロ攻撃を加えれば)、二人目が現れるし、三人目が続く」
アフマド・ザウィール(訳注:化学者、1999年ノーベル化学賞受賞)の力と学問を役立てたいと、どれほど願っていることか。ムスタファー・イッ=サイード(訳注:エジプトの化学者)についても、彼ら二人のような学問と栄光ある他の人物についても同様だ
政府は議会に対し、質問も許さないままだ。できるのかどうかもわからない。我々は「語る者は成し遂げる」という考え方を持つようになった

 憲法七十六条は、2005年の大統領選挙時に改正され、それまでの信任投票方式から、一応複数候補が立候補できるようになったものの、少数政党・独立系候補に非常に厳しい内容。
 政党系候補については、全議員の5%以上の支持がないといけないのですが、野党議員を全部合わせても5%に満たず(イスラーム系無所属を合計すれば越えられるが、超超党派の団結が必要)、事実上与党国民民主党しか候補を出せません(2005年選挙では特例として公認政党からは議席数に限らず候補者が出せた)。
 独立系候補については、上下院および地方議会から250名以上の支持(うち下院議員から65名以上)がないといけませんが、これらの議会の全議員数は3859名で、政党系候補以上の難関。下院の選挙で選ばれる議員数は444人なので、14%以上の支持が必要ということで、政党系候補の更に三倍ハードルが高くなっています。
 もちろん、重要なのは5%とか14%とかいう数字ではありません。大統領選出馬に一定の制限がかけられるのは当然ですし、「普通の議会」で議員の5%というなら十分マトモな規定でしょうが、要するに5%とか言う以前に、母数になっている議員の選ばれ方が既に怪しい、ということです。

 一方、憲法七十七条は、大統領の任期(六年)と再選について規定したもので、ここには「再選可能」との記述があるだけです。つまり、再選回数に制限がないわけで、六年ごとの「選挙(以前は信任投票)」をクリアすれば、永遠に再選ループを続けられる、という仕組みです。

 この両項目についてアムル・ムーサーの語る下りは次の通り。

--七十六条と七十七条についての議論があるが、これについての意見は?
 現行憲法の第七十六条についてお尋ねなら、これは立候補したい者にとって究極の制限だ、と言おう。この重要な職に進もうという者に対しては、基本的な基準と制限がなければならないが、必要なものと反対の結果に導くようなものではいけないし、門戸を閉ざすものでもあってはならない。一方、七十七条についてだが、生活上の伝統慣習では、世代交代、責任の委譲、国の変化、世代から世代への受け継ぎが行われるものだ。このことから、国の大統領職および他の多くの地位に時間的な枠組み(訳注:再選制限)があるのは、至って合理的なことだ。これは変化の伝統慣習であり、フランス、アメリカ、イギリス、インド、ブラジル、南アフリカ等々に例を見ることができる。これらの国は、生活上の様々な面で進歩し大きな成果をあげた。その原因はたくさんあるが、わたしは開かれた民主的システムとしておきたい。

 イル=バラーダイー(エルバラダイ)の「条件付き出馬」について。

--イル=バラーダイー氏の立場と大統領選出馬のためにあげた条件について、どうコメントされますか。特に、彼があなた同様、いかなる政党にも属さず独立のままであることを欲していることについて。
 イル=バラーダイーは、彼のやり方で立場を表したが、この方法で攻撃するのは正しくない。この立場に賛成するにせよ反対するにせよ、公職についての彼の意向を尊重すべきであり、このことを主題として議論しなければならない。

 ちなみに、イル=バラーダイー氏とアムル・ムーサーは、遠い親戚関係にあるそうです。

 アムル・ムーサー自身の出馬について。

--あなたの言葉を、現在の情勢では、大統領選に出馬することは現実的に不可能だ、と理解しましたが。
 わたしは現実的人間であり、夢想家ではない。また健全な政治は、単なる理論や知名度ではなく、熱意の上に打ち立てられなければならない。わたしは、お陰様で、知名度については申し分なく、立候補宣言でその成果を摘み取ることもできる。質問は、それは可能か、ということだろうか。それなら答えは、道は閉ざされている、というものだ。

アムル・ムーサー ロングインタビュー2
アムル・ムーサー ロングインタビュー2 posted by (C)ほじょこ

 続いて、後半の見出し。

アラブ世界は「分裂し疲弊し弱体化している」と素描する一方、アムル・ムーサーは言う「民族が何だ、アラブが何だ」という者達は、「紙とペン」を共有する利益を軽んじている(訳注:アラブとして統一的な言動を取ることのメリットを無視している、の意)

アラブ連盟の活動を麻痺させようとする勢力がいる・・なぜなら、全体としてのアラブという立場が、彼らにとって「都合が悪い」からだ
わたしは「アラブ民族主義」について、情感を込めたり、喝采を送るような意味では語らない・・アラブ諸国はすべて、その「全体としての」問題について語らなければならない
現状では、イスラエルとのいかなる仲裁も無駄である、と考えている・・トルコの役割に悩まされてはいない

中東は変革に瀕している。トルコのように回帰してくる勢力がある(訳注:一度は中東世界の枠組みから離れつつあったが、再び仲間となりつつある、の意)・・また、イランのように上昇しているものがある。一方、アラブ世界は役割において弱体化している

「政治ゲーム」は、最初の頁から最後まで、完全にその役割を終えた

和平プロセルに期限を設けなかった点で、また国連を脇に置いてしまったこと、「公正なる仲介」なるものを受け入れてしまった(訳注:括弧付きの「公正なる仲介」は、暗黙裡にアメリカを指している)点において、我々は誤った。

エジプト国民、そしてエジプトの政治家として、わたしは言う。「もしイスラエルに核プログラムがあるなら・・一方でイランにも可能性があるなら・・エジプトの核プログラムもまた、急がれねばならない

パレスチナ問題には腐敗がある・・パレスチナ人は、彼らの権力闘争において、責任の一端を負っている
アラブ・イランの対話の枠組みが必要だ・・これのどこに危険があるのか理解できない
イランとは、地理的関係からいって、どちらからも脅迫を加えることなく、共存というファクターに重点を置いていかなければならない
エジプト・アルジェリア間の問題が「飛び出して」しまった(訳注:潜在的だった問題が顕在化した、の意)・・無関心と脆弱さが、我々の社会の一つの特色なっていまったと感じる

 「エジプトも核プログラムを急ぐべき」というのは、もちろん核兵器開発のことではなく、「核の平和利用」の意です。

(…)もちろん平和的な枠組みにおいてだが、核についての活動を開始すべきだ。我々は、この大変デリケートで、また社会の学問的発展と大いに関係ある問題について、完璧に出遅れてしまっている。
--それでは、エジプトの核活動開始の決定は正しい、と考えているのですか?
 もちろんだ。この件についてのアラブ連合の決定を見て欲しい。我々は既に、アラブ諸国全体に対し、原子力の研究の学校への導入、原子力の平和利用の進展、社会的要請に応えるための原子力利用を求めているおり、ヨルダンおよびUAEは実際の活動を熱意をもって開始している。これは、彼らの関心を将来的に彼らの国へと届けるためのものだ。

 もちろん「核の平和利用」というのは一般に、単なるエネルギー政策ではなく軍事的・政治的プレゼンスのためのものでしょうが、中東のパワーバランスを考えると、イランやエジプトが核技術を持つことは、マイナスではないと、個人的には思っています。
 少なくとも、エジプトは米国に抗って核の軍事転用を進めるところへ暴走することはあり得ないでしょうし、イランも、米国が余計な刺激を与えなければ、一部のシオニストが懸念を表明しているように、イスラエルに対して先制攻撃を仕掛けるような真似はしないのではないかと思っています。
 ただ、エジプトにとっての最大の懸念の一つ、パレスチナ問題について言うなら、軍事的プレゼンス云々より、米国の政策を内部から少しずつ変えていくことを、アラブ諸国全体およびイスラーム社会全体として、試みていくことが重要だ、と考えていますが・・・。

追記:
 この記事はフスハーで書かれていますが、ところどころにアーンミーヤが混ざっています。インタビューそのものは、「文化人の言葉」つまりフスハーとアーンミーヤの中間形態で行われたのでは、と推測されますが、基本的にはフスハーに「翻訳」され、不自然になるところはアーンミーヤの表現を生かしているようです。
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  1. アムル・ムーサー、エジプト大統領選および諸問題を語る|2009/12/28(月) 03:55:09|
  2. 新聞・メディア

エルバラダイ大統領

 イル=バラーダイー(エルバラダイ)氏の、エジプト大統領選への「条件付出馬」に関して、短いですがとても面白い記事がありました。
 彼の「条件」とは、「公正な選挙が行われること」「独立系候補を認めること」等、「世襲」のための法制度が固められた現状にあっては、はっきり口にしなくても誰もが不可能とわかっているものです。つまり、彼の「条件付出馬」とは、それ自体が痛烈な政府批判になっているのですが、当然のことながら、政府国民民主党からは、様々な批判がぶつけられています。

イル=バラーダイー大統領
イル=バラーダイー大統領 posted by (C)ほじょこ

イル=バラーダイー大統領

 とうとうイル=バラーダイーが、暗黙のうちに、来る大統領選挙への不出馬を表明した。確かに、彼の口からはそう言っていない。ただ彼の知性と魂からそう言ったのだ。公正な選挙を望むことを理由に、はっきりと実現不可能と知りながら、選挙の実施法を改革することを条件とした時に。今や、問いはこうだ。どうして我々が、公正な選挙を行うというのか? この男は夢見ているのか、勘違いしているのか、野望を抱いているのか。重要なのは、彼が多くの条件で不可能を要求し、そこに最後の条件、つまり、ナイル川をアレキサンドリアからアスワーンに向けて流す、という条件を付け忘れたということで、誰もが彼が出馬しないということを確信している。興味深いのは、イル=バラーダイーの条件ではなく、各紙の編集長たちが行った彼への攻撃と、彼の条件および誰もが疑わないその尊敬すべき人間性への嘲笑だ。ここで、問いはこうなる。もしイル=バラーダイーが直接出てきて大統領選に出馬しない、と言っていたら、同じだけの中傷と詮索があっただろうか? 国際原子力機関のような国際機関で、華々しい役職に辿り着き、その任を終えた後で、彼が生まれ育ち、役立つ男として世界に送り出してくれた国の選挙に立候補することを考えた時、イル=バラーダイー氏は誤ったのだろうか。なぜ我々は、我々の象徴を中傷しようとするのか。なぜ我々は、我が国における、この世界的に尊敬される人物を生み出した好意をないがしろにしようとするのか。編集長の一人の主張が行ったように、彼をスウェーデン国籍に結びつけようとしたりするのか。エジプト人たちよ、君たちには驚かされる。少し違うかもしれないが、もしクフ王がもう一度生命を吹き込まれて、大統領選に出馬したとしたら、彼からエジプト国籍を引き剥がして、ピラミッドから放り出すのか? 諸兄よ、彼の言ったことが、単なる彼の望みであるなら、その望みが困難で実現に程遠いことは我々が皆知っていることなのだから、こんな大騒ぎは必要ないはずだ。彼は願い、我々は夢見、彼と彼の試みを誇りとし、アッラーにことを預け、助けを待つ。最後に、わたし自身はイル=バラーダイーの擁立に賛成していない。だがまた、庶民の名の下に語り、庶民は彼の課した条件を受け入れないと言う者たちの誰が出てくるのであれ、わたしには困難なことだ。最後の問いは、この兄弟に対する、おかしくて泣かせるものだ。あなたはいつから、庶民たちを気にかけるようになったのか? 誰が、庶民の名の下に語る資格をあなたに与えたのか? その地位には、選挙によって着いたのか、それとも当局による指名で? その当局は、彼ら庶民を味方せずにやって来たのだが。

 翻訳の拙さを無粋な説明で補っておきます。
 「どうして我々が、公正な選挙を行うというのか?」というのは勿論、そんなことは不可能、との意。
 「編集長たち」と言われているのは、新聞の編集長のことですが、暗黙的に、イル=バラーダイーを批判している政府系新聞の編集者を指しています。「彼の言ったことがただの望みであるなら、そんな口やかましく騒ぎ立てる必要がどこにある?」という皮肉です。
 「スウェーデン国籍」云々というのは、彼がスウェーデン国籍を持つ二重国籍者だ、という、政府系新聞による中傷のこと。イル=バラーダイーを生み出したのは、他ならぬ我らが祖国なのに、その祖国の名誉まで傷つけるのか、との意。
 イル=バラーダイーの擁立に賛成しかねないながら、同時に「庶民の名の下に語る」者たちにはもっと賛成できない、と言っています。彼らは「国民はイル=バラーダイーの条件などのめない」と主張しているのですが、そう言っているのはもちろん、「国民」ではありません(笑)。
 「あなたはいつから、庶民たちを気にかけるようになったのか?」。もちろん、今でも気にかけていない、という皮肉。
 そして、選挙についてのイル=バラーダイーの発言を批判している者たちは、選挙でその責に着いた訳ではなく、皆政府の指名で「天下り」(?)して来ているだけ、ということです。

関連記事:
エジプトの超党派的改革運動「キファーヤ」、イル=バラーダイー(エルバラダイ)氏の「条件付出馬」を支持
イル=バラーダイー(エルバラダイ)、大統領選での政党擁立を否定、憲法改正を訴える
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  1. エルバラダイ大統領|2009/12/22(火) 05:56:25|
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エジプトの超党派的改革運動「キファーヤ」、イル=バラーダイー(エルバラダイ)氏の「条件付出馬」を支持

 エジプトの超党派的改革運動「キファーヤ」が、共和国大統領選挙へのイル=バラーダイー(エルバラダイ)氏の「条件付出馬」と憲法改正の呼びかけを支持しています。

キファーヤの記事
キファーヤの記事 posted by (C)ほじょこ

「キファーヤ」、結成五周年デモでイル=バラーダイー氏を賞賛
同運動はエジプト大統領選出計画を提示、キンディール「キファーヤは不死鳥のようだ」

 変革のためのエジプト運動「キファーヤ」のメンバー約200名は昨日、最高裁判所前で、同運動の最初のデモから五年を記念誌、デモを行った。デモ隊は「続任にノー、世襲にノー」のプラカードを掲げ、運動指導者はこれを「運動の回帰と新たなる誕生」とした。運動の組織長アブドゥルハリーム・キンディールは、彼の言う「次の時代の計画」が、500名の一般人を含む「エジプト大衆のための総合組織」の組織固めを始め、続けて「エジプトの為の統一首長」を選出、続けて計画の最終段階として、この首長の承認のために組織的に圧力をかけていく、と述べた。
 デモ隊は、「我々はイル=バラーダイーの時代の祖国を歓迎する」と大書きされたプラカードを掲げ、国際原子力機関前事務総長ムハンマド・イル=バラーダイー氏に「偉大なるイル=バラーダイーよ、我らと共に、イル=バラーダイーよ、決起の時よ、不正に対し、不義に対し」と特別な歓声を上げた。フェイスブックでのイル=バラーダイーに賛成するグループの一つの創設者で、詩人のユースフ・アブドゥルラフマン・イル=カルダーウィーは、反体制の詩を読んだ。キンディールはイル=バラーダイーに謝意を表し、「現体制の元では選挙出馬しない、という彼の立場に感謝する。彼の憲法改正の呼びかけを歓迎する。我々は、憲法改正のために彼と共同戦線を張る用意があり、また大衆と共に改正に向けて活動する用意がある、との彼の言葉を歓迎する」と述べた。
 デモには、アフマド・ブハーゥ・シャアバーン、アブドゥルジャリール・ムスタファー、フダー・ヒジャージー、故アブドゥルワッハーブ・イル=ムシーリーの未亡人、といった、長い間行動していなかった運動指導者が多く参加した。アフマド・ブハーゥ・シャアバーンは、「続けざまに起きる出来事」と「次の段階の危険性」が、メンバーと「キファーヤ」組織を、路上への再回帰に向けた集結と一致へ後押しした、と述べた。キンディールは、デモ行進の後、多くの衛星放送が撮影しているのを意識し、こう述べた。「我々は今日、終結した。『キファーヤ』は死んだ、と言ったすべての人へのメッセージはこうだ。彼らは、彼らの怒りにより死んだのだ。我々の運動は、灰から蘇る不死鳥のようだ。我々は我々の約束を続け、戦い、声を上げる。続任にノー、世襲にノー」。


 كفايةキファーヤとは、الحركة المصرية من أجل التغيير‎「変革のためのエジプト運動」の俗称で、「十分」「もう沢山」という意味。ムバーラク政権と世襲への反対を訴える草の根グループです。2005年の大統領選で盛り上がったものの、最近沈黙していたものが、イル=バラーダイー氏の発言から、再度息を吹き返したきたようです。
 ナセル主義者、イスラーム主義者、リベラル、左派などの国際的な幅広い層の参加した運動で、中心的な活動家アブドゥルハリーム・キンディールは、ナセル主義の新聞アル=アラビー紙の編集者。「シカゴ」「ヤコビアン・ビルディング」の作家アラーゥ・イル=アスワーニーも参加しています。

関連記事:
イル=バラーダイー(エルバラダイ)、大統領選での政党擁立を否定、憲法改正を訴える

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  1. エジプトの超党派的改革運動「キファーヤ」、イル=バラーダイー(エルバラダイ)氏の「条件付出馬」を支持|2009/12/16(水) 05:04:40|
  2. 新聞・メディア

イル=バラーダイー(エルバラダイ)、大統領選での政党擁立を否定、憲法改正を訴える

 国際原子力機関(IAEA)前事務局長で、次期大統領候補の一人と囁かれるイル=バラーダイー(エルバラダイ)氏が、独立系候補としてのみ立候補する意志のあることを表明し、話題になっています。

イル=バラーダイー(エルバラダイ)、大統領選での政党擁立を否定、憲法改正を訴える
イル=バラーダイー(エルバラダイ)、大統領選での政党擁立を否定、憲法改正を訴える posted by (C)ほじょこ

イル=バラーダイー、本紙との単独会見にて「大統領選にはいかなる党の下にも立候補しない・・人民とともに憲法改正の平和的運動を行う用意はある
95%の国民が大統領の椅子を争うことのできない現行憲法は正当性に欠ける

 国際原子力機関前事務局長ムハンマド・イル=バラーダイー氏は、共和国大統領への氏の立候補により、エジプトの各党を賑わせている広範な議論に終止符を打った。本紙との単独会見にて、氏は、もし大統領選に出馬するなら、独立候補として出馬する、と確言した。
 イル=バラーダイーは、いかなる政党の下でも立候補しない、なぜなら、これを受け入れるということは、エジプトの政治活動上における、氏の言うところの「作為的な枠組み」に同意したことになるからであり、95%近いエジプト国民に大統領選への立候補を許さない枠組みの正当性を認めたことになるからだ、と述べた。
 またイル=バラーダイーは、オーストリアのウィーンからの電話会見で、こう付け加えた。「政党は尊重するが、わたしは独立的な人間で、独立候補としてしか大統領選に乗り出すことはできない」。自分は法律的な人間で、正当性を欠いた枠組みの中では、選挙戦や政治活動に法が存在しない、と示唆し、次のことを明らかにした。「憲法に沿う法と、正当性の間には、大きな差が存在する。国民の大多数に立候補を禁じているのでは、エジプトの憲法は法的正当性を欠いている」。またイル=バラーダイーは、主たる問題は個人ではなく、国の未来に関わることであり、氏の言う正統的な枠組みとは、エジプトが、近代性と公正さに拠って立ち、学問と政治活動と民主主義を高揚する、民主国家になることだ、と述べた。
 また、平和的で組織的な憲法改正運動行う用意があり、国民が不自由なく代表者を選ぶことのできない憲法の改正なしには、大統領選に乗り出すことはないことを、改めて確認した。改正が国民総ての願いである以上、「国民と共に歩み」、国民が憲法を変えられるなら、彼らに尽くすことができるだろう、と述べた。
 イル=バラーダイーは、大統領職は改革の用具である、と言い、「芝居を演じる気はないし、もし上手く行かなければ、死ぬまで状況の責を負う」と述べ、おそらく次の一月中旬にエジプトに戻ることを示唆した。
 エジプトにおける政党活動は、明白な不正に苦しめられており、政党委員会における政権党の支配下での政党間の競争に固執することで混乱し、エジプトは近代国家体制を実現する好機にあり、「エジプトが前進すれば、アラブ諸国全体が動き出すだろう」と述べた。何人かのアラブ人が彼に、エジプトが後退するなら我々も後退してしまうだろう、と言ったことを示した。
 イル=バラーダイーは、スウェーデン国籍を持っていることを改めて否定し、エジプト国籍しか持っていないことを確言し、この説を唱えているものたちは、率直さと精神において最低であることを表している、とした。

 「公正な選挙が条件」というのは、上手いカードを切ったなぁ、という感じもあります。これでイル=バラーダイー氏が立候補できなかったら、「不公正な選挙です」と公言しているようなものですし、立候補して「世襲候補」のガマール氏が当選しても、大方のエジプト人は納得しないのではないでそうか。
 ただ、「憲法改正」と名言してしまうと、これは大変に高い敷居で、現実的ではないかもしれません。それくらいの壁を越えなければ意味がない、という心意気なのでしょうか。現状では、独立系候補が認められない他、様々な制限で事実上「ガマール氏への誘導」のような仕掛けができてしまっているので、これを壊さなければ選挙も何もない、というはまったく正論なのですが。

 イル=バラーダイー氏は「エルバラダイ」との表記が定着してしまいましたが、どう聞いても「イルバラーダイ」くらいにしか聞こえないので、嫌味ったらしくこう表記しました。ちなみに、ムバーラク大統領閣下の次男のガマール氏は、「ガマル」と書かれていることがありますが、それではラクダです。
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  1. イル=バラーダイー(エルバラダイ)、大統領選での政党擁立を否定、憲法改正を訴える|2009/12/11(金) 04:57:19|
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