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アスワーン西岸の砂漠

 アブ・シンベルから戻ったお昼過ぎのアスワーン。
 ルクソールのOASISが余りに居心地が良く、この日にまたルクソールに戻ろうと思っていたのですが、夜の汽車までにまだ時間があります。
 アスワーンも「東高西低」な構造で、鉄道駅や宿などは東岸にあるのですが、西岸でもブラブラしてみるか、と思っていたところで、男が片言の日本語で「ヤクザ」とか言ってきます。
 「それは汚い言葉だ、そういう言葉で呼びかけてはいけない」と言うと、男が「知らなかった」と真剣に謝ってきました。「それはわかっている。日本人の観光客には、悪い人もいる。そういう人が変な言葉を教えて、知らないまま使っているのはわかっている、あなたのせいではない」と言うと、「お詫びにお茶を奢らせてくれ」と言ってきます。
 こういうナンパ手口なのかも、と思ったのですが、なかなか引いてくれないので「お茶は要らない、代わりに新聞を奢ってくれ」と言ったら、本当に新聞を買ってくれました。1ポンドですが。
 西岸に行こうとしている、と言うと、切符も買ってくれた上、「案内するから」としつこいのですが、ちょっとしんどくなってきたので、「悪いけど一人で行きたい」と何とかお断りしました。
 ローカルの渡し船に乗ります。ルクソールのローカルフェリーと違い、本当にただの船。混雑していたせいか、船の半分は男性、半分は女性、と分かれて乗っていました。
 帰りに自腹で乗ったら5ポンドでしたが、ルクソールのローカルフェリーでも1ポンドなのに、高すぎます。ボラれたかもしれませんが、まぁ他に交通手段もないので良しとしておきます(地元民の彼が幾ら払ったのかはわからないですが、5ポンドとうことはないと思う)。

 アスワーン西岸に着くと、そこには小さな売店がある程度で、ほとんど建物もなく、いきなり砂漠です。
 丘の上にマカービル・フィルアウニーヤという墳墓群があり(そう、「マァービル」ではなく「マカービル」と発音している!)、北がヌビアの集落になっています。
 ここにはラクダ引きやロバ引き(?)が沢山いて、イード休暇中のせいか、丁度日本のファミリー牧場のようなノリで、家族連れで大混雑していました。ほとんどエジプト人です。
 ここのラクダはギザのラクダと違って毛並みが良く、ロバも可愛い子が多いです。一匹まだ子供のロバがいて、時々地面を足でケンケンしたりして、めちゃくちゃ可愛いです。撫でてみたら毛並みもフワフワです。

アスワーン西岸風景
アスワーン西岸風景 posted by (C)ほじょこ

アスワーン西岸たくさんのらくだ
アスワーン西岸たくさんのらくだ posted by (C)ほじょこ

アスワーン西岸の子供のロバ
アスワーン西岸の子供のロバ posted by (C)ほじょこ

アスワーン西岸でロバに乗る子供
アスワーン西岸でロバに乗る子供 posted by (C)ほじょこ

 ラクダ引きが「それはまだ子供だ、乗れない」とか声をかけてきます。そんなことは分かっています。「どうせボッタくるのだろう」と思い、「ヌビア村まで歩く」と歩き始めると、ラクダでポコポコ追いかけながら、頭上から営業してきます。
 「鬱陶しいなー」と思っていると、買い物帰りらしいヌビアのおばちゃんが声をかけてきます。おばちゃんだとすっかり気を許し、ヌビアの村に向かって一緒に歩きながら「アスワーンはカイロと全然違ってのどかだねぇ」などとお喋りしました。
 おばちゃんが「ラクダ乗ってみたら? アメリカ人もフランス人も皆乗ってるよ」と言うので、「おばちゃんが言うなら」とラクダに乗ることにしました。

 後になってわかったのですが、彼らは確かに営業をかけてくるのですが、カイロと違って、やり方も素朴だし、めちゃくちゃボッタくるようなこともありません。街の人がことごとく声をかけてきますが、本当に純粋に興味を持ってくれていることが多いです。
 ラクダも25ポンドで、結局2時間くらい満喫したので、十分適正価格でした。

 ラクダに乗るのは二回目ですが、前より少し余裕が出てきたせいか、自分で手綱を持たせてもらい、「どうやって操るの?」と質問します。マフムードと名乗るヌビアの青年は、ラクダ乗り独特の声を出して「こうやると進むんだ」と言いますが、そもそもその声を真似できません。結局タンデムしてもらって、砂漠をポクポク進みました。ラクダの名前は「モニカ」ちゃん。
 船着場から近いところは、岩のゴロゴロしている砂漠で、少しゴミも落ちていますが、それでもギザとは比べ物にならない程綺麗。
 しかも、丘を越えて少し進むと、岩がまったくない、日本人のイメージする「サラサラの砂漠」があります。サラサラ砂漠でラクダを降りて休憩したのですが、こんなに街から近いところなのに、本当に綺麗でずっと手ですくって遊んでいたくなります。砂の熱さが気持ちよいです(後で考えると、日中は砂の中に虫やら蛇やらが隠れているので、不用心だったかも)。
 お値段を考えても、ラクダに乗りたいなら断固アスワーンです。ギザなんかで乗ったら絶対ダメです。あそこは砂漠というよりゴミ捨て場ですから(笑)。

アスワーン西岸らくだの上から
アスワーン西岸らくだの上から posted by (C)ほじょこ

アスワーン西岸の砂漠
アスワーン西岸の砂漠 posted by (C)ほじょこ

アスワーン西岸墳墓群
アスワーン西岸墳墓群 posted by (C)ほじょこ

 青い装飾で統一された、とても可愛いヌビアの村も一望できます。
 「村には、嫁入りしたドイツ人とスペイン人がいる。君が僕のお嫁さんになったら、日本人は一人目だ」と、この辺は普通のエジプト人と一緒。
 砂の上で休憩している時、携帯に入れているボブ・マーリーの曲を聞かせてくれました。
 「ボブ・マーリーが好きでドレッドにしていたんだけど、軍隊に入った時に切った」「軍隊は大変だった?」「すごい大変だった!」。
 滅多なことでは弱音を吐きそうにないタフなヌビアの青年が、語気を強めます。彼だけでなく、屈強そうな何人ものエジプトの男が、「軍隊だけは・・」と語るのを聞きました。エジプトの軍隊は本当に過酷なようです。火の輪潜りをさせられた、と言っていました。それ何か意味あるのでしょうか・・。

 彼が時々、ラクダの上から携帯電話でヌビア語を話しています。
 ラクダに携帯、という風景が既にすごいですが、ヌビア語はアラビア語とはまったく違う言語で(アラビア語アスワーン方言とも関係ない)、書記を持ちません。
 ちょっと例文みたいなものを作ってもらったら、語順的には動詞が最後に来るようでしたが、全然自信はありません。

アスワーン西岸砂漠 らくだと携帯
アスワーン西岸砂漠 らくだと携帯 posted by (C)ほじょこ

 ラクダと砂漠を満喫して、船着場に戻る。
 お茶を飲みながら代金を支払ったのですが、25ポンドのうち20ポンドはラクダの持ち主に渡され、マフムード青年の取り分は5ポンドだけでした。時給2ポンド(約40円)くらいです。バクシーシくらい渡してくれば良かったです。

 船の中で、小学生くらいの女の子が話しかけてくる。
 つたない英語で「名前は何て言うの」「どこから来たの」とか聞こうとするので、「アラビア語で喋っていいよ」と言うと、途端にパァッと顔が明るくなって「アラビア語がわかるの!? どうして話せるの!?」と言ってくれたのは、とても嬉しかったです。あんまりまくし立てられると付いていけないのですが(笑)。

 6:00の電車でルクソールに戻る。車内で買った切符は33ポンド。

 OASISホテルに戻り、また屋上のマタアムでぼんやりする。
 他所の宿に泊まっているのに入り浸っている日本人T氏から、色々お話を伺う。
 彼はAさんと同じく相当旅慣れた人で、本当に世界中よく旅行しています。
 モロッコの奥の方で、現地の人と結婚した日本人男性の話を聞く。逆パターンは沢山ありますが、男性というのは初めて聞きました。
 でも、聞いていて憂鬱になるような濃いお話で、ちょっとここには書けません。産業のない世界で一族を背負う稼ぎ頭になるというのは、大変な重荷を背負うことです。

 旅慣れたT氏が言った「都会の貧乏は惨めだけれど、田舎の貧乏は惨めじゃない」という言葉が、印象に残っています。
 そう、田舎は貧乏人でも、都会のスラムのように悲惨じゃない。食べていけるとかいけないとかではなく、例え仕事がなくても、何か居場所があるからじゃないか、と思う。
 仕事がなくなったら価値がゼロになる世界は、手探りで崖の淵を歩くような不安な世界だ。一番大切な命綱を、手放してしまったからだ。
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テーマ:エジプト - ジャンル:海外情報

  1. アスワーン西岸の砂漠|2009/12/06(日) 02:09:12|
  2. ルクソール・アスワーンの旅

ルクソール方言、王家の谷・王妃の谷の撮影禁止

11/28

 ルクソールのファーストインプレッションを書き忘れていました。
 事前に聞いていた話では、ルクソールは「油断のならない土地」で、アスワーンは純朴そう、という物凄い大雑把なイメージを抱いていました。
 実際に来てみると、ルクソールはイメージより遥かに綺麗な街。もっとゴチャゴチャしたところを想像していたのですが、道も広くて整備されているし、カイロなんかよりずっとオシャレに見えます。
 でも、これは観光をバネに、最近になって作られた町だからでしょう。特に東岸は、街の多くの部分がまだ「新品」です。
 カイロでは地図が実に頼りにならないのですが、ルクソールやアスワーンは、地図で距離が読めます。
 カイロで地図が使えない、というのは、直線距離だと近くても、道路横断が困難だったり、ある地帯がスラムで突っ切るのが大変だったり、変な立体交差を遠回りしないとかわせなかったり、とにかく思ったように進めないからです。ルクソールやアスワーンは、道は綺麗だし、西岸はどっちものどかな田舎なので、地図で見たままの距離感覚で行動できます。

 人々が「油断ならない」というのも、カイロに比べて特に酷いとは思いません。むしろ引き際はカイロよりマシなのではないかと思います。一般市民も、市街地と観光地付近なら外人慣れしています。
 ただ、基本的に田舎なのは確かなようで、子供のまとわりつき具合は、カイロ以上かもしれません。
 また、訪れる人たちはほとんど純粋な観光客なので、こっちがアラビア語を話したりアラビア語の新聞を読んでいると、驚かれることがあります。
 いい加減慣れましたが、個人的には、ここにいる外国人たちが、ちっともアラビア語を喋らないのが不思議で仕方ないのですが・・・。

 アラビア語と言えば、この日の朝にホテルOASISの人と話していて、方言の違いに気づきました。
 アッパーエジプトの方言については、以前からいくらか聞いていたのですが、まず、ルクソールではカイロ方言を話す人の方が多数派です。本当は混ざっているのかもしれませんが、普通に聞いているとわたしごときには識別できません。
 時々ルクソール方言(アスワーン方言? アスワーンではこの方言の人の率がやや増えている)を話す人がいますが、すぐ気付く特徴は以下の通り。

① قをءとして発音するカイロ方言と異なり、フスハー同様にقで発音するか、g音のような音で発音する
② 「g音のような音」は、英語のgやカイロ方言におけるجとまったく同一ではなく、少しこもったように聞こえる。كからقに向かうベクトルで、gを奥の方で発声しようとした時のような音?
③ جをフスハー同様にjで発音する

 ただし、これらの発音パターンは、カイロ方言同様、一律に別の音へシフトしているわけではなく、単語単位で決まっているようです。
 アスワーンでの体験ですが、「(あの建物は外は汚いけれど)中は綺麗جوة جميل」と言うのに、「ジョーワ・ガミール」と言っていました。ジョーワはjですが、ガミールはgです。
 語順や基本的な文法はカイロ方言と同様に聞こえましたが、フスハーにはない頻出語彙も、発音が違います。「今」を示すカイロ方言の「ディルワゥティー」が「ディルワクティー」と、قがフスハー読みされています。

 耳のヘッポコなわたしがちょっと滞在して気付いたことなので、間違っていることもあるかもしれませんし、個人単位でも混ざっているのかもしれません。日本人だって関西弁と標準語が混ざることはありますし。
 全般的に、フスハーから入った一般日本人学習者にとっては、カイロ方言より聞き取り易いです。
 カイロ方言は、とにかくقがءになるのが辛いのですが、音がフスハーに近く統語構造が簡略化されているアッパーエジプトは、外人に優しいです。

 さて、この日のルクソール観光。
 遺跡に興味がないので迷ったのですが、せっかくなので、宿から出る西岸ツアーに参加することにしました。王家の谷、ハトシェプスト女王葬祭殿、王妃の谷、メムノンの巨像を回るものです。
 入場料等すべて込みで、一般210ポンド、学生140ポンド。
 変な図書館のstudent cardしかないけれど「何とか学生で行けないか」と相談すると、「160ポンドで頑張ってみる、ダメだったら差額を後で払ってくれ」という、よくわからないオチに。
 結論から言うと、見事160ポンドで回れたので、20ポンドは「カードが怪しいのをカバーしてもらった代」だと思っておきます。なんというファジーな世界!

 実はワタクシ、ツアーなるものに参加したのは生まれて初めてです。
 超協調性がなく、何でも一人でやる性格なので、そんなまどろっこしいもんやってられるか!と避け続けていたのです。
 でも、各ポイントがそこそこ離れていて、交通が不便で入場料も高いルクソール西岸、160ポンドで全部回れるなら得かな、という印象でした。個人で車や馬車を借りるとまた交渉が面倒な上、高くつくし、自転車でこれだけのポイントを回るのは、体力のある人でないと無理です。この時期だから、まだ頑張れば自転車でも行けるかな?という感じでしたが、夏だったら軽く三回は死ねます。
 お客さんは、アメリカ人、スリランカ人、韓国人、日本人などの混成で、ガイドは英語でした。

 王家の谷について、墳墓の中だけでなく谷全体が撮影禁止になった、というニュースを前にお伝えしていたのですが、本当に「バスの中にカメラを置いていけ」と言われました。王家の谷だけでなく、王妃の谷も、谷全体が撮影禁止でした。王妃の谷なんて、外側は単なる荒野で、禁止する値打ちもないと思うのですが・・・。
 名目としては「墳墓の保護」ということでしょうし、マナーが悪い観光客がこっそりカメラを持ち込むことに対しての制裁措置なのでしょう。実際、王家の谷で、頭の悪そうなアメリカ人がカメラを持ち込んで、エジプト人のおっちゃんに吊るし上げられていました。
 ただ、そうした正論だけで、多くの観光客と観光業者の反感を買ってまで撮影禁止を踏み切ったとは、ちょっと思えません。どこかから政府に圧力がかかったのではないか、と思うのですが、谷全体撮影禁止で一体誰が得するのか、その得する人が政府を動かせるほどパワーがあるのか、さっぱりわかりません。

ハトシェプスト女王葬祭殿
ハトシェプスト女王葬祭殿 posted by (C)ほじょこ

ハトシェプスト内側レリーフ
ハトシェプスト内側レリーフ posted by (C)ほじょこ

メムノンの巨像
メムノンの巨像 posted by (C)ほじょこ

 というわけで、王家の谷、ハトシェプスト女王葬祭殿、王妃の谷、メムノンの巨像を回ってきたのですが、撮影禁止だった王家の谷、王妃の谷については、本当に重ね重ね申し訳ないのですが、わたしはあんまりでした。
 いや、値打ちがあるんだろうな、というのはわかるんですよ。あのレリーフに色が残っているだけでも「おお!」と思います。
 でもですね、墓なわけですよ。暗くて辛気臭いところに、潜っていくわけですよ。それが個人的には、どうにも息が詰まって好きになれない。これまた超極私的に、ああいうフィルアウニーな図像的思想、墓という具象を作ってしまう考え方に、倫理的な反感を覚える、というのもあります。
 その点、ハトシェプスト女王葬祭殿は、カンカン照りの太陽の元に壮大な建築物があって、俄然爽快です。
 見晴らしの良い高台にあるので、ここから振り返ってみるルクソールの風景も素晴らしいです。ハトシェプスト女王葬祭殿のある辺りは、もうすっかり砂漠なのですが、後ろを振り返ると、本当にこの国はナイルの横の狭いところにだけ緑があって人が住んでいるのだなぁ、と実感します。

 でも本当は、タダで見られてナイルにも近いメムノンの巨像が一番良かったです。
 適当に紐で囲ってあるだけで、道端にポツンと巨像が置いてあるところがイイ。地方の国道沿いのファミレスが、宣伝用にでっかいタヌキでも置いているくらい、さりげないです。
 「あれ、コレ遺跡やったん?」というくらい普通に道端に巨大な像があって、しかも思い切り小鳥の巣になっている辺りが、ちょっとラピュタっぽいです。
 ちなみに、メムノンの巨像の脇の畑で、オッサンと可愛い女の子が羊に草をやっています。この女の子が妙に可愛いし、わざわざ広い畑の隅っこで餌をやっているので怪しいと思ったのですが、この子の写真を撮った観光客にバクシーシを要求していました。
 こういう逞しい商魂とグチャグチャに混ざっている辺りも好きです。
 メムノンの巨像だけなら、自転車で行けると思います。

 ちなみに、ガイドさんの話では、現在閉鎖されている墳墓の一つ(ネフェルトアリの墓だったかな?)が、10分3000ドル(!)で特別に撮影許可されるそうですが、毎週のように日本人がやって来るそうです。
 古代マニアの底力は計り知れません。というか、日本人って一体・・・。

 朝7:00に出発したルクソール西岸ツアーはで昼過ぎに終了。
 その後、OASIS屋上でコシャリ(4ポンド)を食べてボンヤリした後、せわしないことにアスワーンに移動しました。「アスワーン行きなら、乗ってから切符が買える」とのことで、行き当たりばったりで電車に乗りました。
 17:30発との情報を得ていたのですが、駅に行ったら「18:00だ」と言われ、実際に来たのは18:30頃でした。全然合格点です。所要時間は約3時間。
 新聞を読んでいたら、隣に座ったタイーブという男性に話しかけられ、お喋りできたのは良かったのですが、「アスワーンのどこでも連れて行ってやる」「電話番号教えろ」「明日必ず会おう」と、例によってナンパ+溢れ出る親切の猛襲を受け、かわすのに苦労しました。
 車内で買った切符は31ポンド。隣のエジプト人女性は27ポンドだったので、差額4ポンドは謎です。
 でも、こういう謎はエジプトでは尽きることがないので、深く考えてはいけません。
 そういえば、アメリカ人が宿の人に切符の相談をして「fair priceで買えればそれでいいんだけど」と尋ねたら「彼らにfair priceというものはない」と言われていました・・・。
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  1. ルクソール方言、王家の谷・王妃の谷の撮影禁止|2009/12/03(木) 01:04:51|
  2. ルクソール・アスワーンの旅

エジプトでの豚インフルエンザ、アスワーン方言とフスハー

 今日は、いつも習っている先生以外の学校で、初のお試し授業。
 今習っている先生は、付き合いも長いので切るつもりはないのですが、経営者でもあるため非常に多忙で、最近は特に家庭の事情で度々授業が流れます。ちょっとイライラするので、他の学校と併用することにしたのです。
 家庭教師派遣ではなく、学校での一対一もしくはグループレッスン。今の先生よりいくらか割安ですが、期待していた程安くありません。
 でも、場所が決まっているというのは安心感があるし、わたしが訪れた時はマネジャークラスらしい先生以外は全員女性で、ほぼみんな愛想が良かったです。こちらに来て以来、話す相手には事欠かないものの、大家さん一家を除くと他はほぼ全員男性です。これはちょっと不自然だし、エジプトではかなり異常なことなので、女の先生に教えて貰えるのは良いかな、と思いました。
 担当して頂いたF先生は礼儀正しくフスハーもキレイで、質問したところは板書のようにメモに書いてくれます。
 今日は豚インフルエンザ(日本での「新型インフルエンザ」はエジプトでは「豚インフルエンザ」と呼ばれているし、英語圏のメディアでもほとんど「豚」だと思います)の話題になり、わたしが「豚インフルエンザは、世間で騒いでいるほど危険なものじゃない。普通のインフルエンザだって危険は危険だし、誰でも病気になる時はなる。わたしは豚インフルエンザより、人々の恐怖が怖い」と言ったところ、「わたしもそう思う。インフルエンザが怖い怖いと恐れていると、かえって身体が弱くなる。やたら恐れるべきではない」と同意してもらえて、非常に楽しく話せました。
 彼女は「寿司が好き」と言っていて、エジプト人には珍しいです。以前に「日本人は毎日寿司を食べている」という誤情報を他の日本人からインプットされてしまったようで、「いや、普通の人は毎日寿司なんか食べない。寿司は日本でも高い」と言っておきました。わたしの情報が正しいですよね? それともみんな毎日お寿司を食べているんですか?
 肉をほとんど食べないわたしに対し、彼女は「肉はなんでも好き!」だけれど「ウサギだけは食べない」そうです。子供の頃うさぎを飼っていて、それを食べるなんて言語道断だと信じているわたしにとっては、癒される嗜好でした。
 それにしても、ダブルスクール状態になって、ますます経済状況が逼迫してきました。稼がないと帰りの切符が買えません。

 新聞の見出しでは連日豚インフルが話題にされていて、メトロではヒジャーブの裾で口元を覆っている女性も時々いるのですが(マスクも極稀にいる)、エジプトではこれはかなり異様な振る舞いです。先生も「あれは変だ」と言っていました(日本では花粉症等によりマスクをする習慣があるので、別にしたければしても構わないと思いますが)。
 もちろん、病気は怖いし、豚インフルも危険は危険でしょうが、危険なんて言い始めたら、カイロでは道路の横断の方が遥かに危険です(笑)。食中毒が怖かったら買い食いもできません。人間、誰でも病気になる時はなるし、問題の一つや二つはあるもので、最後には必ず死にます。すべてはアッラーの意志でしょう。恐れて縮こまるのは愚かなことだし、武道やスポーツと一緒で、恐怖に負けると、避けられる打撃もかわせなくなると思います。
 わたしは自分の恐怖が一番怖いです。

 夕方にいつものS先生の授業。
 今日の授業で、アスワーン方言について面白い話を聞きました。
 シャルムに行った時に、アスワーン出身者がقلبを「ガルブ」と発音していたのですが、アスワーンではقはg音に変化するそうです。カイロ方言のأへの変化に比べると、大分穏やかです(それだって外国人が聞いたら厳しいですが・・)。
 アスワーン方言全般に、カイロ方言(いわゆるエジプト方言)に比べると、フスハーに近い、とのことです。
 例えば、
كيف حالك؟(カイファ・ハールカ? ご機嫌いかがですか?)
は、カイロ方言では「イザーィヤック?」とまるで違う形になりますが(howに相当する疑問詞自体が跡形もなく変形している)、アスワーン方言では「ケーフィック?」または「ケーフ・ハーラック?」で、文字に起こしたら同じになるくらい、近いです。
 地方になればなるほど、外部社会との交流が少なく、諸外国語からの影響も少ないため、古いアラビア語が残っている率が高くなるのでしょう。それでも、カスラ(i音)に引っ張られるところはカイロ方言と共通しているのが面白いです。エジプト人、本当にカスラ好き(笑)。二人称人称代名詞の性が、直前の母音で代替表現されるのも一緒のようです。
 以前にDさんが言っていた「ベドウィンは生まれた時からフスハーだけ話している」というのは極端にしても(不正確な情報)、彼らの方言もまた、カイロ方言に比べればフスハーに近いのではないかと思います。
 ますますアスワーンに行きたくなってきました。

 今日得たマメ知識「砂糖に蟻がたかっていたら、砂糖ごと直射日光の下に置いておくと、蟻がいなくなる」。
 本当でしょうか。一回お砂糖に蟻がたかって丸ごと捨てて以来、砂糖を買うのをやめたのですが、機会があれば(あんまり嬉しくない)試してみます。紫外線パワーが強力なエジプトならではの方法なのかもしれません。
 ちなみに今、エジプトではお砂糖の値段が上がって、庶民の暮らしを直撃しているのですが、彼らのお砂糖への愛は尋常ではないので、このマメ知識も本当かもしれません。砂糖の入れ物に「塩」と書いて蟻が来るのを防ぐ、というジョークもあります。

 今日の授業中、珍しくS先生がアメリカの悪口を言っていました。
 外国人相手の商売をしているせいか、特定の国をネガティヴに言うことはほとんどないし、「どんな国にも良い人と悪い人がいる」という当たり前のことはよくよく認識しているのですが、それを差し引いても「すべてではないが、アメリカ人には傲慢な人が多い」とこぼしていました。
 何かというと歴史の長さやら中世のイスラーム全盛時代を持ち出すエジプト人もどうかと思うし、日本人も謙虚というより単にお人好しで話下手なだけじゃないのか、という気がしないでもないですが。

 夜に大家さんとその娘がやってきて、何故か部屋のソファを交換していきました。何となくグレードアップした気がしますが、一体なぜソファを交換してくれたのか、今もって理解できていません(笑)。
 それより洗濯機の方が重要ですが、明後日にとうとう到着するようです。明後日と言われたら再来週くらいに思っておいた方が安全ですが、もうすぐ三ヶ月になろうとするカイロ生活で、遂に洗濯機が我が家にやってくるかもしれません、インシャアッラー。
 今日の新聞で、豚インフルエンザのせいで夏休みが伸びまくっていた学校がとうとう始まった、というのを読んだのですが、大家さんの娘もその話をしていました。マスクをして学校に通っているそうです。
 学校を休校にしたくらいで感染拡大が防げるとは思わないし、学校の外で接触してしまえば一緒のことだと思いますが、エジプトでは特に女の子は家に篭る時間が長いので、日本における休校よりはいくらか意味があるかもしれません。
 わたしはすべてをアッラーに預けて、予防は手洗いとうがいくらいにしておきます。豚インフルの前に車に轢かれないように気をつけます。

馬に乗る人の絵
馬に乗る人の絵 posted by (C)ほじょこ
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  1. エジプトでの豚インフルエンザ、アスワーン方言とフスハー|2009/10/05(月) 07:18:19|
  2. エジプト留学日記

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